
伝説の深夜番組「水曜どうでしょう」の聖地をめぐる旅。大泉洋以外の3人の旅だが、それがまた良い。『水曜日のおじさんたち』【本が好き!×カドブン】
カドブン meets 本が好き!

書評でつながる読書コミュニティサイト「本が好き!」(https://www.honzuki.jp/)に寄せられた、対象のKADOKAWA作品のレビューの中から、毎月のベストレビューを発表します!
>>"人"と"鬼"とを隔てるものとは。
第26回のベストレビューは、ケムケム さんの『水曜日のおじさんたち』(著者・鈴井貴之、藤村忠寿、嬉野雅道)に決まりました。ケムケムさん、ありがとうございました。
伝説の深夜番組「水曜どうでしょう」の聖地をめぐる旅。大泉洋以外の3人の旅だが、それがまた良い。
レビュアー:ケムケム さん
1回目はのめり気味に文章を読み、2回目は写真をじっくり見て、3回目は写真を見ながら文章をじっくり読んだ。
北海道テレビ制作の「水曜どうでしょう」という伝説の番組がある。大泉洋と彼が所属する事務所社長(現在は会長)兼タレントの鈴井貴之(ミスター)、北海道テレビのディレクターの藤村忠寿(藤やん)と嬉野雅道(嬉しー)の4人が出演する旅番組だ。旅番組といっても、情緒あふれる感じのものではなく、4人のドタバタとしたトークで構成されている。当時、大泉洋は20代。他の3人も30代と若く、若者らしいはちゃめちゃな旅なのだ。1996年から2002年にレギュラー放送されていたが、現在でも数年に1回、新作が発表されている。(つい近頃も四人でアイルランドに旅をしている。)
どうでしょう軍団が巡った場所はファンにとって聖地になっている。この本で紹介された4つの街もそうだ。
大分県臼杵市は、「サイコロの旅1」で登場。サイコロの出た目によって公共交通機関を乗り継ぎながら札幌まで帰るという内容だ。道後温泉で振ったサイコロの目によって臼杵市に来てしまった4人。番組では「来たーいと思って来たわけじゃない。」などとミスターに言われてあっという間に通り過ぎた街だが、その後、藤やんと嬉しーが数度訪れて街の素晴らしさを実感。そして今度はミスターを伴っての3人の旅。名物のフグを食しながらの会話が面白い。
2つ目の街、大分県竹田市は、「原付西日本制覇」で登場。大泉洋が東日本編で購入した高崎のだるまのお嫁さん探しにやってきた街だ。
3つ目の鹿児島県霧島市と4つ目の鹿児島市は「対決列島 〜甘いもの国盗り物語〜」で登場した。ミスター・大泉洋の「ミスターチーム」と藤やん・安田顕の「魔神チーム」が、北海道から鹿児島県までの都道府県の「甘いもの早食い対決」で競い合いながら旅をしていくというという内容だ。
この本では、30代だった彼らも20数年後の今、成熟した大人(おじさん)になり、土地の面白さや食の奥深さ、人情が分かるようになったのだと語る。そして若かった頃のバタバタした旅ではなく、ちょっと贅沢にゆっくり旅の良さを味わうようになれたそうだ。
長年のファンも彼らと同様に歳をとり、この本に書かれていることに納得するだろう。「水曜どうでしょう」を知らない人も、写真が美しく楽しめる本になっている。ぜひ読んで欲しい。
最後に、大泉洋が番組内でずっと「アカプルコに行きたい!」と行っていたので、今度は4人でアカプルコをめぐる本を出版して欲しいと思う。
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