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試し読み

男が女を犯せぬ国があるという。「トッカン」「上流階級」シリーズ著者・高殿円の新たなる代表作!『忘らるる物語』試し読み#01

「王の子を産むか、さもなくば死か」次期皇帝を選ぶ道具にされた少女は、触れただけで男を殺せる伝説の民と出会った。
連載中から反響の大きかった、高殿円さんの『忘らるる物語』。単行本発売を記念して、第1章を特別公開します!



『忘らるる物語』試し読み1

 男が女を犯せぬ国があるという。
 犯すどころか、暴力さえも振るうことができない。女が男よりりょりょくも能力にも勝る。そんなクニがある。環璃ワリは長い間、それを土楼の井戸端か湯屋で紡がれるだけの他愛のないおとぎ話のたぐいだと思っていた。
 ──いいかい、ぜんぶ本当のことなんだ。女を暴力で犯そうとした男は、一瞬でパッと灰燼はいになっちまうのさ。まるではじめからいなかったかのようにね。だから女は、自分を襲った憎い相手を二度と見ないで済む。この世にはそんなクニがある。この黒々としたヨーム湿地帯のさらに向こうの万年雪をかぶったキルカナンの山々を越えたところ。いつも赤紫色に色づいた煙のような雲が流れているそのさらにむこう。果ての果ての果ての、そのまた果ての、塩と砂と金とが混じった死の海バトウーサを越えたさらに先。人の足ではたどり着けるかどうかもわからない険しい山の裂け目にその民は住んでいる。ウソだと思うだろうが本当なんだ。そこの女たちはこの環の大陸せかい中でだれよりも強い。たとえみかど親衛隊チヨーリーであっても、そいつらには指一本触れられやしないのさ……
 サンという名の大国がある。さんさんたる金づる国とも呼ばれている。環璃はその燦の国に隷属する北の小国、ほくげんげつたんという国の生まれである。
 その名のとおり、月端は大陸の中心部からはるか遠く隔たった国だ。環璃がその故郷を旅だってはや一年になる。輿こしに乗せられ、朝貢の使いが運ぶ珍しい白い亀のようにうやうやしく、都へ運ばれた。環璃にとってはただひたすらに、別の誰かの一生のように長く感じられた年月であった。
 環璃は今年、十八になった。かつての夫も月端の王族の出で母方の従兄弟いとこだった。六つの祝いを迎えたころに婚約し、十三のとしに夫が山をふたつ越えて婿入りしてきた。環璃の国では婿を取ることは珍しくない。ただ子供を産むことだけは女の仕事だから、環璃は十六で身ごもって無事子を産み落とすまでは、夫と父にまつりごとのすべてをまかせてきた。
 クニとはいえ、月の端っこと呼ばれる泥炭ばかりに覆われた貧しい土地であった。本来ならば見捨てられたただの荒野だったろうが、そこには人が住み着く前から神々の恵みである珍しいいきものが多くいた。銀色の毛に覆われたこの地方独特の背の高い羊や、宝石のようだと言われる八角の角を持つ山羊やぎ、馬よりも大きなクジャク、どんなはがねよりも硬いくちばしをもつたか。それら草原の恵みが月端の人々の生活を支えていた。
 草の芽吹く春に向かって集落を移動させ、真冬は都市の郊外に間借りして、春になれば緑を追って山に帰る。まるで近づいては遠ざかる月のように、環璃たちの氏族マギスはするりするりと権力から逃れて暮らしていた。そうやって幾年、千年。祖父の祖父のそのまた祖父のもっと前代まえから生きてきた。伝わる歌にも詩にも、この土地で一番醜いのは人間だとうたわれながら。
「わたしは、のうのかんむり鹿の一族の女王フーダ。右角に月を、左角に星をからめとって神になった。神は美しく、ひとは醜い。神は尊く、ひとはいやしい……」
