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連載

今野敏「ヤメろと言われても! Ⅱ」 vol.6

大ベテラン作家の趣味は模型作り! ロシアからの客人にもらったプラモデル編、スタート。今野敏「ヤメろと言われても! Ⅱ」#41

今野敏「ヤメろと言われても! Ⅱ」

プラモデルを作るのはまれという今野さんだが、ロシアからの客人が持ってきたのは……。
>>第40回

 普段、プラモデルを作ることはほとんどない。模型とはすなわち、型を模すること。つまり、似せて作ることだ。粘土やエポキシパテをこ/rt>ねる。木を削る。プラ板を貼り合わせる。そうして、何かに似せて形を作るのが、本来の模型だと思っている。
 だからといって、プラモデルが模型ではないと言っているわけではない。だが、それは厳密に言うと、誰かが作った模型のコピーだ。
 プラモデルにも原型がある。それを作る人がいる。その作業が本当の意味での模型作りだろう。その原型から金型を作り、スチロール樹脂を流し込んでキットを作ったものがプラモデルだ。つまり原型のコピーの大量生産品だ。
 フルスクラッチビルドを始めてから、プラモデルをあまり作らなくなった。プラモデルがつまらないというわけではない。フルスクラッチのほうが性に合っているのではないかと思う。
「いや、フルスクラッチのほうがハードルが高いだろう」
 そうお思いの方もおられるだろう。だが、私にとってはプラモデルのほうが面倒なことが多い。プラモデルは組み立て説明書、いわゆるインストに従って作らなければならない。順番を間違えたりすると、一度接着した部品を外して作り直したりするはめになる。
 それが面倒なのだ。他人が作った部品というのは、その意図をつかむまで時間がかかる。
 フルスクラッチの場合、すべての部品を自分で設計して削り出していくので、部品についてあれこれ考えることがない。
 決まった部品を、決まった順番で、決まった場所に接着しなければならない。もはや、それが面倒なのだ。
 前回まで、旅客機のプラモデルを作っていたので、もうしばらくはプラモデルに触れることはあるまいと思っていた。
 ところが先日、ロシアから客がやってきて、戦車のプラモデルを持って来てくれた。これは作らなければならないだろう。
 実は私は戦車プラモを作ったことがほとんどない。模型にはジャンルがあって、戦車は鉄道模型と並んで歴史があり、奥が深く、なかなか手強い。
 塗装も適当にやるわけにはいかない。現物の塗装を再現しなければならない。さらに、戦車模型はウェザリングの極致とも言える。塗装のはがれ、サビ、すす、オイル汚れ、土埃つちぼこり、泥汚れ……。それらすべてを表現しなければならないのだ。
 しばらくは、この戦車作りが続くのではないかと思う。新たに塗料も買い込まなければならないだろう。
 最近は、模型用の塗料を買うのもままならない。街から模型屋が消えているのだ。先日、渋谷の東急ハンズに行って驚いた。模型コーナーが消滅していたのだ。世の中から模型を作る人々がいなくなっているのだろうか。
 なんだか、とてもさびしい。


ロシアからの客人が戦車のプラモを持って来てくれた


中身はこのような感じ。しばらく製作が続きそう


箱の裏。ZVEZDA(ズヴェズダ)はロシアの模型メーカー


写真=今野 敏

「カドブンノベル」2020年2月号収録「ヤメろと言われても! Ⅱ」第41回より


「カドブンノベル」2020年2月号

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◎つづきの第42回は「カドブンノベル」2020年3月号に掲載しております。


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