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連載

コロナの時代の読書〜私たちは何を読むべきか vol.2

感染症で滅びた都市に迫るアドベンチャー・ノンフィクション――篠田節子【コロナの時代の読書】

コロナの時代の読書〜私たちは何を読むべきか

文字と想像力があれば、人はどこにでも行ける。
世界の見え方が変わる一冊、ここにあります。

篠田節子さんが選んだ一冊

『猿神のロスト・シティ 地上最後の秘境に眠る謎の文明を探せ』

ダグラス・プレストン・著 鍛原多恵子・訳/NHK出版
https://bookwalker.jp/de8d8523d9-e955-4812-bfb9-4b81fd85332a/



 中米ホンジュラスの密林の奥にあるといわれる伝説にまつわる都市の探検調査チームに同行した作家によって書かれたノンフィクション。

 失われた都市発見までの行程もスリリングだが、ジャレド・ダイアモンドの『銃・病原菌・鉄』を引きながら、かつて栄えた都市が滅びた原因について、侵略者であるスペイン人がヨーロッパから持ち込んだ感染症であるとして、描き出された凋落する都市の姿は、2020年にコロナ禍に見舞われた大都市の風景に重なり興味深い。

 そうして滅びた都市の調査を終えて戻ってきた調査チームの人々に、次々と奇病が発生。封印された都市に侵入した者にかけられた呪いかと思わせる不気味な現象が、実はジャングルの吸血昆虫に媒介された寄生虫による難病と判明するくだりは何とも皮肉だ。感染症は古今東西を問わず、人が密集する都市の病であり、密林の奧では未知の細菌、寄生虫が人間の侵入を拒む。

 文明、人、自然、国家などなどについて、興味深い話題満載の大人の冒険譚。

篠田節子(小説家)



みなさんもぜひ「コロナの時代に読んで欲しい本」を投稿してください。
ご応募はこちらから→https://kakuyomu.jp/special/entry/readingguide_2020


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