 環璃の氏族はとくに、鹿を敬って生きてきた。数ある北原の獣の中で神である鹿は決して殺さず、大事に大事にして尊び寄り添って暮らしてきた。民のほとんどが羊や山羊や馬を飼い、街から来た隊商に銀毛や青いたてがみの馬を売る。何百年も変わらない素朴で信仰の厚い北原の暮らし……
(いいや、いまでもそうやって暮らしているだろう。ただ、わたしの親は、夫はもうこの世のどこにもいないだけだ。子はわたしを忘れたろう。違う女に乳をもらって、その女を母と呼んでいるだろう)
 祖国から引きずり出されるまで、環璃は外のことを知ろうとはしてこなかった。ごくたまに、この世界には千に近いクニがあって、それらをまとめて一帯八旗十六星幾万と呼び、その頂点には燦という帝国の帝が君臨しているのだと。そのクニは多くの金脈をもち、四方の海へと流れゆく太いウミのような川が金と人を運ぶと聞いたことはあった。けれど、子を産んだばかりの環璃にとっては、日々耳を通り過ぎていく風のうねりと同じくらいどうでもよいことで、通り過ぎる隊商が置き土産に耳に入れていくうわさじんも気に留めなかった。
 たしかに不穏な足音は聞こえていたのだ。次期女王ならば聞くべきだった。たとえ子に乳をやりながらでも、金の価値があるという旅人がもたらす話に耳を傾け、去ったあとはよくよく話し合うべきであった。環璃の氏族はそのあとすぐに、都からやってきた燦の軍によって根絶やしにされた。
 はらわたを引きずり出されるようにクニを追われ、たった一人真珠の輿に乗せられて運ばれた。その途中どこの者とも知れぬ荒々しい男たちに襲われて、輿を守っていた警備の兵も戦車も谷底へ落ちた。
 山賊たちは、生き残った環璃のお供の侍女たちを襲った。抱えられ、まるで小麦の袋のようにして持ち帰られていく女たちを見た。環璃は逃げた。最初に運良く茂みに逃げられたのですぐに担ぎ上げられずにすんだが、たかが女の足ではすぐに追いつかれる。やがて一人の賊の男が環璃の髪をつかみ、地面に引きずり落とした。
 そこは冷たく乾いた土の上で、男は環璃がなにか叫ぶたび、面倒くさげに環璃の頭を土に押しつけた。口の中に土が入って息苦しく、恐怖でなにも考えられないのに、なぜか男がしたばかまひもを解いた音だけは聞こえた。いまからなにをされるのか、環璃にはすべてわかっていた。そうしてやさしく歌が上手だった同い年の夫と、はやく子供が欲しいと夜ごと抱きあった日々を思い出した。夫は、環璃の顔が好きだと彼女を月にたとえてたくさんの詩歌を作った。我がつま、曇りなききみ、欠けても満ちても美しく、ひとみきらめきは研いだばかりのやいばを思わせる。よき旅人の友であり、わたしの一生の恋人──
 この下卑た山賊は環璃の顔など見ていない。わめいてうるさいから土の上に押しつける。窒息してもよいのだ。押し込む穴さえあればよい。だから一度も環璃の顔を見ようとも、乳をもうともしない。環璃は怒りで頭が真っ白になり、ああカミよ、月の神、マニよ。満月の母の神、三日月の娘の神、新月よ我が一族の鹿の王よ。わたしはここで死んでもよいから、このような行為をするすべての男の皮膚がただれて腐り落ちますように。願わくは力ずくで女を犯すすべての男に不幸な死を──!
 ふいに、環璃の顔を地面に押しつけていた力が緩んだ。そのすきに、環璃は首をひねって大きく息をした。土が肺の管に入りそうになって激しくき込んだ。しかし、男は環璃の上から身を起こし、離れたようだった。
 うめく男の声がする。男がだれかから攻撃を受けたことは、男の腰に深々と突き刺さった矢を見てすぐわかった。やじりが石か鉄かは知らないが無防備な男の腰にめり込んで帷子かたびらに血がにじんでいる。あの位置からして腰骨が損傷しているのがわかる。
(誰)
 つぶて混じりの雪が、白い息をさらに濃く染めては視界をチラチラと横切っていく。その冷たい紗幕シオのむこうに兵士が立っていた。よろい帷子かたびらもつけず、毛皮を首に巻き、髪をひとつに束ねた頭と顔をまだらに染めた布で包んでいるだけの軽装備の兵である。環璃の一行を警備していた都の兵ではない。むろん環璃を襲った山賊の仲間でもなさそうだ。
