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カドブン meets 本が好き! vol.9

待ちに待ったあのバチスタスキャンダルの後日談! まさかこんなことになっていたとは……!『氷獄』【本が好き×カドブン】#9

カドブン meets 本が好き!

書評でつながる読書コミュニティサイト「本が好き!」(https://www.honzuki.jp/)に寄せられた、対象のKADOKAWA作品のレビューの中から、毎月のベストレビューを発表します!
>>第8回『東京の幽霊事件 封印された裏歴史』何処其処に幽霊が出るって話はよくあるけれど、その幽霊は生前誰だったのか?



第9回のベストレビューは、zもりりんさんの『氷獄』(著者・海堂 尊)に決まりました。zもりりんさん、ありがとうございました。(このレビューには『チーム・バチスタの栄光』のネタバレを含みます。未読の方はご注意ください)。

待ちに待ったあのバチスタスキャンダルの後日談! 白鳥&田口コンビの東城大学物語は多々進んでいるにも関わらず、当事者の誰もがまるでタブーのように口を噤んだ「その後」。まさかこんなことになっていたとは…!

レビュアー:zもりりんさん

短編「双生」「星宿」「黎明」の3編と中編「氷獄」の4編からなる本書。
バチスタスキャンダルの後日談は中編の表題作。

いつになく(失礼!)美しいタイトルの下に描かれた物語たちは過去のある時点の、ある人たちの、ちょっとしたエピソードなのだが、桜宮サーガとして東城大学をめぐる波瀾万丈の歴史を既に知る我々には、懐かしく微笑ましくもあり、同時にもの哀しくもあり…。
特に短編3編はノスタルジックを掻き立てられる。
登場する懐かしい人々と時代は読んでのお楽しみ。それ自体に虚を衝かれノスタルジーに繋がっていく。

そして「氷獄」。
「チーム・バチスタの栄光」が2006年だからリアル世界では既に13年が経過しているが、「その後」として描かれるのは事件終結2年後からの話。

かつて氷室医師は言った。「この世界は氷の棺だ」と。
その氷室が未決囚として国選弁護人に語ったのは「ここは氷の牢獄です。何をしても凍えるだけなんですよ」と。
その真意は如何に?

2008年当時、グッチーもロジカル・モンスターもまだ若い。
口も身体も軽快に動き、白鳥の丁々発止と田口先生の煙に巻くアルカイック話法はバチスタ事件当時をありありと思い出させる筆力が著者のすごいところで、ここも読みどころ。

正直、あれやこれやの事件や人物相関がこんがらがって「誰か年表と相関図を作って~」と言いたくなるものの、新作を読むたびに不思議と甦ってくる。
欠けていたピースが一つずつ埋まっていくいく快感をどうぞ!!

ご購入はこちら▷海堂尊『氷獄』| KADOKAWA
本が好きレビューページ→https://www.honzuki.jp/book/280272/review/232020/

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紹介した書籍

  • 氷獄

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