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特集

【第1回】出版社の採用選考を知ろう 業界研究・企業研究――出版社を目指すあなたへ 現役編集者が就活のポイントを紹介!

「活字離れ」、「出版不況」と言われている昨今にもかかわらず、根強く就職ランキングの上位を賑わせている出版社の存在が気になる人もいるのではないでしょうか。

本記事では出版社就職を目指す大学生に向けた「小説・コミック編集者講座」を運営するKADOKAWAの現役編集者が講座でお伝えしている出版社就活のポイントを特別に少しだけご紹介します。全4回ですので、最後までお見逃しなく!

第1回は出版社就活の特徴と就活に向けた準備についてです。

【第1回】出版社の採用選考を知ろう 業界研究・企業研究

出版社就活の特徴

出版社の採用方法は新卒採用のほかに中途採用やアルバイト、学生インターンシップなどがありますが、本記事では主に新卒定期採用について説明していきます。

出版社の採用選考の流れ自体は他の業種と大きな差はなく、
「ES→筆記試験→面接複数回→内定」といった形をとることが多いです。
ただし、それぞれの段階で出版社ならではの特徴がみられます。

<ES>
出版社のESの特徴、それは記入しなければならいない量が膨大であることです。
志望動機といった基本的な設問はもちろんのこと、出版社のESでは「今気になっているエンタメ、ニュース」「あなたの予想する将来の業界の姿」など多くの設問があります。これらを一晩で書き上げることは難しく、会社ごとに設問が違うため他社のESを流用することもできません。また、会社によっては手書きの場合もあります。締切日から取り掛かって一日で完成させることはまず難しいので、計画的に進めていくことが大切です。会社によっては作文課題があったり、大きな空欄を与えられその中で自由な表現方法で自己アピールを求められたりもします。ESが公開されたらまずどのような設問があるか、どのくらいの記述量かをすぐに確認することをおすすめします。

<筆記試験>
ESを通過すると会社によっては筆記試験があります。SPIが筆記試験の代わりになる会社もありますが、多くの出版社は独自の筆記試験を用意していることがほとんどです。
設問内容も時事問題から、エンタメ、スポーツなど様々なジャンルから出題されるので、普段から様々な物事にアンテナを張って情報収集しておく必要があります。単に名前を答えるだけでなく、会社によってはトレンドにあった固有名詞を「語句紹介」として説明させる設問がある場合もありますし、「あいうえお順に並べて3番目はどれか」「名前に含まれる数字で足し算」などひねった回答方法も。ESで作文課題がなかった場合、ここで作文試験が課されることがあります。

<面接>
ES、筆記試験を突破すると面接に進みます。面接では志望動機、やりたい企画といった基本的なことから、好きな本・作家について、出版以外の事業についての理解度、業界の課題などESをベースに様々なことが掘り下げられていきます。講師を担当する若手社員は、面接に苦手意識があったため、事前に志望動機などの基本的な質問は答える内容を簡潔にまとめられるように練習したり、その回答内容を実際に話しているところを録音して聞いてみて、話し方や口癖で気になるところがないか、確認したりしたそうです。
また、出版社の面接でグループワークを課されることは少ないですが、代わりにプレゼンなどを求められることもあります。
そして、複数の面接を通過すると晴れて内定獲得となります。



出版社就活に向けての準備 業界研究・企業研究

では、出版社就活に向けて今からできる準備とはなんでしょうか。まずは就活の基本である業界研究、企業研究について解説します。

公益社団法人全国出版協会・出版化科学研究所の調べによると、2024年の出版市場(推定販売金額)は1兆5761億円になります。出版業界は2兆円市場といわれていた1990年代をピークに縮小傾向が続いています。特に書店の減少やスマホの普及による娯楽の多様化などで出版業界には向かい風が吹いているとよく言われます。一方でコロナ禍の2020年、2021年は巣ごもり需要から売り上げが回復したり、電子書籍や権利売上など毎年成長している分野もあったりと業界の今後を考えるうえで重要になってきそうな情報もあります。

さて、業界の大まかな流れを掴んだら次は個別の企業研究へ……と、ここで多くの就活生が躓きます、「出版社の企業研究ってどうすればいいのか」と。
専門出版社ならともかく総合出版社ごとの違い・特色がわからない。そもそも書籍を買うときに出版社で選ぶことなんてめったにない。「出版社」の存在を意識したのは就職活動を始めてからという人も少なくないはず。
では出版社の企業研究はどこから手をつければいいのでしょうか。
出版社の公式HPや会社案内を読み込む、というのももちろん一つの手ですが、まずは「自分の本棚を整理する」ところから始めてみるのをおすすめします。
出版社就職を志す皆さんは多くの書籍を読んできていると思います。そこで、今まで読んできた書籍を出版社ごとにリスト化してみましょう。すると「自分がよく書籍を買っていた出版社」や「この本を出していたのは意外な出版社だった」など様々なことがわかるはずです。出版社の企業研究とはその出版社が出している書籍を知ることなのです。
このことは企業研究だけなく、各出版社への志望動機にもつながります。
書籍のリスト化であなたが興味を持った出版社があれば、公式HPにアクセスしてみてください。そこで、現在その出版社が売り出したい書籍はなにかなど更なる情報を得ることができるでしょう。

学生時代にやっておくこと

出版社就職を目指す学生からよくある質問のひとつに「学生時代にやっておくことはありますか?」というものがあります。
話をよくよく聞くと彼らはESに書けるような特別な経験や資格、一芸といった答えを求めているように感じました。もちろん誰も成し遂げたことがないことを実践した経験があればESで目を惹きますし、面接でも盛り上がる話題になると思います。
とはいえ、採用選考で判断されるのは「その人が我が社で活躍してくれるのか」という点ですので奇を衒っていれば勝ちというわけではありません。

それを踏まえて出版社を目指す皆さんに実践してほしいことがあるとすれば、とにかく多くの「エンタメ」を体験することでしょうか。「エンタメ」とは書籍、TV、映画、スポーツ、音楽、ゲームといったものだけでなく、あなたが楽しめるものならすべてがエンタメです。特別な経験が必要なわけではない。何気ない散歩も「おもしろ看板探し」として楽しめばそれは立派なエンタメです。
普段からエンタメを意識した日常を心掛けることであなた自身の立派なアピールポイントになるはずです。

小説・コミック編集者講座(第4期)について

小説・コミック編集者講座では実際に新卒で入社した社員の実体験をさらに具体的に紹介する予定です。
実際に編集者として働く出版社の現役社員の話を聞ける貴重な機会ですので出版社就職に興味のある方はぜひとも受講をご検討ください。

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