「安心しろ。もうその男は二度と立てない」
 環璃の上から転がり落ちた男は、土の上に伏していた。立ち上がろうともがいているがその言葉はまともな言語にならず、ああーとか、うぅーとか、ただ意味不明なうめきが山間に響くだけである。おそらく助けてくれ、と言いたいのだろう。環璃は破れて男にまくし上げられた裳衣タンをかき集めるようにして肌を隠し、ゆっくり立ち上がった。
「もう動かないの? 死ぬ?」
「死ぬ。まだ少しかかると思うけれど、凍死するか、失血死するかどちらか」
「そう」
 環璃はほっと息をつき、何度もまばたきをして男の腰の傷を見た。それが致命傷になりうる傷であることの確証を得たかったのである。男はいっこうに起きる気配を見せない。ただ呻き声だけが冬枯れ生命の色を失った岩地にこだまする。
「そう」
 裳衣のすそをたくし上げて、環璃はかかとを男の首に振り下ろした。男はゲッと声をあげ、車輪にかれた蝦蟇がまのようにピクピクと四肢を動かした。
「ひああーあああー」
 あまりにもうるさいので、環璃は男の頭の上に両足で乗り上げた。顔は土の中にめり込んで、いくらもしないうちに静かになった。
 環璃を助けた兵士は、環璃の足が汚いものから離れるのをじっと見ていた。覆面の奥の目は、太い木からしみ出す樹液が作る宝石のような色をしている。
「もう日が暮れる。火をかないと凍える」
「そうね」
「この先の岩場に風をしのげるくぼみがある。ついてくるか?」
 少年のような声だった。環璃は黙ってうなずいた。
 案内された洞穴には、兵士のものらしいむしろにつつまれた荷が無造作に置かれていた。積み上がった大小の岩と岩の間から植物の根が張りだしていて、その隙間からわずかに水がしたたり落ちている。環璃は夢中で両の手のひらで水を受け止め、すすった。のどが渇いていたことにも、水を見るまで気づかなかった。張っていた気がゆるんだのか、水を飲んでしばらくすると急に寒さが身にしみてきた。
 環璃がぼんやりと座っている間にも、あの兵士は洞穴の中にどんどんとものを運んできた。環璃の乗っていた輿は谷底に落ちてしまったが、警備の兵らが持っていた武器や明らかにお供の女たちが着ていただろう裳衣だけを持って戻ってきたときは驚いた。
「ほかは、もう死んでいた」
「わかってる」
 それをどうするの、などという愚かな問いを口に出しそうになって環璃は息をのみこんだ。女たちの服はすべて絹だ。売ればまとまった金になる。この若者が追いはぎをやっていようと山賊の去ったあとの残り物を拾う山の民であったとしても、それをここで問うことになんの意味もない。
 バラバラになった荷台の破片をかき集めて運んだあとは、岩地に生えていた松をなたで器用に切り倒し、入り口にどんどん積み上げて風よけを作った。
火打ちトンギはある?」
こせるのか?」
「それくらいはできる」
 身なりから環璃のことを裕福な貴族ロニの娘だと思ったのかもしれない。しかし環璃は北原の月端の生まれだ。たとえ火打ち石がなかったとしても火を熾こすあらゆる方法を知っている。
 少し風があったので時間がかかるかと思ったが、空気が乾燥しているので早く燃えた。それに洞穴の中に風の流れがないと長時間滞在するのは危険である。環璃が手際よく炉を作っているのを見て、兵士は驚いたようだった。
「わたしはお嬢さんロンニヤじゃない。こんなかっこうをしているけれど」
「燦の言葉を話している。北の草原のなまりがある。青いたてがみの馬の氏族か?」
「草原のことをよく知っているのね。それはしんせき。瑪瑙のかんむり鹿の氏族と、呼ばれていた。わたしは瑪瑙のかんむり鹿の女王」
「王なのか」
