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連載

森見登美彦・著 上田 誠・原案「四畳半タイムマシンブルース」 vol.6

【連載小説】中村佑介氏による新ビジュアル公開! ヨーロッパ企画の傑作と『四畳半神話大系』がまさかの融合! 森見登美彦・著 上田 誠・原案「四畳半タイムマシンブルース」#1-6

森見登美彦・著 上田 誠・原案「四畳半タイムマシンブルース」

※本記事は連載小説です。

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 私はこの樋口清太郎という人物が苦手である。
 同じアパートで暮らすこの万年学生とは、できるかぎり距離を置くように心がけてきた。動物的直感が「こいつは危険人物だ」と囁くからだ。
 樋口氏は手に持った通い帳でひらひらと顔をあおいでいた。
 当アパートでは毎月大家さんに家賃を手渡し、その通い帳にハンコを押してもらう前時代的な仕組みになっている。長年にわたる金銭的攻防を記録してきた樋口氏の通い帳は、蔵の中から発見された江戸時代の古文書のようにボロボロである。
「これから家賃を払いに行く。しかし金はない」
 あたかも科学的事実を述べるかのごとく、樋口氏は淡々と述べた。
「金はない。しかしこれから家賃を払いに行く」
 あっけにとられていると、樋口氏は「ところで」と話題を変えた。
「私のヴィダルサスーンを持ち去ったのは誰かな?」
「ヴィダルサスーン?」
 我々は首をかしげた。


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