元米国ファーストレディが語る、不安の多い世界との向き合い方
ミシェル・オバマ『心に、光を。 不確実な時代を生き抜く』レビュー
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『心に、光を。 不確実な時代を生き抜く』
著者:ミシェル・オバマ
書評:西村宏堂(アーティスト/ 僧侶)
2022年暮れ、私はNHK紅白歌合戦にゲスト審査員として出演させていただいた。私に与えられたのは、大好きな歌手、Perfumeについてのコメント20秒だった。
与えられた時間内で、何を話そうか考えていた時に、ミシェル・オバマが『心に、光を。』で話していた言葉が浮かんできた。それは「人生では、見えないものを夢見るのはむずかしい」という言葉だった。
人が何かをする時には、お手本が必要で、それがないと実現しづらいということは、逆にお手本があれば、他の人もその道をたどりやすいということだ。私も何か他の人のお手本になれないだろうかと考えた。
私は自分が同性愛者であると堂々と発信することによって、他の人たちのお手本になりたいと思った。まだまだ同性愛に偏見がある日本において、価値観をアップデートさせたいと思ったのだ。年末特有の雰囲気の中で、どのように明るいトーンで同性愛者の苦しみについて伝えるかは難しい課題だった。
そこで私が考えたコメントは「私は私の親友とはPerfumeが好きだということで仲良くなったのですが、お互い同性愛者で、メイクを一緒にしたりとか、私が親にカミングアウトする時も励ましてくれた友達で、本当にPerfumeさんのつなげてくれたご縁に感謝しています。」というものだった。
ミシェルは自分の弱みを見せることで、人とつながれると言っている。
私はあえてカミングアウトできなかった時の辛さを語ることで、視聴者に親近感を持ってもらいたいと思った。弱みを見せることは、もう自分は被害者ではないということを伝えるという強さを見せることでもある。
私は発言する直前まで、メモを見ながら練習をした。本番では少し早口になってしまったが、想いを話すことができた。後にNHKの方に、宏堂さんのコメントは意味があって良かった、と言われ自分の役割を果たせたような気がした。
日本の法律はなかなか変わらないようだが、ミシェルは諦めないで活動を続けることの大切さを強調している。彼女は私が進むべき道を示し、諦めたくなった時や、自分に価値を感じられなくなった時に励ましてくれるのだ。
この本を、何か新しいことに挑戦したいと思っている人、自分を信じる力が欲しい人にはぜひお勧めしたい。読書中はミシェルと同じテーブルに座っているような気分になる。そして人間なら誰しも直面する問題をミシェルがどう乗り越えてきたのか、実体験を交えながら一緒に考えてくれているような気になるのだ。私にとってミシェルの尊敬できるところは、スーパーウーマンのように見える彼女でも、私たちと同じように悩みを持つ普通の人間であるということを見せてくれる心の大きさだ。
だからこそ、私たちも悩みを乗り越えて、今まで誰も実現できなかったことでさえも、成し遂げられると信じることができるのだ。
そんなミシェルの内側から輝く光は、私たちを灯台のように導いてくれることだろう。
作品紹介
心に、光を。 不確実な時代を生き抜く
著者:ミシェル・オバマ 訳者:山田 文
発売日:2023年09月26日
元米国ファーストレディが語る、不安の多い世界との向き合い方
58年、わたしは不安を抱えて生きてきた。
場ちがいだ、ここにいるべきじゃない、誰もわたしを気にとめていない。
まわりから浮いている。
でも、ちがう。
どんな世界に暮らしたい? 誰を信頼する? 子どもはどうやって大人になる?
人生の大きな問題に、わかりいやすい解決策なんてない。
不安を抱える人たちに、心から安らげる場をもたらしたい。
少し自分の世界を広げるために、リスクを取ることを恐れない。
誰かといっしょに自分の問題を考えることには、意味がある。
さあ、心の中にある光を、見つけよう。
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