
【書評】高校で起こる不審な死。それは亡き小説家の遺稿に見立てた殺人か――『名探偵たちがさよならを告げても』レビュー【本が好き!×カドブン】
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『名探偵たちがさよならを告げても』レビュー【本が好き!×カドブン】
書評でつながる読書コミュニティサイト「本が好き!」(https://www.honzuki.jp/)に寄せられた、対象のKADOKAWA作品のレビューの中から、毎月のベストレビューを発表します!
今回のベストレビューは、藤 つかささんの『名探偵たちがさよならを告げても』に決まりました。ありがとうございました。
友人が学校で亡くなった。主人公が探偵になった理由とは…。
レビュアー:読書少女さん
※ネタバレ注意! 以下の文には結末や犯人など重要な内容が含まれている場合があります。
作家でもあった国語教師兼司書の久宝寺先生が死ぬ前に残した小説の原稿。
それをもとにした見立て殺人と思われる事件が校内で起きる。
図書委員である深野あずさは、友人で同じ図書委員の柚が学校内で死んでしまったのを機に探偵になる決意をする。
誰が柚を殺したのか。その動機や密室の作り方などを調べていくうちに第二の殺人が起きてしまう。
久宝寺肇の死後である現在パート、
久宝寺肇がかつての教え子である怜人に、死ぬ前に後任を任せたいと話す幕間パート、
久宝寺肇が元気に生きていた過去パートで構成されている本作品。
本筋の事件解決はもちろんですが、過去に起きた自殺の真相や久宝寺肇が残した遺稿の結末など、謎が謎を呼ぶような物語でした。
その謎の中には、深野あずさが「探偵にならなければいけない!」と言った理由も含まれています。
柚とあずさが抱える葛藤、東堂や怜人が抱える葛藤が絡み合って、心に刺さる場面もありました。
刑事がサラッと話していた中学生の話が、最後のあずさの話に繋がるんだと気付き、細かいところに伏線を置いてると感動しました。
▼読書少女さんのページ【本が好き!】
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書誌情報
書 名:名探偵たちがさよならを告げても
著 者:藤 つかさ
発売日:2025年04月02日
高校で起こる不審な死。それは亡き小説家の遺稿に見立てた殺人か――
教師の傍ら執筆活動を続け、ミステリ作家として一世を風靡した久宝寺肇(きゅうほうじはじめ)が癌で亡くなった。恩師である久宝寺の死と時を同じくして母校に国語教師として赴任した辻玲人(つじれいと)は、彼の遺稿を入手する。それは不可能状況での殺人を描く短編ミステリのプロットで、解決編のない状態だった。「探偵」になるのが夢だという女子生徒・あずさと協力して、遺稿の続きを探す玲人。しかし校内で女子生徒の死体が発見され、その死の状況は遺稿プロットとまるで同じだった。
詳細:https://www.kadokawa.co.jp/product/322410001160/
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