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連載

今野敏「ヤメろと言われても! Ⅱ」 vol.5

大ベテラン作家の趣味は模型作り! 旅客機のミニプラモ作りの続き。塗装をして、ついに完成! 今野敏「ヤメろと言われても! Ⅱ」#40

今野敏「ヤメろと言われても! Ⅱ」

旅客機の小型プラモ作りの三回目。「それらしく」するために塗装でも様々な工夫を凝らす。
>>第39回

 旅客機のプラモの三回目。今回は塗装だ。まず、両エンジンの前方に、ニュートラルグレーの塗料をエアブラシで吹く。本格的な模型作りならば、できるだけ実物に近づけるために、色を調合するところから始める。
 塗料のボトルから出した色をそのまま吹き付けることはあまりない。色の調合もモデラーの腕の見せ所だ。
 だが、今回はボトルから出したそのままのニュートラルグレーを吹く。欲を言えば、白などを混ぜて、少し明るい色にしたかったのだが、そのままでも充分に雰囲気は出る。
 それが乾いたら、マスキングをして、今度は全体に白を吹く。この白という色は、実に微妙だ。一口に白と言っても、さまざまなバリエーションがある。
 衣類を思い描いてほしい。オフホワイトやアイボリーから青っぽい白まで、我々はすべて「白」と認識する。模型でも同様。それぞれの状況に応じて、白にグレーを混ぜたり、イエローを混ぜたりする。
 おおまかに言うと、イエローを混ぜると明るい白になり、グレーを混ぜると落ち着いた感じがする。高級感がほしかったり、渋さがほしいときはグレーを混ぜる。
 今回はタミヤカラーのフラットホワイトをそのまま吹く。
 全体に白が塗れたらデカールを貼っていく。元のデカールは窓やドアや会社名がすべて一体となっていたが、それをカッターで丁寧に切り離す。窓は窓だけ、会社名は会社名だけといった具合だ。
 これは、ドアをすじ彫りしたため、その部分のデカールが必要なくなったからだ。そして、デカールのテカリをできるだけ少なくしようという狙いもある。
 そして、エンジンのマスキングをはがせば、取りあえず出来上がり。これで完成と考えてもいい。だが、それではやはりもの足りない。ここから、ウェザリングを施していく。ウェザリングとは、「汚し」のことだ。実際の航空機には運用していく間にさまざまな汚れが付く。それを再現するのだ。
 まずは筋彫りを強調するための墨入れ。普通はエナメル系など基本塗料とは別系統の塗料を薄く溶き、それを筆で溝に流し込む。別系統の塗料を使うのは、溶剤で地の塗料を溶かさないためだ。アクリル系の塗料の上にアクリル系でウェザリングすると、下地が溶けてしまうのだ。
 だが、この墨入れは失敗して汚くなることが多い。だから私は秘技を使う。シャープペンシルで溝をなぞるだけだ。これは簡単でなおかつ効果てきめん。
 さらに、エナメル系の黒を薄く溶き、翼の後部にオイル洩れの筋を入れる。実は、本物の旅客機はいつも丁寧に洗っているので、こんな汚れは付いていない。あくまでも「それらしく」だ。そして、旅客機は完成。ぜひ、素組みと比べて見ていただきたい。


これは素組みの状態

これは素組みの状態


ニュートラルグレーの塗装をエアブラシで吹く

ニュートラルグレーの塗装をエアブラシで吹く


グレーが乾いたら、マスキングをして白を吹く

グレーが乾いたら、マスキングをして白を吹く


窓やロゴなど、切り離したデカールを貼っていく

窓やロゴなど、切り離したデカールを貼っていく


「汚し」、ウェザリングを「それらしく」施す

「汚し」、ウェザリングを「それらしく」施す


旅客機は完成!

旅客機は完成!


写真=今野 敏

「カドブンノベル」2020年1月号収録「ヤメろと言われても! Ⅱ」第40回より


「カドブンノベル」2020年1月号

「カドブンノベル」2020年1月号


◎つづきの第41回は「カドブンノベル」2020年2月号に掲載しております。


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最新号 2020年2月号

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