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新オープン&リニューアルの書店に聞く! 今年読んでほしい本 vol.7

【インタビュー】新オープン&リニューアルの書店に聞く! 今年読んでほしい本 Vol.7 米永書店(鹿児島県)

新オープン&リニューアルの書店に聞く! 今年読んでほしい本

本と読者を繋ぎ、新たな出会いをもたらす大切な「場」である書店。実は全国各地で、毎月のように新しい書店やリニューアルオープンの店舗が誕生しているのをご存知ですか?
本連載ではそんな新しい書店で働く書店員さんに、「今年読んでほしい本」をご紹介いただきます!
連載7回目は、鹿児島県にある創業約100年の“まちの本屋さん”、米永書店です。
昨年リニューアルした店舗のご紹介とともに、おすすめの本をご紹介いただきました。

今回のゲスト
米永書店 米永さん、廣田さん



――昨年リニューアルしたお店の魅力を教えてください!

米永書店は創業約100年の鹿児島県指宿市にあるまちの本屋さんです。8月20日に、移転に伴うリニューアルオープン1周年を迎えました。
実のところ、移転するにあたってもう書店はやめて倉庫にしようと思っていたんです。書店の他に地元の学校や官公庁などに事務用品を卸す卸業も並行してやっているので、近年の書店としての売上減少を危惧し、いっそのこと倉庫にしようと県内外の倉庫を視察して回っていました。ところが、様々な倉庫や書店を視察しているうちに「やっぱり本屋がやりたい!」と思い、「本を選ぶだけではなく、人が集い、新しい発見やつながりを生み出す場所へ」と弊社のコンセプトをチェンジし、リニューアルオープンしたわけです。
約90坪の店内には天井まで続く本棚を設置し、若い子育て世代や介護世代の多い地域のニーズに合わせて選書しています。特に児童書には力を入れており、話題の絵本から飛び出す絵本、図鑑なども多く取り揃えています。リニューアルしてから、親子連れやお孫さんへのプレゼントを選ばれる方が増えて嬉しいですね。


――一度は閉業・倉庫にしようと考えていた「本屋」としての仕事が、コンセプトを変えることで新しく生まれ変わったんですね。お店で人気の本についても教えてください。

絵本などの児童書に力を入れていることもあり、絵本がよく売れていますね。店内はスタッフ手書きのPOPが店内あちこちにちりばめられており、POPのおかげもあって話題の本だけでなくスタッフおすすめの本もよく売れています。また、移転前の店舗が高校の隣にあり、その時から引き続き参考書も売れていますね。
学生さんからの、こんな参考書が欲しいというリクエストがあるのもありがたいです。


書店員さんたちによるオススメポイントが詰まった手描きのPOPにも注目!


――確かに、店内には素敵な手書きのPOPがたくさんありますね! 書店員さんのおすすめポイントを直接目にすることができ、ネット書店では出合えない本を知るきっかけにもなりそうです。
米永書店さんはほかにも、毎週のように店内でイベントを開催されていますよね。



米永書店のInstagramでは、絵本の読み聞かせやビブリオバトル、各種勉強会など様々なイベントが告知されている


リニューアル後の新コンセプトを「人が集い、新しい発見やつながりを生み出す場所」にチェンジしたので、人が集う場となるように、コワーキングスペースや地元のアーティストやショップや企業向けにシェア型本棚「こばこ」を設置しました。棚主さんたちが毎週のように絵画教室や作品の即売会、撮影会、鰹節削り体験など楽しいワークショップを開催してくれています。
特に、指宿の良さが詰まったフリーペーパーづくりや弾き語りライブ、病院のスタッフさんによる勉強会や交流会が人気です。
どの棚主さんも今月はどんなことをしようかとアイデアをいっぱい詰め込んできてくれますので、多くの方に集っていただきたいですね。


――米永書店さんを中心に地域の方々の新しい交流の輪が生まれているんですね! Instagramにはたくさんのイベント情報が掲載されていますので、カドブン読者のみなさんもぜひチェックしてみてください。
そんな米永書店で働く廣田さんの「今年読んでほしい小説」を教えてください!

恩田 陸『spring』(筑摩書房)



少年は河原で「クルッ」と回ってみたくなった。“いつもは「カチッ」とうまくいくのに今日は失敗しちゃったな”
土手の上から偶然見ていたバレエ教師との出会いが始まりで、彼の人生は変わっていく。
豊かな自然にあふれる地方都市でゆっくり流れる時間の中、決して急ぐことなく見守ってくれる大人たちに囲まれて、やがて彼の才能が大きく花開いていく。
恩田陸さんの『spring』が大好きです。専門的な表現が多く難しい感じもしますが、それ以上にストーリーのおもしろさについ先を読みたくなります。恩田ワールド炸裂!!(廣田さん)


――最後に、カドブン読者へのメッセージをいただいてもよろしいでしょうか。

本を選ぶだけではなく、「集う場所」「過ごす場所」へと変化した米永書店。Instagramでもおすすめの本やワークショップの様子などを随時投稿しています。指宿は温泉が有名な場所でもありますので、旅行がてらぜひいらしてくださいね。

店舗情報



住所:鹿児島県指宿市十町2358-1
営業時間・定休日は公式Instagramをご確認ください。
公式Instagram:https://www.instagram.com/yonenagasyoten/

あわせて読みたい!
カドブン編集部が選ぶ 今年読んでほしい本

『君の顔では泣けない』君嶋彼方(角川文庫)



これぞ入れ替わりの真骨頂!圧倒的リアリティを激賞された受賞作、文庫化!
高校1年生の坂平陸は、ある日突然クラスメイトの水村まなみと体が入れ替わってしまう。どうやら一緒にプールに落ちたことがきっかけのようだ。突然のことに驚き、戸惑いながらも入れ替わったことはお互いだけの秘密にしようと決めた2人。しかし意外やそつなく坂平陸として立ち振る舞うまなみに対し、陸はうまく水村まなみとして振る舞えず、落ち込む日々が続く。まなみの家族との距離感、今まで話したこともなかったまなみの友達との会話、部活の顧問からのセクハラ……15年間、男子として生きてきた自分が、他人の人生を背負い女性として生きること。いつか元に戻れる日を諦めきれないまま、それでも陸は高校を卒業し上京、そして結婚、出産と、水村まなみとしての人生を歩んでいくことになる――入れ替わった後の15年を圧倒的なリアリティで描く、第12回小説野性時代新人賞受賞作!!

詳細:https://www.kadokawa.co.jp/product/322312000898/
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連載「新オープン&リニューアルの書店に聞く! 今年読んでほしい本」の更新をお楽しみに!
https://kadobun.jp/serialstory/kotoshiyondehoshiihon/


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