
【インタビュー】名古屋の喫茶店文化と約3万冊の本が楽しめる! 新オープン&リニューアルの書店に聞く! 今年読んでほしい本 Vol.2 文喫 栄(愛知県)
新オープン&リニューアルの書店に聞く! 今年読んでほしい本

新オープン&リニューアルの書店に聞く! 今年読んでほしい本
本と読者を繫ぎ、新たな出会いをもたらす大切な「場」である書店。実は全国各地で、毎月のように新しい書店やリニューアルオープンの店舗が誕生しているのをご存知ですか?
本連載ではそんな新しい書店で働く書店員さんに、「今年読んでほしい本」をご紹介いただきます!
連載2回目は、2024年4月に愛知県名古屋市にオープンした文喫 栄さん。
店舗のご紹介とともに、おすすめの本をご紹介いただきました。
今回のゲスト
文喫 栄 副店長・松﨑勇樹さん
――お店の魅力を教えてください!
「文喫 栄」は、名古屋・栄のランドマークである中日ビルの2階に、2024年4月にオープンしました。“文化を喫する、本と出会うための本屋”をコンセプトに展開する「文喫」の、六本木、福岡天神に続く3店舗目となる本屋です。
「文喫」は入場料のある滞在型書店で、なかでも「文喫 栄」は、有料エリアが、名古屋ならではの喫茶店文化を取り入れた「大喫茶ホール」である点が特徴です。約150席のホール内では、純喫茶風の「喫茶 セントラルサニー」を中央に、重厚感ある書斎のような「読居 嘴広鸛-ハシビロコウ-」、陽の光が差し込む開放的な「POP UPスタンドCOFFE-コッフェ-」、全席電源完備の「WORK&STUDY DENGEN」という趣の異なる4つのエリアを自由に行き来しながら、ブックディレクターが一冊一冊選書した約3万冊の本を自由にお楽しみいただけます。おかわり自由のドリンクサービスもあるので、お客様からは「つい長居してしまった」という声もよくいただきます。
“入場料のある本屋”ではありますが、入口すぐは、新刊や話題書、文具・雑貨などをラインナップした入場無料のエリアとなっており、街の本屋としての顔ももっています。毎月テーマを決めてスタッフが選書した「文喫私選」も好評です。
――「文喫私選」では、どのようなテーマが人気ですか? また、店舗で人気の本についても教えてください。
昨年12月に実施した「あなたに贈りたい1冊」というテーマが人気でした。
クリスマスシーズンだったこともあって本を贈りものとする方が多く、このテーマが刺さったのではと思っています。テーマは季節にあわせて、お客様がイメージしやすいもので選ぶことを意識しています。
例えば5月は母の日から「ありがとうを伝える本」や「5月病にひれ伏す本」など……。
また、栄店で人気のある本ですが、『名古屋カフェ散歩』(祥伝社)が手に取られています。
名古屋は喫茶店文化が非常に盛んなので、こういった名古屋の喫茶店が体系的にまとめられている本は需要があるのかなと思います。
――「あなたに贈りたい1冊」、とっても素敵なテーマですね! 季節ごとにさまざまなテーマが設定されていることで、毎回新しい本と出会えるサービスだと感じました。
そして栄店では、喫茶店にまつわる本が人気とのこと。お店の中にも「喫茶 セントラルサニー」がありますが、松﨑さんのおすすめメニューはありますか?
「文喫ブレンドの特製珈琲ゼリー」(税込495円)をおすすめいたします。「文喫」をイメージしてブレンドした珈琲を使用しており、デザートとして人気のメニューです。
――おすすめのメニューをありがとうございます! 昔ながらの喫茶店の味を楽しめる、甘くほろ苦い珈琲ゼリーですね。本と喫茶店が一体になったことで、「文喫」は身も心も楽しめるエンターテイメントな空間だと感じました。
そんな「文喫 栄」で働く松﨑さんの「今年読んでほしい小説」を教えてください!
『かもめジムの恋愛』大前粟生(小学館)
バブル期に建てられた、下町の雰囲気漂うスポーツジム「かもめジム」にかかわる人々の恋愛模様を軸にした連作短編集。世代・性別を超えた友情もテーマになっているので、糖分多めの恋愛小説が苦手な私も、じんわりとあたたかい気持ちになれた一冊です。
表題作では、西原さんという70代の男性会員が、ジムで受付のアルバイトをしている女子高校生の夢に恋愛相談を持ちかけ、やがて恋バナを語り合う仲に。年齢差が50歳近くもある会員とスタッフが、お互いに恋愛相談をしている姿にはシュールさを感じますが、二人の間に徐々に友情が芽生えていく様子が微笑ましいです。
表題作は夢の視点から描かれていますが、西原さんや、夢の想い人を視点にしたお話も収録されているので、「あのときの言葉や態度はそういうことだったのか」と答え合わせをするような楽しさがあり、登場人物の心の動きも軽妙に描かれていて、気づけば夢中でページをめくっているはずです。
心地の良い読後感に、きっとあなたの心も癒されます。
――「かもめジム」という場所を中心に、性別・世代を超えて人とのさまざまな関係が生まれていく様子を描いた、素敵な作品をご紹介いただきありがとうございます!
最後に、カドブン読者へのメッセージをいただいてもよろしいでしょうか。
訪れる時間や目的によって、本屋にも、カフェにも、自分だけの書斎にも、仕事場にもなる。
本や本がある空間が生活の一部となるように、毎日通いたくなるお店を目指しています。
「文喫 栄」を気に入っていただけましたら、お得な回数券や定期券もご用意しています。
スタッフ一同、ご来店をお待ちしております。
店舗情報
文喫 栄
住所:愛知県名古屋市中区栄4-1-1 中日ビル2階
営業時間・定休日は公式ホームページをご確認ください。
公式ホームページ:https://hiraku.info/works/2162/
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ある日、デザートの打ち合わせに神保町の本社を訪れたかなめは、新田つぐみと出会い、「キッチン常夜灯」を教えてもらう。シェフたちとの交流と丁寧な料理を通じて、仕事のやりがいや働く環境、そして自分自身にじっくり向き合うようになる。
「こんなお店に行きたい」と共感&絶賛の声続々の、「キッチン常夜灯」シリーズ3作目。
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