【連載小説】クーラーのリモコンが全宇宙消滅の引き金に――!? ヨーロッパ企画の傑作と『四畳半神話大系』が融合! 森見登美彦・著 上田 誠・原案「四畳半タイムマシンブルース」#1-8
森見登美彦・著 上田 誠・原案「四畳半タイムマシンブルース」

※本記事は連載小説です。
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その悲劇によって魂の抜け殻となった私は、居ならぶ人々のブーイングにも聞く耳持たず、わけのわからない裸踊りの要求を
ここで時計の針を八月十二日の午後に戻そう。
私は廊下の壁にもたれて明石さんの横顔を見つめていた。
明石さんは誰かと送り火見物へ出かける──。
彼女は青ざめた顔でパソコンを睨み、その顔つきはいよいよ厳しかった。編集に頭を悩ませているのだろう。送り火デートの相手を訊けるような雰囲気ではない。
明石さんがパソコンを見つめたまま言った。
「先輩、ちょっといいですか」
おそろしく真剣な声だった。
こちらの考えを見抜かれたような気がして、私はギクリとした。