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【キャラホラ通信2月号】『彼女の色に届くまで』刊行記念 似鳥鶏インタビュー
角川文庫キャラ文通信
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日常の謎から世界を股にかけたスリリングなミステリまで、縦横無尽に謎を操る作家・似鳥鶏さん。そんな似鳥さんの絵画をめぐるミステリ『彼女の色に届くまで』が待望の文庫化! 作品への想いをたっぷりうかがいました。
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――『彼女の色に届くまで』、ついに文庫化ですね! 単行本刊行の際には、本格ミステリ大賞、日本推理作家協会賞短編部門(雑誌掲載時タイトル「鼠でも天才でもなく」。書籍化にあたって「極彩色を越えて」に改題)へのノミネートに加え、TVでも紹介され話題になった本作ですが、まずはこの作品が生まれたきっかけを教えてください。
似鳥:もともとアート好きなので、アート関連の話を書きたいとは思っていました。そこに加えて以前、某社の担当さんに思い切って「今の私に足りない部分は何ですか」と質問したら「主人公が悩むことがないのでは」という回答をいただきました。なので「主人公が悩む話」ができたらな、と思いました。担当さんも答えにくいことをよく答えてくださったものだと思います。
――確かに「主人公が悩む話」ですね。主人公の緑川くんは最後の“選択”の瞬間まで苦悩が尽きないのですが、彼が何を選び取るのかは、ぜひ作品をお読みいただくとして――。似鳥さんにとって、この作品の読みどころ(おすすめポイント)はどこですか?
似鳥:本格ミステリとしての構造はもちろん、この主人公の「持っている人」と「持っていない自分」という悩みは大抵の人に共通のものだと思います。また、実在の絵画が図版でそのまま登場したり、脚注でアーティストの説明があったり、アートって面白いよ、という紹介にもなっています。
――アートの超入門本としてもおすすめ、ということですね! 主人公の緑川くんの心中は、各章の間にモノローグとして描かれていきますが、読んでいてとてもヒリヒリしました。特にお気に入りのキャラクターはいますか? その理由も教えてください。
似鳥:筋肉男・風戸は書いていて楽しかったです。大抵のことは筋肉でなんとかなるのではないでしょうか。
――風戸君、いいキャラクターですよね! インパクトが強いけれど、同時にいい奴でもあり。ちなみにヒロインの千坂 桜さんについては書いていて、いかがでしたか?
似鳥:変人の名探偵は大好きなので、彼女も大好きです。実はもう1つのコンセプトが「ホームズに恋するワトソン」でした。そのせいもあってかなり彼岸の存在になっているような気がしますが、そのあたりも書いていて楽しかったです。
――それでは、今後、書いていきたいものを教えてください。
似鳥:今年はしばらく刊行がなかったシリーズの続編がいろいろ出ます。また特殊設定のある警察小説を制作中です。本作『彼女の色に届くまで』がシリーズ化されるかどうかにつきましては、この文庫版の売れ行き次第ということで。
――最後に、読者に一言メッセージをお願いします!
似鳥:今後もお値段以上を約束していきます。読みやすく、楽しく、も常に意識しているので、ミステリを読んでみたいけど難しそう、という方も是非よろしくです。
▼似鳥鶏『彼女の色に届くまで』詳細はこちら(KADOKAWAオフィシャルページ)
https://www.kadokawa.co.jp/product/321904000356/