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何気ない毎日が愛おしくなる、勇気と希望の青春物語。――汐見夏衛『たとえ祈りが届かなくても君に伝えたいことがあるんだ』レビュー【評者:林芽亜里】

大人気モデル・林 芽亜里が絶賛!「悩んでいるのは自分だけじゃないと改めて気付かされる」
『たとえ祈りが届かなくても君に伝えたいことがあるんだ』レビュー

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たとえ祈りが届かなくても君に伝えたいことがあるんだ

著者:汐見夏衛



何気ない毎日が愛おしくなる、勇気と希望の青春物語。

書評:林 芽亜里(モデル)

【あらすじ】
もう一度だけ、彼を救うチャンスをください――。

高校2年生のなずなのクラスメイト鈴白くんが突然命を絶った。
彼は明るくて容姿も成績も良く、悩みがなさそうな人。だから自殺なんてしない。皆そう思っていた。
彼の悩みに気付いていたらと後悔が膨れ上がり、鈴白くんと一緒に作った思い出の砂時計に「時間を巻き戻したい」と願って眠ると、翌朝なずなは一ヶ月前に戻っていた。あれは夢だったんだと安堵し、普通に毎日を過ごしていたが、彼はまた死を選んでしまい――。ループする中で、なずなは鈴白くんを救えるのか?

学校では教えてくれない大切なことの全てがここにある!
何気ない毎日が愛おしくなる、勇気と希望の青春物語。

この物語はリアルな生活の表現から情景や登場人物それぞれの性格や人となりをとても感じられ、自分がこの本の中に入っているような気分になります。
そして私はなずなちゃんに共感できる部分がたくさんありました。


「砂時計で時間を巻き戻し、鈴白くんを助けるために努力するなずなちゃんと薊くん」という非現実的な話ではありますが、ある意味とてもリアルなお話だと感じました。

普段何気なく私たちは普通に生活して、普通に話して、普通に食べていますが、人は誰しも簡単には他人に言えない悩みや苦しい過去を持っている。
もちろん持っていない人も中にはいるかもしれませんが実際私にも悩みはあります。

この本を読んで、悩んでいるのは自分だけじゃないと改めて気付かされるのと同時に、私の感想を読んでくださっている方達の中に悩みを持っている方がいたら悩んでるのはあなただけじゃないよというふうに伝えたくもなりました。


この物語は鈴白くんの死をきっかけに動いていきますが、「当たり前」や「普通」、「平凡」というものがこんなにありがたく、幸せなんだと改めて気付くきっかけになりました。

その一方で、平凡の中に刺激が入り、力を合わせてそれに向かう姿や薊くんの素直で自分を突き通し続ける生き方を羨ましくも思いました。そしてなずなちゃんや薊くんの行動から勇気も貰えました。


この本にもあるように、人の死というのはとても辛くて悲しいことです。
それはどんな亡くなり方であっても。

世の中では今この瞬間にも新しい命が生まれたり、命が亡くなったり、いいことがあって喜んでいる人もいれば、寂しいことがあって悲しんでいる人もいる。
自分の見えていない場所で何かが起こっているってなんだか不思議だなと思います。


私は時間を巻き戻せたらいいのに……と思うことが今までにたくさんありました。
「あの時ああ言ったけどこう言った方が良かったかな。」
「あの時こうしてたらまた違う未来が待ってたのかな。」
こういうふうに思うことは私だけではなく、きっと生きていると誰もが少なくても1度は感じることだと思います。
時間を巻き戻せるだなんて、そんなこと日常ではありえないのに……。

だけど、「過去は変えられないけれど、未来は変えられる」という文章を見てとてもなるほどなと思いました。

その過去が嫌な苦しい過去だったとしても振り返ることでそこからどうしていこう、こうしていこうという新しい良い発見が生まれます。
過去を後悔することは今までそんなにいいことではないと無意識に思っていましたが、そんなこともないんだなとこの物語を読んで感じました。
過去を後悔することはこの本を読んだ後も変わらないでしょう。
逆に、後悔することでより良い未来が待っているのならそちらの方がいいと思えてきます。


そして鈴白くんの「小指の話」はとても共感したし、考えさせられました。
私も目に大きい麦粒腫ができた時、いつもなら普通にできていること、例えばコンタクトを付けてメイクをするなどができなくなった時に、その大切さやそれにしかできない役割に気付かされました。
それを人と照らし合わせるというのが凄く説得力がありました。

このようにこの物語を読むと色々な感情にさせられ、色々なことに気付くことができると思います。

深い話ではありますが、クスッと笑えたり、そう来るのかー!どうなるの!?というハラハラ感もあり、楽しみながら大切なことを学べると私は思いました。
そして個人的には鈴白くーーーんっっ!!となりました。

とても面白く、素敵な作品。
是非、たくさんの方に読んで頂きたい1冊です。

作品紹介



たとえ祈りが届かなくても君に伝えたいことがあるんだ
著者 汐見 夏衛
定価: 1,430円(本体1,300円+税)
発売日:2023年03月28日

もう一度、彼を救うチャンスをください。未来は変えられると信じて――。
高校2年生のなずなのクラスメイト鈴白くんが突然命を絶った。
彼は明るくて容姿も成績も良く、悩みがなさそうな人。だから自殺なんてしない。皆そう思っていた。
彼の悩みに気付いていたらと後悔が膨れ上がり、鈴白くんと一緒に作った思い出の砂時計に「時間を巻き戻したい」と願って眠ると、
翌朝なずなは一ヶ月前に戻っていた。あれは夢だったんだと安堵し、普通に毎日を過ごしていたが、彼はまた死を選んでしまい――。
ループする中で、なずなは鈴白くんを救えるのか?

学校では教えてくれない大切なことの全てがここにある!

何気ない毎日が愛おしくなる、勇気と希望の青春物語。

詳細:https://www.kadokawa.co.jp/product/322108000250/
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