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 ナンシー関さんによるこの作品(というより研究成果)は、多くの悩める人々に読まれるべき「実践的哲学書」だと思っています。
 例えば「記憶を頼りに観覧車を描いてみてください」と言われて実際に描いてみる時、記憶の正確さ、曖昧さの他に「作為」や「自意識」、そして「その時のムード」などが介入してくることがわかります。
 罪の疑いをかけられた政治家や官僚が口にする「記憶にございません」という定型文を紐解くと、その真意はともかく、自分自身のやったことというのは、覚えていることと覚えていないこと、自分の都合のいいように改竄して覚えていることというものがあることが分かります。まぁ、殆どが嘘だと思いますが。
 どんな偉い人であろうと、身近な存在である家族や友人たちの正確なホクロの位置を全て記憶しているでしょうか。アイドルのファンなら、お目当てのアイドルの全てを記憶するのかも知れません。それは「執着」と呼びます。
 堅苦しい世の中です。スマホは高性能で、AIって凄そうです。人間、それらに負けてはいられません。人間はいざとなれば、とんでもない力を発揮しますが、普段はこの程度の記憶力で、思い出しながらこんな可笑しな絵を描くんです。可愛くて仕方ありませんよね。「人間なんてこんなもんですよ」という言葉は、未来を生きる人々にとって、大切な心の保険になるんだろうな、と思いました。みんな、お互い許し合いましょうよ、ねぇ、ナンシーさん。


>>ナンシー 関『ナンシー関の記憶スケッチアカデミー』

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書籍

『ナンシー関の記憶スケッチアカデミー』

ナンシー 関

定価 518円(本体480円+税)

発売日:2003年03月25日

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