
【書評】読むと呪われ取り憑かれる。だってこれは「本物の怪異」なのです――。 『Re:Re:Re:Re:ホラー小説のプロット案』レビュー【本が好き!×カドブン】
カドブン meets 本が好き!

『Re:Re:Re:Re:ホラー小説のプロット案』レビュー【本が好き!×カドブン】
書評でつながる読書コミュニティサイト「本が好き!」(https://www.honzuki.jp/)に寄せられた、対象のKADOKAWA作品のレビューの中から、毎月のベストレビューを発表します!
今月はときのきさんの『友が、消えた』レビューと、真夏日和さんの『Re:Re:Re:Re:ホラー小説のプロット案』レビューの2作品が選ばれました。ありがとうございました。
本記事では、真夏日和さんのレビューをお届けします。
たとえば、本物の怪異を作り出すことは可能なのだろうか??
レビュアー:真夏日和さん
※ネタバレ注意! 以下の文には結末や犯人など重要な内容が含まれている場合があります。
最近流行りのモキュメンタリーホラー小説と思って読み始めたら甘かった。
心の中というか作者の頭の中をがんがん覗くイメージの作品だった。
神視点としての顔の怪異が読者(?)として存在する世界を作者が構築していく物語として読んだけど、それが正しいのかどうか分からない。
一冊だけ小説を出した売れない作家の八方鈴斗が起死回生に選んだプロットが、出版社で禁忌とされている内容で担当編集者から扱えないと断られるがせっかく集めた資料を棄てることは出来ず、友人で売れっ子作家のKに相談して見せることから物語の形の怪異が動き始める。
物語に執着した作家と怪異、そして世界はすべて決められているというキリスト教の予定説ような世界観、作家の物語を作り出すための考察などが繰り返される感じも、かなり読み手を選ぶかもしれない。
でもこの面白さがわかった時に達成感を感じる作品だと思う。
主人公の売れっ子作家Kに対する気持ちとか、Kが主人公へとメールを送ってくるところ、作っていたはずの物語が神視点の怪異への挑戦状に変わるところなど、お気に入りポイントもたくさんあって読みとおした達成感があった。
怪異のはなしを集めるって本当にリスク高いのかもだけど、作り出すのももしかしたら、とは思わずにはいられない。
▼真夏日和さんのページ【本が好き!】
https://www.honzuki.jp/user/homepage/no13905/index.html
書誌情報
書 名:Re:Re:Re:Re:ホラー小説のプロット案
著 者:八方鈴斗
発売日:2024年12月25日
読むと呪われ取り憑かれる。だってこれは「本物の怪異」なのです――。
やっぱり全部、物語なんじゃないか?
第9回 カクヨムWeb小説コンテスト ホラー部門 大賞受賞作!
次回作を出せず苦戦している小説家の「私」は、ネタ探しのためにSNSや過去のニュース記事を探るうちに、ある奇妙な共通点に気づく。それは、何かしらの不幸に陥った人々が、示し合わせたわけでもないのに、顔に関連する不可解な言動をしている……「顔の怪異」に遭遇していることだった。このアイデアならば凄まじい作品を生み出せる。そんな衝動に駆られた「私」は担当編集者に連絡するも、それが出版社に伝わる「禁忌題目」というタブーに触れていると断られてしまう。どうしても諦めきれない「私」だったが、やがて大きな恐怖に巻き込まれていく……。
詳細:https://www.kadokawa.co.jp/product/322407001127/
amazonページはこちら
電子書籍ストアBOOK☆WALKERページはこちら