「そうよ。もう一族はほとんど滅んだから、いまは、わたしが女王」
 兵士は腰から水袋をはずし、覆面をとった。その顔が思った以上に幼く女性的であったので環璃は少なからず驚いた。ずっと少年だと思いこんでいたが、女性なのかもしれない。
「そこの水は飲めると思う。めておいたほうがいい」
「そうだな」
 ほどいた荷の中には、使い込まれた鉄のなべがあった。大きさからして一人で旅をしているのだろう。地元の人間なら鍋など持ち歩く必要はない。
「ねえ、あなた商人なの?」
「しっ」
 環璃の言葉を遮り、兵士は唇に指を当て、黙るように促した。
「ここから出るな」
「どうしたの」
「さっきのやつらが戻ってきた」
 さっきの奴ら、というのは間違いなく環璃を襲った山賊だろう。もしかしたら逃げた馬を捕まえに戻ったのか、それとも環璃が殺した男がいないことに気づいたのか。
「出るなよ」
 言い置いて、兵士は洞穴を出ていこうとする。いったいどうするつもりなのか。あいつらがもし人を捜しているのなら、隠れていてもいずれこの洞穴は見つかるだろう。ならば荒らされる前に自分から行って片づけるということなのだろうか。
 環璃はとっさに投げるのにちょうどいい石を探した。それからあの兵士が死んだ女たちの頭から抜いてきたかんざしの中からもっとも切っ先がとがったものを二本握りしめた。加勢にいくのではない、あの兵士がやられたら環璃とてすぐにおなじ目にあうのはわかっている。
《このやろう、お前がったのか!》
《てめえ!》
 複数の男の声が聞こえる。環璃を襲った男の死体を見てあの兵士がやったと決めつけ暴力をふるおうとしているのだ。
 飛び出していく勇気はなかった。かんざしを握りしめた手がぶるぶると震える。どうすればいいのか判断がつかない。こうしていてもいずれ発見され殺される。その前になぶられるだろう。さっきのことの繰り返しだ。だれにも守られていない無防備な女など、男にとってはすべて欲望を満たすためだけの道具でしかない。
 ああ、あの人、殺されてしまう。助けてくれたのに。助けようとしてくれていたのに。どうしよう。わたしも殺されてしまう。あの小さな子をこの世に残して。あの子が生きている以上、どんな境遇に陥っても自ら命を絶つことはせず、生きるために尽くそうと決めたのに。
 環璃は息を吸い、いばら松でふさがれた洞穴の入り口へ向かった。死を覚悟した。一度は回避できた、辱めを受けて迎える死がすぐ目の前に見える。
 洞穴を出て環璃がその場にたどり着いたとき、いち早くあの兵士が気づいた。いや、女だ。いまはっきりとそれがわかるのは、男が胸元を手でつかんでいたからだった。乳房がある。
 不思議なことにその女兵士はひるみもせず、男から逃げようともせず、武器にも手をかけずにまっすぐ立っている。背後にもう一人男がいて、彼女を羽交い締めにしているから動けないのだ。いままさに、男二人によって環璃がさっきされかけたようなことを強制されようとしていた。女は環璃を見るなり声を荒らげた。
「ばか、なんで来た!」
「いいから、逃げて!」
 環璃は男たちに向かって石を投げた。その隙に女に逃げて欲しかったからである。しかしその勇気もむなしく、石は男たちにかすりもせずにずいぶんと手前で落ちた。男たちの視線が環璃のほうへ向いた。
「ハハ、こりゃ都合がいい。もう一人いるぜ」
 たぶんそのようなことを男は言った。そして、目の前に差し出された食事にするように環璃に向かって軽々と手を伸ばした。環璃はかんざしを握る手にぐっと力を込めた。首だ。首にさえ刺せば致命傷を負わせられる。場所はよくわかっている。草原の獣もそうやって血抜きするのだ。
「わたしは瑪瑙のかんむり鹿の女王よ。これから都へ行って帝の妻になる。手を出せばどうなるか。お前は名を残せず、しかばねは弔われず、氏族は一人として血をつなげず死ぬ!」
