出版社就職を目指す大学生に向けた「小説・コミック編集者講座」を運営するKADOKAWAの現役編集者が、出版社就活のポイントを全4回に分けてご紹介! 第1回、第2回では業界・企業研究や編集者の仕事を紹介してきましたが、第3回からは具体的な出版社の選考内容について説明していきます。
まずは選考における最初の難関である、ES、作文の対策方法をお伝えします。
▼ 前回の記事はこちら
第2回 編集者の仕事を知ろう 企画立案~書籍ができるまで
https://kadobun.jp/feature/readings/entry-123608.html
【第3回】ES・作文対策 ESで書くべきことは何か
ES、面接は「あなた自身の経験」を「あなた自身の言葉」で伝えるもの
最初に皆さんにお伝えしておきたいのは、ESや面接について、「こう答えたら絶対に通過する」といった万人に通用する回答は存在しないということです。
採用する側の目線に立って考えるとわかると思いますが、皆に同じ回答をされたら選考なんてできるはずがありません。そのため採用選考では「あなた自身の経験」を「あなた自身の言葉」でアピールする必要があるのです。
そのことを踏まえて本記事では、ES、作文の模範解答を示すのではなく、あなただけの回答を導くためのヒントをお伝えしていきます。
企業はESで何を知りたいのか
そもそもESは何のために書くのでしょうか。当然ながら採用を行う企業はあなたの情報を全く持っていません。つまりESでは採用する企業側に選考の対象となるあなたの情報を伝えなければならないのです。そして、企業に対してあなたがESで伝えなければならないことは主に2つあります。それは「あなたが何者なのか=今まで何をしてきたのか」と「あなたが会社にどう役に立つのか=これから何をしたいのか」です。
ESを「自分を知らない相手に送るラブレター」と表現することがありますが、確かにラブレターと考えればESで何をアピールするべきなのかおのずと見えてくるかと思います。
ESで押さえておきたい基本
次にESを書く上で絶対押さえておくべき基本事項を説明します。
① 一文目で質問の答え・結論を簡潔に書く
ESの大前提として、読みやすい文章であることが求められます。伝えたいことがあったとしても、読みづらい、何が言いたいのかわからない文章では最後まで読んでもらえません。そのため、ESの設問には最初に結論から書くことを心がけましょう。結論を最初に示すことによってその後の文章の着地点がはっきりし、自然と読みやすい文章になるはずです。
② 指定文字数・枠の9割以上書く
ESでは各設問に文字数が定められていることがあります。例えば200字以内という指定の場合、50字程度しか回答を書かないのはNGです。なぜなら、与えられた文字数を目一杯使って自分をアピールする文章を書けるかどうかも選考における評価ポイントになるからです。最低でも指定文字数の8割、可能な限り9割は埋められるようにしましょう。文字数の指定がない場合も、回答欄の枠をできる限り埋めることを意識してみてください。もちろん文字数オーバーは厳禁です。
③ ES全体を通して、人間像を伝える
先に述べたようにESで皆と同じ答えを書いては意味がありません。採用選考ではあなた自身の人となりをアピールしていくことが肝要です。各設問に対し、どう答えれば自身のアピールに繋がるかを常に考え、「自分が何をしてきたか」「自分が何をしたいのか」をバランスよく伝えるようにしましょう。また、「小説が好きと書いていたのに、後の設問ではコミックに関することしか書いていない」などES全体を通じて矛盾が生まれないよう、一貫性のある回答を心掛けてください。
上記3点の基本を押さえることができれば、少なくとも「読みづらい」と判断されて第一印象で落とされることはないでしょう。
また、ESはES選考通過後も面接で活用されます。面接ではESの回答をもとに面接官があなたに質問をしてくることもあるでしょう。面接官があなたのESを読んで「この部分をさらに詳しく聞いてみたい」と思えるような回答をすることも選考の先を見据えるうえでは重要なポイントになってきます。
作文では「成長した自分」をプレゼンするべし
次に出版社の選考の特徴である作文課題について説明します。
作文課題では「過去の失敗談」や「好きな本、思い出の本」などあなたの経験を聞かれることが多いです。これはESの設問とあまり変わりません。
ただし、作文課題の場合は600~1000字程度とESの設問の2倍近くの文字数を求められることがほとんどです。そのため、作文課題ではより多くのアピール要素を盛り込むことが必要になってきます。
では、作文課題でアピールするべき要素とは何なのでしょうか。それはあなたの「変化・成長」です。過去の失敗談について単に「私は過去にこんな失敗をしました」というエピソードを素直に書いただけでは「あなたがドジである」ということしか伝わりませんし、好きな本について延々と内容紹介をしたところで、あなた自身のアピールには全くつながりません。
つまり作文課題では「失敗談」や「好きな本」といったテーマに対して、過去の経験によってあなたが何を学び、どう変わったのか、どう成長したのかをアピールすることが求められているのです。そして、変化後のあなたが如何に会社にとって必要な人材なのかをプレゼンすることができれば選考通過に大きく近づきます。
そのため、あなたをアピールするためのエピソード選びも大事になってきます。
今のあなたを形作るきっかけとなった経験、コンテンツは何か、事前にいくつか準備しておくとある程度の作文のテーマに対応できるはずです。
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