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角川文庫キャラ文通信

【連載 キャラホラ通信7月号】『昨日の僕が僕を殺す』刊行記念 太田紫織インタビュー

角川文庫キャラ文通信

大人気シリーズ「櫻子さんの足下には死体が埋まっている」の著者による待望の新作が登場! 北海道・小樽を舞台に、孤独な少年と、人に溶け込むあやかし達との絆を描く、ホラーミステリが始動します。「櫻子さん」の最新作についても語っていただきました。

――「櫻子さんの足下には死体が埋まっている」シリーズをはじめ、数々の作品を書かれている太田さんですが、本作が生まれたきっかけを教えてください。

太田:もともとホラーというジャンルが大好きなのですが、腹の底から震え上がるというよりは、海外モダンホラーだったり、日本の妖怪だったり、美しかったり悲しかったり、『怖い』だけがメインではないものの方が親しみやすくて。
 なので最近のあやかしブームを見ていて、「いいな! 私も書きたい!」と思っていたところで、担当さんと『太田紫織版怪○くん』みたいなの、面白そうですね~と話題になったのがきっかけでしょうか。
 あと、昔から吸血鬼が大好きなのですが、その延長で国内外の『埋葬のフォークロア』といいますか、死に纏わる民俗学的なものに、以前からとても興味があったんです。
 櫻子とはまたベクトルの違う『死』というものに、焦点をあててみたいなあと思って、ペンをとりました。

――なぜ小樽を舞台にされたのですか?

太田:理由は色々あるんですが、物語の特性として『様々な風習や人(あやかし)が入って来やすい場所』ということで、港町がいいな、と。
 函館も候補に挙がっていたのですが、函館は異国情緒が色濃いので、もう少し大正ロマンの風情がある、小樽の方にしました。
 昔から父の仕事の関係で訪れていた町なので、親しみがあるというのも大きな理由かもしれません。
 あと、実際にある『天狗山』の存在ですね。北海道ってあまり天狗は身近な妖怪ではないので、「なんで天狗?」と興味を持ったのも、小樽を選んだ理由の一つです。

――小樽のおすすめスポットは作品中にもありますが、あらためてどこが好きですか?

太田:やっぱり舞台にもなっている天狗山ですかね。市街地が近いので、夜景が美しいというのもあるんですが、山と海が一望できるということに加え、タイミングがよければ、実は雲海も見られるんですよ!
 あとはリスとふれあえる場所や、スライダーなんかもあるので、子供をつれて遊びに行くのもちょうどいいんです。
 ほかには小樽といえば、やっぱり建築物ですよね。積極的に古い建物を残して再利用されているだけあって、独特のレトロ感というか、『かつて北海道経済の中心だった』っていうのを町のあちこちに感じるんです。そういうのを眺めながら、歩きまわるのが好きです。
 小樽周辺は、海も美しいですし、さりげなく絵になる風景も多いんですよ。「あ、こんないい所あったんだ!」と、じわじわと距離を縮めてくるニクい町です。

――作中には数々の個性的なキャラクターが登場します。書いていてテンションがあがるのは誰ですか。理由も教えてください。

太田:個性的だけあって、正直どのキャラも書いていてすごく楽しいんですよね。
 吸血鬼小説とともに駆け抜けた青春時代を送っていたので、ペトラはもう……好きな物をぎゅうぎゅうに詰め込んでいますし、渚のようなオラオラ系のキャラって初めてなので、書いていて新鮮で。
 蝶子や麦ちゃん、ルカといった高校生組は、私を振り回すぐらい動いてくれるので、まとめるのが楽しくて大変です。
 でも、やっぱり一番は榊ですかねえ。
 以前ハスキー系のMIX犬を飼っていたのですが、そんな亡き愛犬を思い出しながら書いていました。

――ロシアパンも美味しそうです。お好きなパンはありますか?

太田:ロシアのパンやお菓子って、結構どっしりとしていて、単体で食べると「おおお……水分泥棒……」と若干苦手(!)だったんですが、スープと一緒に食べると「なるほど! これか!」という風に開眼しました(笑)。
 でも我が家で一番人気なのは、ブリヌィです。ロシア風クレープなんですが、強力粉やイーストを使うので、生地がパンのよい香りがして、そしてもっちり食感で、やみつきになります。
 どろっとしていて丸く焼くのも慣れるまで大変でしたし、まだ毎回仕上がりが微妙に違ってアレ? ってなるんですが(笑)、イーストで発酵させているので、生地にプツプツ穴が開いていて、食べる時そこからクリームなんかがにゅ~っと飛び出すのも楽しくて。子供たちと毎回笑いながら食べてます。ロシアでも日常的であり、同時にハレの日の食べ物でもあるらしいんです。そういうのも含めて大好きです。今回は書けなかったんですが、ルカたちもよく喜んで食べてると思います!
(写真は作中でも食べられていたソチニクと、ブリヌィです)

――そして、なんと今作の刊行から間を置かず、「櫻子さんの足下には死体が埋まっている」の最新刊が9月25日に刊行されるんですね! 最新作のイチオシの部分はどこですか?

太田:櫻子ももう最終章。物語は佳境を迎え、櫻子と正太郎の時間も、ゆっくりと『変化』が近づいています。今回はそれが少しはっきりしたんじゃないかと思います。
 まあ、櫻子は櫻子で相変わらず、骨ばっかり集めているんですが……。
 骨を扱っているので、元々『過去』に焦点を当てることの多い作品ですが、今回も三人の女性の過去を追っていきます。
 作中で扱ったテーマは苦いものかもしれませんが、良くも悪くも『変わり者』な櫻子だからこその活躍を、見守っていただけたら幸いです。
 ちょっとだけ高校時代の櫻子のエピソードも飛び出しますよ!
 勿論わんことご飯もいっぱい出ますので、空腹時を避けてお読みになることをおすすめします。

――最後に、『昨日の僕が僕を殺す』について読者に一言メッセージをお願いします。

太田:「きのぼく」(※担当女史命名)は、子供の頃に憧れた、『もし隣の家の住人が、人間じゃなかったら?』という想像を形にした、そんなお話です。
 ヒトではなく生まれついて、ヒトの世界で暮らすモノたちと、人として生まれながらも、人の輪に交わることを許されない少年・ルカ。海と山の狭間の町、現在と過去が交差する小樽市で、彼らが織りなす少し怖くて悲しい、だけど焼きたてパンのように優しい物語を、楽しんでいただけたら嬉しいです! どうぞよろしくお願いします。


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