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連載

今野敏「ヤメろと言われても! Ⅱ」 vol.15

【連載コラム】戦車「ティーガーⅠ」のプラモデルを製作中。実際の戦車の使われ方を意識しながら塗装していく。今野敏「ヤメろと言われても! Ⅱ」#50

今野敏「ヤメろと言われても! Ⅱ」

※本記事は連載コラムです。

戦車「ティーガーⅠ」が組み上がり、 塗装作業へ。実際の戦車の使われ方を意識して塗っていく。
>>前回はこちら

 ティーガーⅠは無事組み上がり、塗装作業に入る。
 戦車に関しては、まったくの門外漢だったが、一つ大物を作ってみると、そのノウハウが多少わかってくる。技術そのものというより、戦車モデラーたちが目指している方向のようなものが見えてくるのだ。
 実際に第二次世界大戦で運用されていた戦車は、砂や土で汚れ、雨風にさらされてさびが目立ち、時には着弾のダメージがあったりする。それが戦車の特徴の一つだ。
 同じ兵器でも、飛行機はそれほどボロボロではない。破損したまま飛ぶと墜落する危険があるから、常に修理・整備している。
 軍艦も、錆で船体に穴があいたりすると、沈没の危険があるので、頻繁にペンキを塗り直したりするし、船体に損傷があったら必ず丁寧に修理をする。だから、それほどのダメージはない。しかも、軍艦はでかいので、模型を作るときに、大きな汚れやダメージは必要ないし、そういう表現は不自然なのだ。
 実際に錆はどういうふうにつくのか、着弾のダメージはどういう形状なのか、泥や埃 ほこり はどういうふうに付着するのか……。
 そういうことが、戦車モデラーたちの最大の関心事になってくる。もちろん、一般の人がプラモデルを楽しむには、素組みで充分だ。乱暴なことを言えば、塗装だって必要ない。組み立てること自体が楽しいのだから。
 だが、ほんの少しだけリアルさを追求したいのなら、一色だけでも塗ってみることだ。すべてを塗り尽くすことはない。どこか一部に色をつけるのだ。すると、さらにリアルにしたいという欲求が出てくるはずだ。完成度の追求はそこから始まるのだ。いきなり、雑誌にある作例のような模型を作ろうというのは間違っている。
 さて、ティーガーⅠの塗装だ。まず、下地に茶色をエアブラシで吹く。下地なので、全体を茶色にしてしまう。
 次に、足回り、つまり、車輪や履帯りたいに乾いた土の色を吹いていく。実際の戦車の履帯や車輪には、べったりと泥がこびりついている。まず、それを塗っておく。
 次に、カーキグリーンを塗るのだが、わざとムラになるようにエアブラシで吹いていく。そうすることで、下地の茶色との相乗効果で平面的な感じではなくなる。
 さて、今月はここまで。これから先が、実はたいへん。日が当たる部分に明るい色でハイライトを入れ、ディテールを塗り分ける。
 そしていよいよウェザリングだ。このキットには人物のフィギュアもついているので、それもきっちり塗装しなければならない。
 やることが多いということは、それだけ楽しめるということだ。基本塗装が終わった作品を眺めながら、どこをどう塗っていこうか考えるのは、実に楽しい。
 次回はいよいよ完成となる予定。じっくりと塗っていきます。


写真

塗装を開始。まず下地として、全体に茶色をエアブラシで吹く


写真

次に、車輪や履帯といった「足回り」に乾いた土の色を吹いていく


写真

カーキグリーンをわざとムラになるように吹く。下地の茶色との相乗効果を狙うのだ


写真=今野 敏

「カドブンノベル」2020年11月号収録「ヤメろと言われても! Ⅱ」第50回より


「カドブンノベル」2020年11月号

「カドブンノベル」2020年11月号


◎つづきの第51回は「カドブンノベル」2020年12月号に掲載しております。


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