
【インタビュー】美味しいコーヒーやスイーツと共に楽しめる、街の本屋さんに注目! 新オープン&リニューアルの書店に聞く! 今年読んでほしい本 Vol.4 藤乃屋書店(東京都)
新オープン&リニューアルの書店に聞く! 今年読んでほしい本

本と読者を繫ぎ、新たな出会いをもたらす大切な「場」である書店。実は全国各地で、毎月のように新しい書店やリニューアルオープンの店舗が誕生しているのをご存知ですか?
本連載ではそんな新しい書店で働く書店員さんに、「今年読んでほしい本」をご紹介いただきます!
連載4回目は、東急池上線・御嶽山駅すぐの場所に、2024年11月にリニューアルオープンした藤乃屋書店さん。
店舗のご紹介とともに、おすすめの本をご紹介いただきました。
今回のゲスト
藤乃屋書店 甲地康代さん
――リニューアルしたお店の魅力を教えてください!
2025年で創業49年を迎える本屋です。誰もが気軽に本に接することができる街の書店を未来に残し、発展させていくことを目標に、暮らしを楽しむ・心を豊かにする新たなライフスタイル提案型の書店として2024年11月にリニューアルオープンいたしました。
白木の書棚にドライフラワーをアクセントにした内装で、ゆったりと過ごしていただける空間づくりをしています。エントランスを入って左の壁面棚は表紙を面陳列できる雑誌コーナーが目を引くつくりになっています。見渡すと表紙の特集内容から各カテゴリーの「今」を読み解くキーワードが見つけられるかもしれません。
街の書店として、児童書、学参、コミック、文庫等は広めのスペースで展開しています。
より文化的要素が溶け込む豊かな日々の暮らしのご提案が出来たらよいなと、新たに人文書の棚もつくりました。
――地域のみなさんの憩いの場になるような、開放的で素敵なお店ですね。お店で人気の本についても教えてください。
各棚の最上段に展示するように、その時々のおすすめの本を配置しています。
人文書の棚上段に展示した、KADOKAWAさんの『世界のかけら図鑑』は装丁も素敵で若い世代の方に人気でした。
また、併設したカフェではスペシャルティコーヒー・100%ナチュラルな手作りのアイスクリーム・ヴィーガンクッキー等をお召し上がりいただけます。花屋さんにプロデュースしていただいた観葉植物も販売しています。
――今年1月に、店舗の一角にカフェスペースもオープンしたと伺いました。おすすめのメニューについて教えてください。
苦さの中にもフルーティーな風味が感じられる、エスプレッソと添加物不使用の濃厚なマダガスカルリッチバニラアイスの、熱くて冷たい、苦くて甘いアフォガート(¥690)がおすすめです。
――カフェオープンにあたってはバリスタさんにもご協力いただいて、コーヒー豆にもこだわっていると伺いました。素材にこだわったアフォガート、カドブン読者のみなさんもぜひ味わってみてくださいね!
そんな「藤乃屋書店」で働く甲地さんの「今年読んでほしい小説」を教えてください!
『その本はまだルリユールされていない』坂本葵(平凡社)
夢をあきらめ、両親の期待を裏切ってしまったうしろめたさを抱えながら、司書として新たな生活を始めた主人公のまふみが様々な人と出会い、綻んだ気持ちを立て直していく、心の再生の物語。
まふみが新生活に選んだリーブル荘の大家さんは、ルリユール=手仕事の製本、の世界的に有名な製本家で、その世界に少しずつ魅了されていく。
主人公が初めて見たり体験したりする丁寧な製本仕事の場面は、興味深く読ませていただきました。古い本に新たな息吹を加える製本が綻んだ自分の人生の、軌道修正のきっかけとなり、物語が展開していきます。
まふみと同じ年齢の頃の自分と重ねながら読み進めていくうちに、物語の世界にどっぷりと浸かっていた自分がいました。
司書として働く小学校の図書室で出会う子ども達との会話に癒されたり、特殊な事情を抱えている人たちへのあたたかい眼差しが描かれていたり、終始柔らかなやさしい光に包まれているかのような物語でした。
――製本家と司書という、本を形作る人と届ける人の物語。ぜひ本好きのカドブン読者のみなさんにも読んでいただきたい作品ですね。最後に、カドブン読者へのメッセージをいただいてもよろしいでしょうか。
お仕事や勉強・家事育児の合間に、休日のお散歩がてら、目的の本があってもなくても、ふらりと立ち寄れてお腹も心も満たして日常生活に戻っていける、そんな、みなさんの生活に寄り添い、彩りを添えられる書店でありたいと思います。スタッフ一同ご来店をお待ちいたしております。
店舗情報
住所:東京都大田区北嶺町31-10 ONTAKESAN FC 1階
営業時間・定休日は公式ホームページをご確認ください。
公式ホームページ:https://booksfujinoya.com/
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カドブン編集部が選ぶ 今年読んでほしい本
『あなたのためのショコラショー』内山純(角川文庫)
どんなビターな状況も、チョコレートがあれば大丈夫
40歳を機に仕事復帰することになった八重樫靖羽。家族は応援してくれるが、現実は甘くない。職場で緊張をほぐすチョコクッキー。思春期の娘の心に寄り添うホットチョコレート。娘の受験と介護に追い詰められたママ友に手作りのチョコパイ。チョコレートは自由に形を変え、進化していったと知った靖羽は、自分自身と向き合い始める――。何歳からでも新しい一歩を踏み出せるし、もっと自由に羽ばたける。美味しくて勇気をもらえる物語。
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