KADOKAWA Group
menu
menu

レビュー

【評者:美村里江】不死の神秘を保ちつつ、現実世界に触れていく静謐な主人公『夜に啼く鳥は』

 「不死の人間」は一種究極のファンタジーである。読者をその世界に誘導する方法は多々あるが、本作冒頭の「お伽話風の静かで柔らかな語り」はとても効果的だ。読者は優しい視点を引き継ぎ物語に入っていく。
 ある漁村に流れ着く、何日経っても瑞々しく光り腐らない魚。そこへ異国の赤子が流れ着き、魚の恩恵を受けて成長する。人間らしさを保つ心とは裏腹に、彼女は不思議な力を得ていた。
 この子孫が主人公の御先(みさき)である。齢百数十年だが、見た目は非の打ち所なき美少女。深い怪我もたちどころに治り、人の傷病も治すことができるが、新陳代謝もなく飲食も不要。生きる意味は色褪せてきている。
 そんな彼女がある決心から生き方を変え、小学生や女子高生と出会う。これまで接してこなかった普通の人々に関わっていくうち、両者に変化が……。
 不死というアイデンティティーを乗り越えていく、御先の思春期物語に見えてくる。老成した振る舞いの中に神秘性と初々しさが共存し、応援してしまう主人公。脇役達も魅力的で続編が読みたくなる、大人のお伽噺だ。

ご購入&試し読みはこちら▷千早 茜『夜に啼く鳥は』| KADOKAWA


紹介した書籍

紹介した書籍

関連書籍

新着コンテンツ

もっとみる

NEWS

もっとみる

PICK UP

  •  君嶋彼方 特設サイト
  • 「果てしなきスカーレット」特設サイト
  • 森 絵都『デモクラシーのいろは』特設サイト
  • 畠中恵KADOKAWA作品特設サイト
  • ダン・ブラウン 特設サイト
  • 楳図かずお「ゾク こわい本」シリーズ

MAGAZINES

小説 野性時代

最新号
2025年11月・12月号

10月25日 発売

ダ・ヴィンチ

最新号
2025年12月号

11月6日 発売

怪と幽

最新号
Vol.020

8月28日 発売

ランキング

書籍週間ランキング

1

かみさまキツネとサラリーマン 2

著者 ヤシン

2

夜は猫といっしょ 8

著者 キュルZ

3

天国での暮らしはどうですか

著者 中山有香里

4

ひとり旅日和 花開く!

著者 秋川滝美

5

映画ノベライズ(LOVE SONG)

橘もも 原作 吉野主 原作 阿久根知昭 原作 チャンプ・ウィーラチット・トンジラー

6

恐竜はじめました4

著者 クラナガ

2025年11月17日 - 2025年11月23日 紀伊國屋書店調べ

もっとみる

レビューランキング

TOP