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連載

今野敏「ヤメろと言われても! Ⅱ」 vol.9

大ベテラン作家の趣味は模型作り! ロシアからの客人にもらった「BMP–Tテルミナトール」のプラモデルを進行中。 今野敏「ヤメろと言われても! Ⅱ」#44

今野敏「ヤメろと言われても! Ⅱ」

ひきつづき、ロシアからの 客人にもらったプラモデル作り。 戦車と思っていたが実は……?

 やはり、作りかけのロシア製戦車のプラモデルはなかなか完成しない。
 戦車と書いているが、このBMP–Tテルミナトールは、正しくは戦車支援戦闘車というものらしい。なるほど、戦車のシンボルとも言える、巨大な砲門はない。その代わりに二連の機関砲があり、ミサイルなどを装備している。
 ウィキペディアによると、「機甲部隊にT– 90 と混成 して装備する主力戦闘車両の一つとして、二〇〇五年から配備を開始した」のだそうだ。
 戦車二両に対して、テルミナトール一両で運用されるということだ。周辺視察装置が充実しており、戦車は死角から歩兵に攻撃されると弱いが、それを補う働きをするのだと言う。
 こうしたことを、知っているのと知らないのとでは、模型を作っていてノリが違ってくる。模型というのは、基本はモチーフとなる実物に対する思い入れが重要なのだ。
 ガンプラを作る人はガンダムの物語が好きだ。アニメを見ずにガンプラを作る人は、まずいないと思う。
 鉄道模型を作る人々は、徹底的に実物にこだわる。鉄道模型ファンは、鉄道ファンの一部なのだ。戦車を作る人は、本物の戦車が大好きだ。
 当たり前のことのように感じるかもしれないが、どれくらい実物にのめり込むかが、模型の完成度に関係してくるのは間違いないのだ。
 私もこのテルミナトールを作りはじめたときは、実物がどんなものかまったく知らなかった。何でも第一次チェチェン戦争で痛い目にあったことで、開発したのだそうだ。
 知識を仕入れるごとに、やる気が増してくるのがわかる。何度も言っているとおり、私はあまりプラモデルを作らない。ましてや、このプラモは、正直な話、連載があるから作りはじめたのだ。
 しかし、今や私の中にモチベーションがある。「なんでこんなに細かい窓みたいなものがいっぱいあるんだよ」などと文句を言っていたのだが、「そうか、充実した周辺視察装置とはこれらのことか」と納得するわけだ。
 さすがに作りが進むと、部品が反っていて隙間ができたりとか、ちゃんと作っているはずなのに、部品同士が干渉したりとか、えー、この可動ギミックは意味ないだろう、などというところが出てくる。
 しかし、たくましく、がしがしと組み立てていく。干渉するところがあれば、削ればいい。要するに「そこそこの完成度」を目指すのだ。何度も言うが、雑誌の作例のように作る必要などない。自分なりにきれいに作って満足できればいいのだ。
 楽しむためにハードルを下げることも必要なのだ。続けていれば必ず、完成品の水準は上がっていくのだから。


沢山の部品があるが、がしがしと組み立て ていく。実物がどんなものか知識をつける ことで、モチベーションがあがってきた

写真=今野敏

「カドブンノベル」2020年5月号収録「ヤメろと言われても! Ⅱ」第44回より


「カドブンノベル」2020年5月号

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