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【レビュアー:岸田繁】命の意味、なんて軽々しく語るもんじゃないと思うけれど、語らないと始まらない

「記憶に新しい」と心の中で感じているままに、6年半の月日が過ぎ去った。多くの人々にとっての2011年3月11日がどのようなものであったかは、人々の数だけ答えがあるだろう。傷痕の癒えない福島県相双地域と、若くして亡くなった福島民友の新聞記者、熊田由貴生と、生き残った仲間たちの胸の内、新聞記者という職業の知られざる「業」、生きていること、生かされていることの「意味」との対峙…。
 多くの証言や取材によって、まざまざと見せつけられることになる生々しい記録と記憶は、6年半の月日を経てなお、魂に迫り来る痛烈さと悲壮さがある。「福島のために」「生きていてくれてありがとう」という言葉の本当の意味と重さのことを、もう一度胸の奥から引き摺り出そうと思う。語るべきことの多い現代社会。混迷する世界情勢、未来像に惑う日本、インターネット上に溢れかえる情報の渦…ジャーナリズムのお手本はここにある。


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