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角川文庫キャラホラ通信

【キャラホラ通信2月号】『天涯の楽土』刊行記念 篠原悠希インタビュー

角川文庫キャラホラ通信

「金椛国春秋」シリーズで大人気の作家・篠原悠希さん。そんな篠原さんの伝説的デビュー作『天涯の楽土』がついに文庫化! 作品への想いのほか、続編についてもうかがいました!

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――本作は篠原さんのデビュー作ですが、この作品を書こうと思ったきっかけを教えてください。

篠原:日本神話を背景にした古代史小説や神話ファンタジーは、昔から書いては公募に送っていたのですが、なかなか二次選考を突破することができずにいました。そこで、いったん古事記や日本書紀から離れて、文字による記録の残っていない太古の日本について見つめなおすことにしました。

古代史最大の謎と言えば「日本人の祖先は、どこから来たのか」。
魏志倭人伝の成立した西暦3世紀には邪馬台国があり、さらに遡った西暦1世紀には奴国王が金印を後漢から授かっていたことから、当時は「国」があり「王」や「女王」がいて、大陸との交流があったことが明らかになっています。

『天涯の楽土』ではもっと時代を遡った紀元前1世紀の、弥生時代の中期から後期の時代に舞台を設定しました。
東の海にあるという蓬莱に赴き、不老長寿の薬を探すようにと、始皇帝が徐福に命じてから約150年が過ぎたころです。その徐福と3000人の大陸人が日本に漂着したという伝説は、各地に残されています。

まだ人口も少なく、大規模な集落も数えるほどであったろう、“国”という概念すらなかった時代、名も知れぬ人々がどのように生きていたのか。海の向こうから訪れた「稀人(まれびと)」とその文化をどのように受け入れたのか、あるいは受け入れなかったのか。

九州北部の吉野ヶ里や、山口県の土井ヶ浜遺跡の発掘品からも、弥生人の祖先とされる渡来人がどこから来たのか、どのように日本の先住民とかかわっていったのか、人々の生活がどのように変化していったのか、と想像力を刺激されます。
そうした世界に想像を広げて書き上げたのが、『天涯の楽土』でした。


――一番書きたかった部分はどこですか?

篠原:ご想像におまかせします。読者の世代や経験によって、面白いとか、共感を覚えるエピソードは異なります。どこを読んでも楽しんでもらえて、どこかの場面が印象に残ればとても嬉しいです。


――特にお気に入りのキャラクターはいますか ? その理由も教えてください。

篠原:鷹士ですね。アマチュア時代からいくつかの作品にわき役として存在していたキャラなのですが、なかなか主役になれずにいました。今回ようやくカウンターキャラにまで出世しました。おめでとうと言ってあげたいです。


――鷹士のどのあたりが魅力と思われますか?

篠原:どのあたりでしょう(汗)。魅力かどうかわかりませんが、不言実行型なので、動いてくれないと何を考えているかわからないところが、ミステリアスでいいのかもしれません。

なかなかメインキャラになれなかった理由は、責任感が強い反面、無口で受動的な性格であるためだと思います。やればできる子なのに、テコで動かされないと自分からは何もしない的な。今作では隼人が積極的にテコの役割を果たしてくれてますので、活躍もいっぱいします。


篠原悠希『天涯の楽土』


――この物語の続編が、単行本で6月刊行予定ですが、どのような展開になっていくのでしょうか?

篠原:ふたたび宝探しです。津櫛の長脛日子に対抗できる「力」を手に入れるために、日本列島を縦横に駆け巡ってもらう予定です。この続編のために2014年に富士山に登り、新潟から宮崎、名古屋を取材して回りましたので、やっと日の目を見れて嬉しいです。


――富士山に登られたのですね! 取材の内容は、続編のどのあたりに生かされているのでしょうか?

篠原:富士山については、弥生時代の装備で登山できるのか、という実験でした。結論は不可能で、有名な青木ヶ原の樹海も突破できないことがわかりましたが、富士山信仰の原型や、富士山のスケールと裾野の風景は実感として描くことができたと思います。

取材で得た収穫については、当時の交易ルートと思われる陸海の道を再現できたと思います。気候や地形に応じて、風景も食べ物も、風俗も異なる世界を、うまくエピソードにからめて表現できているといいなと思います。


――続編もとても楽しみです! 最後に、読者に一言メッセージをお願いします。

篠原:2000年と少し前の、森また森に覆われた、あるいは湿原の広がる太古の日本列島へと、隼鷹と一緒に旅立ちましょう。


書影

篠原悠希『天涯の楽土』


篠原悠希天涯の楽土』詳細はこちら(KADOKAWAオフィシャルページ)
https://www.kadokawa.co.jp/product/321910000656/


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