
人間性が感じられる言葉の深み。『ジブリの鈴木さんに聞いた仕事の名言。』【本が好き!×カドブン】
カドブン meets 本が好き!

書評でつながる読書コミュニティサイト「本が好き!」(https://www.honzuki.jp/)に寄せられた、対象のKADOKAWA作品のレビューの中から、毎月のベストレビューを発表します!
>>伝説の深夜番組「水曜どうでしょう」の聖地をめぐる旅。大泉洋以外の3人の旅だが、それがまた良い。
第27回のベストレビューは、 たけぞうさんの『ジブリの鈴木さんに聞いた仕事の名言。』(言葉・鈴木敏夫/選者・木村俊介/写真・Kanyada)に決まりました。たけぞうさん、ありがとうございました。
人間性が感じられる言葉の深み。
レビュアー:たけぞう さん
ジブリのプロデューサーの鈴木敏夫さんの言葉メモです。
本人は忘れていても、周りの人がしっかり覚えていて大事にしている言葉を
集めてあります。ライターさんが取材で拾い集め、一冊になりました。
ジブリといえば宮崎駿さんと高畑勲さんという二人の天才監督が目立ちますが、
二人の力をいかにして引き出すかという役目が鈴木さんだったのです。
もちろん、引き出してやろうなどという野暮なスタンスではなく、
人間力でそうなっちゃったという、恐ろしい人なのでありますが。
世間の目はどうしても監督に向かいますので、
参謀の鈴木さんは知る人ぞ知るという存在なのでしょう。
わたしは、名前を聞いたことがあるという程度でした。
読んでみて、とても不思議な感覚に包まれました。
読み始めは、まあこんなものだよなとか、確かにそうなんだけどねとか、
そもそも関係ない子どもの写真がいっぱいあるのはなんでとか、
なんだか偉そうに構えていました。
ジブリの看板を掲げている以上、こちらも期待値が高めですから、
きっとこころの準備が不足していたのでしょう。
読み進めるうちに、いつのまにかスイッチが入ってしまい、
続きが気になって仕方なくなってしまいました。
しかも面白い理由をうまく言語化できないのです。
なんだか分からないけどもっと聞きたい、そんな考えばかり浮かんできました。
恐ろしい本です。
これが鈴木敏夫さんの人間力なのでしょう。
超個性派の二人の名監督をサポートできる実力が垣間見えます。
キーワードがいくつかあります。
言葉尻ではなく、言葉全体から伝わってくる価値観がとても魅力的なのです。
企画というものは、いつだって、
誰かの不純な動機から始まる。
自信を持って決断したことが、現実的には間違っていたり、
軌道修正が必要だったりする場合も出て来る。
そのときには、いさぎよく謝る。それでいいと思う。
あらかじめ、「自信はないけど、たぶん」などという姿勢では、
関係している現場の人は、動きようがないから。
僕に人を見る目があるか。たぶん、ない。
ないから、基準はただ一つ。仕事をやってもらって、判断する。
頼んだことをやってくれるか、そうじゃないか。
これだと、わかりやすい。
いかがでしょう。
もっと端的で分かりやすい言葉もあるし、丁寧にかみ砕いた文章もあります。
根底に、仲間でやるという強い意志を感じるのです。
目的に向かって進む。
でも、合わない人を無理やり変えてまでとはせず、
常にその人の持っているものを引き出そうとするのです。
それは信頼と敬意がなければできない所作なのです。
最後に、一つ紹介しますね。
何かを言おう、言おうと思っていると、
人の話が聞けなくなる。
刺さりました。
【こんな人にお薦め】
人間力とは何かを肌で感じてみたい人に。
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