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連載

今野敏「ヤメろと言われても! Ⅱ」 vol.4

大ベテラン作家の趣味は模型作り! 旅客機のミニプラモを「それらしく」作るには。今野敏「ヤメろと言われても! Ⅱ」#39

今野敏「ヤメろと言われても! Ⅱ」

前回にひきつづき旅客機のプラモ作り。小スケールのものを「それらしく」作るには小説とも共通点が。

 前回の続きで、旅客機のプラモデルを作る。ちなみに、この旅客機は、ボーイング787だと思われる。787–8、787–9、787–10などがあるようだが、航空機には詳しくないのでどれなのかわからない。
 たぶん、ロシアに行くときに初めて787に乗り、そのときの記念に機内でもらったプラモデルがこれ。
 まずは基本。パーティングライン消しだ。模型は、プラモデルだろうが、ガレージキットだろうが同様に、型に素材を注入して作られる。その際に型の合わせ目がどうしても製品に残ってしまう。それがパーティングラインだ。
 垂直に立てたカッターの刃を、横に動かして削る。通称「カンナがけ」だ。さらにサンドペーパーをかける。パーティングラインがあるとないとでは作品の完成度がまるで違ってくる。誰にでもできる簡単な作業なのだが、だからこそ大切なのだ。こういうところで手を抜いてはいけない。
 単純なプラモなので、勝負はディテールだ。ドアや翼の接合部分などのすじ彫りを入れていく。まずは、ドアを彫っていく。薄いスチールの定規は、曲面に合わせることもできるので重宝している。ドアが彫り終わったら、翼に線を入れていく。
 ただ、小スケールなので、本物と同じように筋彫りを入れてしまうと、しつこくなる恐れがある。それに、実際に翼にどんな線が入っているか私にはわからない。
 本来ならば、本物の写真を撮りにいくとか、資料を入手するとかの努力が必要だ。しかし、限られた時間の中での作業なので、そこまでやっている余裕はない。
 そこで、プラモデルの原則。「あくまでも、それらしく」だ。
 インターネット上にある旅客機の画像を参考にして、写真のような筋彫りを入れてみた。単純だが、何も描いていないものと比較すると、ぐっと「それらしく」なっているのがわかるだろう。
 これは実は小説にも言えることだ。ディテールが大切とばかりに、事実を細々と書いても読者には伝わりにくい。小説も、あくまで「それらしい」ことが重要なのだ。
 実は、小説のリアリティーというのは、いかに「それらしい」か、なのだ。私は警察小説を多く書いているが、警察組織や内部の話は事実とは異なっていることも少なくない。「それらしく」するために、わざと本物とは違うことを書くこともある。
 模型でも小説でも、うまく噓をつくことが大切なのだ。
 筋彫りが終わると、サフェーサーを吹く。これは必ずしも必要ではないが、筋彫りの具合が見やすくなるし、塗料の乗りがよくなるので、取りあえず吹いてみた。
 次回は塗装と仕上げになるはず。この仕上げが腕の見せ所なのだ。


カッターの刃でパーティングラインを削る


ドアの線を筋彫りで入れることにした


曲面に合わせられる薄いスチール定規は便利


筋彫りをすることで大分「それらしく」なる


サフェーサー(下地塗料)を吹きつける


つづきは次回、塗装と仕上げへ

写真=今野 敏

「カドブンノベル」2019年12月号収録「ヤメろと言われても! Ⅱ」第39回より


「カドブンノベル」2019年12月号


◎つづきの第40回は「カドブンノベル」2020年1月号に掲載しております。


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カドブンノベル

最新号 2020年2月号

1月10日 配信

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