 環璃の名乗りに、男たちが一瞬ひるんだ。いまだ。首をねらえ。
 そのとき、なにかがベキベキと音をたてて砕ける音を耳にした。
 ぶわっ
 音にするならそんな感じの悲鳴、そうそれは悲鳴だった。悲鳴のような破裂音だった。
 ぶわっ
 あれ、と環璃は思った。目の前から男が一人消えている。女兵士の乳房をつかんでいる男の手、その手だけが見える。手だけなのだ。奇妙なことに腕だけが女の乳房を摑んでいるのだ。
(腕……、腕がもげている)
 女兵士の足元に男が転がっていた。自分の腕がないことをまだ信じられないという顔をしていた。その表情が、まるで羊の腸に息を吹き入れたときのようにふくらみあっという間に人の顔ではなくなるのを、環璃はなかば陶然と眺めていた。
(花が)
 美しかった。
 男の皮膚に花が咲いている。なんの花なのかはわからない。花であるかもわからない。ほんの二度、三度瞬きをする間にも美しい青い文様が浮かんでは広がり、ざわざわと音をたてて変化してゆく。花弁が盛り上がり、なにかを咀嚼そしゃくするように内側に寄っては外に開く。なんてきれいな青だろう、光っている。こんな染めは一度も見たことがない。神々の贈り物とされた草原の青いたてがみの白馬ですら、このような色のものは見たことがない。
 花が大きく咲くたびにあおけに倒れた男の肉体は、身を包んでいた布を残して、まるで海綿が乾いていくように縮んでいった。それはその男だけではなく、女兵士を羽交い締めにしていた男も同様に、顔に七色の筋が走ったかと思うと、あっという間に手も頭も首も肌の色ではない色に染まり、花の文様が浮かび上がり、やがてはその花が盛り上がって肉の花弁を咲かせ、どんどんと小さくなっていく。
 ごとんと大きな音を立てて首が落ち、頭が転がった。もう足がない。手もない。頭だけがかろうじてわかる形で残っていて、ただし表面の皮膚はすべて色とりどりの入れ墨のような文様に覆われ、そこからでこぼこと花のなりそこないのようなものがしきりにうごめいているので、もはやそれが頭だと識別できるのはくぼんだがんがあるからにすぎなかった。
 目は多くを語る。男の目は真っ黒に染まるまで、最後まで何故なぜだと問うていた。なんで俺がこんな目に遭うんだと繰り返し繰り返し環璃に訴えながら、引きずり込まれれば二度とは帰ってはこられない、底なしの黒い沼にとらわれ、死んだ。
 なぜ、こんなことが起こっているのか、そんなこと環璃にもわかるはずがない。わかっているのは、たしかふたつ息を吸う前までは男が二人いて女兵士を羽交い締めにして襲おうとしていたが、乳房に手をかけたとたんに二人とも悪い病気にかかったかのように急速に縮んで、いまそのなれの果てが地面に丸太のように転がっているということだけだ。
「なんで……、なにが起こったの」

(つづく)

作品紹介



忘らるる物語
著者 高殿円
定価:2,090円(本体1,900円+税)
発売日:2023年3月10日

男が女を犯せぬ国があるという。

辺境の王族として生まれ、幸福な結婚をしたばかりの環璃は、突如たったひとりになった。広大な大陸を統べる燦帝国の次期皇帝を選ぶための籤、”皇后星”に選ばれたからだ。一族はすべて皆殺し、産んだばかりの息子を人質に取られ、環璃は候補の王たちと寝るためだけに国々を巡る。絶望の淵に突き落とされた彼女が出会ったのは、触れた男を塵にする力をもつチユギという名の戦士だった……。
女が産み、男が支配する世界を変える「忘れられた物語」とは? 破格のエンタテインメント巨編!

詳細:https://www.kadokawa.co.jp/product/322101000889/
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