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特集

【読み物】直島翔原作のドラマ「テミスの不確かな法廷」が10倍楽しめる3つのポイント

1月6日(火)に放送を開始した、ドラマ10「テミスの不確かな法廷」(NHK)。原作小説『テミスの不確かな法廷』『テミスの不確かな法廷 再審の証人』ファンも、原作を未読の方も、知ると10倍ドラマが楽しめるポイントを解説します!

文/タカザワケンジ



発達障害の特性を隠して「普通」であろうとしてきた裁判官の主人公

 直島翔さん原作、松山ケンイチさん主演のドラマ「テミスの不確かな法廷」の第1話を試写会で一足早く視聴することができた。
 主人公の安堂清春は前橋地方裁判所第一支部に所属する、任官7年目の裁判官。安堂には周囲に隠していることがあった。子供の頃にASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如多動症)と診断されていることだ。安堂はそれ以来、自分の特性と向き合いながら「普通」であろうとしてきた。
 原作では安堂の内面を細かく描写することでASD、ADHDの特性を持つ方にとって世界がどのように見えるかを読者に伝えている。しかし映像では当然のことながら視覚的に表現しなければならない。これまで数々の難役を演じてきた松山ケンイチさんが、安堂をどのように演じるのかがこのドラマの第一の見所である。
 実際に、松山さん演じる安堂の周囲の人たちと交わす会話の微妙なズレ、視線の動かし方など、原作の山路薫子医師の言葉を引けば「生まれつき脳の働きにかたよりがあって、言葉の受け取り方みたいなものが変わってくる」特性が表現されている。
 発達障害の特性を持つ主人公が専門職で活躍するドラマはこれまでも注目を浴びてきた。法曹では韓国ドラマ『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』、警察ではフランスのドラマ『アストリッドとラファエル 文書係の事件録』などがあり、いずれも特性を持つ人の天才的なひらめきが事件を解決する糸口になった。
 『テミスの不確かな法廷』でも安堂の視点や着想は真実に至るための重要な要素ではあるが、ウ・ヨンウやアストリッドとは違い、周囲にその特性を隠している。ゆえに特別視されることはあまりなく、少し風変わりな人という印象に留まっている。そのおかげで、私たちにとってより身近な、リアリティのあるドラマになっていると言えよう。


ドラマ10「テミスの不確かな法廷」第1話より


ドラマ「イチケイのカラス」脚本家・浜田秀哉と「宙わたる教室」演出・吉川久岳のタッグ

 ドラマの脚本は浜田秀哉。裁判官を主人公にしたヒットドラマ「イチケイのカラス」で法廷劇は経験済み。「イチケイのカラス」では対照的な裁判官二人のやりとりが話題となったが、「テミスの不確かな法廷」では、安堂と弁護士の小野崎乃亜(演:鳴海唯)のやりとりが軽妙で楽しい。演出は吉川久岳。同じNHKのドラマ10枠の「宙わたる教室」が高い評価を受けたことが記憶に新しい。
 第1話は市長が乗るクルマにぶつかり、降りてきた市長を殴ったことで逮捕された青年の裁判。第2話はバスケットボールを通じて知り合った別の高校の先輩を殴り、大けがを負わせた高校生が被告だ。いずれも大事件ではないものの、真実が解明される過程で犯罪を犯してしまう人間の哀しみが浮かび上がる。
 登場人物では、原作と同様、安堂裁判官と小野崎弁護士の二人がドラマの軸となっていきそうだが、周囲の人物たちも個性的だ。

「伝説の反逆児」と呼ばれた裁判官、エリート判事補などの個性豊かな同僚

 遠藤憲一さん演じる門倉は前橋地方裁判所第一支部での安堂の上司。原作よりもキャラクターが膨らまされていて、裁判官らしからぬざっくばらんで、くだけた人物だ。実は「伝説の反逆児」と呼ばれた過去があるとされており、これからのエピソードが楽しみだ。ほかにも同じ第一支部に何かと安堂のやり方に反発するエリート判事補の落合(演:恒松祐里)や書記官の二人(演:山田真歩、葉山奨之)がいる。上司や同僚との関係がこれからどうなっていくのか、法廷だけでなく、その裏側にある前橋地方裁判所第一支部の中で起きるドラマにも注目したい。
 ままならない脳の動きに抗いつつ、その特性を活かして真実を追究しようとする安堂。ドラマではさっそく第2話でオリジナルのエピソードが出てくるらしい。ほかにも原作にはない物語が用意されているようだ。原作ファンも、原作を未読の方も、ミステリとしても、人間ドラマとして楽しめる作品になりそうだ。


ドラマ10「テミスの不確かな法廷」第1話より


ドラマ情報

ドラマ10「テミスの不確かな法廷」
2026年1月6日(火)放送開始予定(全8話)
NHK総合 毎週火曜 夜10:00~
※NHK ONE(新NHKプラス)で同時・見逃し配信中
出演:
松山ケンイチ  鳴海唯 恒松祐里 山崎樹範
市川実日子/和久井映見 遠藤憲一 ほか
脚本:浜田秀哉
音楽:jizue
演出:吉川久岳(ランプ)、山下和徳、相良健一、富澤昭文
制作統括: 橋立聖史(ランプ)、神林伸太郎(NHKエンタープライズ)、渡辺悟(NHK)

https://www.nhk.jp/g/ts/32VWPKM6NX/

書誌情報

異色の青春×リーガルミステリ。原作小説第1弾!



書名:テミスの不確かな法廷
著者:直島 翔
発売日:2025年11月25日

Y地裁に赴任して半年、副市長が襲われた傷害事件を担当することになった裁判官の安堂清春は、弁護士の小野崎から被告人が無言を貫いていると聞き、何かを隠しているのではないかと気づくが……。微笑みながら殺人を告白する教師、娘は殺されたと主張する父親。生きづらさを抱えた青年が様々な事件に挑む、異色の青春リーガルミステリ!

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ラスト3ページで世界が反転。逆転法廷劇が話題の原作小説第2弾!



書名:テミスの不確かな法廷 再審の証人
著者:直島 翔
発売日:2025年12月22日

発達障害の特性に悩みながら日々裁判に向き合う安堂は、7千万円を盗み起訴された女性銀行員が囁いた一言、飼い犬殺害事件に潜むかすかな違和感などから、事件の真相を明らかにしていく。そんな中に現れた、殺人の濡れ衣を着せられたと訴える男。その再審裁判で証人として出廷したのは、検察ナンバー3の地位にいる安堂の父だった……。衝撃と感涙のラストが待ち受ける法廷ミステリ!

詳細:https://www.kadokawa.co.jp/product/322507000961/
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直島 翔(なおしま・しょう)
1964年、宮崎県生まれ。立教大学社会学部卒業。新聞社勤務。社会部時代、検察庁など司法を担当し、『転がる検事に苔むさず』で第3回警察小説大賞を受賞し作家デビュー。その他の著書に『恋する検事はわきまえない』『警察医のコード』がある。

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