KADOKAWA Group
menu
menu

レビュー

娘を殺された父の復讐は正義なのか? 重いテーマが導き出す予想外の結末。 『さまよう刃』

 中学で習ったハンムラビ法典の「目には目を歯には歯を」とは、自分が受けた害と同等の害を相手に加える報復律。加害者を戒めるだけでなく、被害者側の無限かつ過度な報復を防ぐという意味もあるらしい。
 長峰の一人娘・絵摩は未成年の少年たちに蹂躙され、無残な姿で発見される。
 現代にハンムラビ法典は通用しない。そして罪を犯した未成年者には少年法がある。つまり絵摩を貶めた少年たちは法に守られる。長峰は何かに突き動かされるように自分の手で彼らを裁くことを決意する。
 正直読んでいる間、苦しく辛かった。長峰の気持ちが痛いほど伝わったからだ。一方で正義とは、愛とは何なのかを考え続けた。被害者、警察……正義にはそれぞれの言い分がある。しかし愛には善も悪もなく、ただひたすらに注がれる……たとえ罪を犯した子どもにも。  
 長峰が振りかざしたのは正義の刃だろうか。その刃はラストで読者に突き刺さる。

>>東野圭吾『さまよう(やいば)


紹介した書籍

新着コンテンツ

もっとみる

NEWS

もっとみる

PICK UP

  • ブックコンシェルジュ
  • 「カドブン」note出張所

MAGAZINES

小説 野性時代

最新号
2025年3月号

2月25日 発売

ダ・ヴィンチ

最新号
2025年3月号

2月6日 発売

怪と幽

最新号
Vol.018

12月10日 発売

ランキング

書籍週間ランキング

1

気になってる人が男じゃなかった VOL.3

著者 新井すみこ

2

はじまりと おわりと はじまりと ―まだ見ぬままになった弟子へ―

著者 川西賢志郎

3

今日もネコ様の圧が強い

著者 うぐいす歌子

4

地雷グリコ

著者 青崎有吾

5

ただ君に幸あらんことを

著者 ニシダ

6

雨の日の心理学 こころのケアがはじまったら

著者 東畑開人

2025年2月17日 - 2025年2月23日 紀伊國屋書店調べ

もっとみる

レビューランキング

TOP