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連載

今野敏「ヤメろと言われても! Ⅱ」 vol.10

【連載コラム】ロシア製戦車のプラモデル作りは続く。小さな部品を紛失しても、モデラーは慌てない。今野敏「ヤメろと言われても! Ⅱ」#45

今野敏「ヤメろと言われても! Ⅱ」

※本記事は連載コラムです。

ロシア製の戦車プラモ作りが続く。 小さな部品を紛失しても モデラーは慌てないのだ。

>>前回はこちら

 さらにロシア製戦車作りは続く。前回、このテルミナトールは、正確には戦車ではないと説明したが、模型のジャンルで言うと戦車なので、そう呼ばせてもらう。
 組み立てが進むほど、このキットはなかなかよくできていると感じる。作りはじめた当初は「ロシア製だから」と高をくくっていたが、なんのなんの、たいへん精度が高い。メーカーの本気度がわかる。
 ちゃんとインストを見ながら作っているはずなのに、どういうわけか、逆さまに接着しているところが、後で見つかったりする。そんなときも、モデラーは慌てない。
 カッターナイフを丁寧に動かして、接着面をはがしていく。プラモ用のセメントで接着したスチロール樹脂の部品は、それでたいていは分離することができる。
 コツは決して力を入れすぎないことだ。余分な力を入れると、部品は破損するし、カッターの刃も折れる。カッターの刃が欠けないくらいの力が目安だ。そして、正しい位置と方向に接着し直せばオーケー。
 時には、部品を紛失することがある。小さな部品をピンセットでつまんだとたん、パチンとどこかに飛んでいってしまったりするのだ。
 そうなれば、見つけるのは難しい。それでもやっぱり、モデラーは慌てない。
 実際に、部品を一つ飛ばしてしまったのだ。小さな部品なので、やはり、探し出すことはまず不可能。
 悩んだり、悔やんだりする暇があったら、部品を作り直したほうがいい。どんな模型も、原型は誰かが作ったのだ。他人が作ったものなら、自分で作れないはずがない。
 しかも、自作部品はそれほど精巧なものである必要はない。後で、塗装をしてしまえば、どうせ目立たないのだ。あくまで、それらしい雰囲気が出ていればいい。
 そういうわけで、5ミリ厚のプラ板から切り出して部品を作る。写真を見ていただきたい。ゴムマットに1センチの目盛がついているので、どれくらい小さいかおわかりいただけるだろう。だから、正確な形を再現することはできなかった。
 それでも、本体に取り付けてみると、見た目はそれなりになっていると思う。
 さて、模型作りは、キャタピラを取り付けるところまで来た。このキャタピラのことを、戦車モデラーたちは、「履帯りたい」と呼ぶ。履帯の表現は、キットそれぞれだ。ばらばらのピースをせっせと接着して一本の履帯に仕上げる精巧なものもあれば、逆に、太い輪ゴムのような大雑把なものもある。
 このキットでは、左右それぞれ、六つのピースに分けてある。そこそこの精巧さだ。
 履帯を取り付けると、ぐっと戦車っぽくなってくる。組み立ては三分の二くらいまで来ている。その後は、戦車模型最大の見せ場である塗装が待っている。


紛失してしまった小さな部品は、探し出すより作るほうが早い。5ミリ厚のプラ板から切り出す


本体に 取り付けてみると、見た目はそれなりにできている。後で塗装をしてしまえば目立たない


履帯を取り付け ると、ぐっと戦車っぽくなってくる。組み立ては3分の2くらいまで来た

「カドブンノベル」2020年6月号収録「ヤメろと言われても! Ⅱ」第45回より


「カドブンノベル」2020年6月号

「カドブンノベル」2020年6月号


◎つづきの第46回は「カドブンノベル」2020年7月号に掲載しております。


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