KADOKAWA Group
menu
menu

連載

カドブン meets 本が好き! vol.76

【書評】京都でわたしは、食べて、暮らして、前を向く。 『風待荘へようこそ』レビュー【本が好き!×カドブン】

カドブン meets 本が好き!

『風待荘へようこそ』レビュー【本が好き!×カドブン】

書評でつながる読書コミュニティサイト「本が好き!」(https://www.honzuki.jp/)に寄せられた、対象のKADOKAWA作品のレビューの中から、毎月のベストレビューを発表します!
今回のベストレビューは、近藤史恵さんの『風待荘へようこそ』に決まりました。ありがとうございました。



近藤史恵氏の新作『風待荘へようこそ』は、47歳の私にとって、思いがけない共感と励ましを与えてくれる一冊となりました。

レビュアー:zerokazuさん

近藤史恵氏の新作『風待荘へようこそ』は、47歳の私にとって、思いがけない共感と励ましを与えてくれる一冊となりました。

主人公の眞夏は45歳。突然の離婚宣告により、それまでの人生が一変します。妻として、母として生きてきた彼女が、京都の小さなゲストハウス「風待荘」で新たな一歩を踏み出す姿は、年齢や性別を超えて多くの読者の心に響くでしょう。

私たち40代後半の世代にとって、人生の転機は決して珍しいものではありません。
キャリアの変更、家族との関係の変化、自己アイデンティティの再考など、様々な課題に直面することがあります。
本書は、そんな私たちに寄り添い、新たな可能性を示唆してくれます。

特に印象的だったのは、眞夏が京都の食文化を通じて自身を取り戻していく過程です。
九条葱と厚揚げの衣笠丼や、すぐきの焼きめしなど、京都ならではの料理が登場し、読者の食欲をそそるとともに、新たな経験が人を変える力を持つことを教えてくれます。

また、シェアハウスでの生活や、多様な背景を持つ人々との交流は、私たち中年世代にとっても、固定観念を打ち破り、視野を広げるきっかけになるかもしれません。

本書は単なる「再出発」の物語ではありません。
それは、人生のどの段階であっても、自分自身を見つめ直し、新たな可能性に向かって歩み出す勇気を与えてくれる物語なのです。

『風待荘へようこそ』は、人生の岐路に立つ全ての人に、そっと寄り添い、優しく背中を押してくれる作品です。
この本を読んだ後、きっとあなたも自分の人生に新たな風を感じることができるはずです。

▼zerokazuさんのページ【本が好き!】
https://www.honzuki.jp/user/homepage/no4643/index.html

書誌情報



書 名:風待荘へようこそ
著 者:近藤史恵
発売日:2025年01月29日

京都でわたしは、食べて、暮らして、前を向く。

南天の木の植わった坪庭がある、京都の小さなゲストハウス「風待荘」。家族を失い東京からやってきた眞夏は、ここでしばらくオーナーの仕事を手伝うことになった。泣きたい毎日を変えるきっかけをくれたのは、料理。古い台所で作る九条葱と厚揚げの衣笠丼や、すぐきの焼きめし、近所で出会ったふわふわのだし巻き卵のサンド、レトロな喫茶店のゼリーポンチフロート。同居する四人の女性やお客さんと食卓を囲む時間に心を癒されていくなか、まさかの人物が眞夏を訪ねてやってくる……。

詳細:https://www.kadokawa.co.jp/product/322308001040/
amazonページはこちら
電子書籍ストアBOOK☆WALKERページはこちら

関連記事

【試し読み】近藤史恵『風待荘へようこそ』大ボリュームで特別公開!
https://note.com/kadobun_note/n/n08d142512a0f

【書評】『風待荘へようこそ』レビュー【評者:大矢博子】
https://note.com/kadobun_note/n/n9f05137d596c

【ブックガイド】食べて、料理して、人生を取り戻す 近藤史恵・5つの食卓
https://note.com/kadobun_note/n/nf87448e35ddb

【ブックガイド】ゆるやかに、人生が変わる街 京都暮らし小説6選
https://note.com/kadobun_note/n/ncf3f3507f2e5


紹介した書籍

関連書籍

MAGAZINES

小説 野性時代

最新号
2025年4月号

3月25日 発売

ダ・ヴィンチ

最新号
2025年5月号

4月4日 発売

怪と幽

最新号
Vol.018

12月10日 発売

ランキング

アクセスランキング

新着コンテンツ

TOP