【第190回】柚月裕子『誓いの証言』〈佐方貞人シリーズ弁護士編〉
【連載小説】柚月裕子『誓いの証言』

柚月裕子さんによる小説『誓いの証言』を毎日連載中!(日曜・祝日除く)
大人気法廷ミステリー「佐方貞人」シリーズ、待望の最新作をお楽しみください。
【第190回】柚月裕子『誓いの証言』
久保は香川で自分がしたことを忘れたくて、東京の弁護士事務所に勤めてからは、香川のことを無理やり記憶から消し去ってきたという。だから、原滋がどうなったのか、なぜ晶が養女に出されたのか、まったくわからないと答えた。
今回、ユウカが久保を
佐方は久保に、これからユウカを養女にした安藤文子と原滋の周辺を調べる、と告げて新宿署をあとにした。
佐方はすぐに、安藤文子をあたった。
小坂に電話をして、安藤文子に連絡してほしいと頼む。文子に、養女である晶について話を聞くためだ。
それと同時進行で、佐方は香川時代に久保が勤めていた平尾弁護士事務所へ連絡をとった。電話に出た女性事務員に身元を名乗り、いま、かつてそこに勤めていた久保利典という弁護士の弁護人を務めている。ついては、久保がいた当時に扱っていたある案件について話が聞きたい、と伝えた。
女性は、改めてこちらからかけなおします、と言い、一旦、電話を切った。折り返しの電話がかかってきたのは、十分が過ぎたあたりだった。
電話の相手は、
(つづく)
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