角川文庫キャラ文通信
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――朝田さんは中国史がお好きと伺っていますが、その魅力をおしえてください。
朝田:中国史は他のどの国の歴史よりも「人間くさい」のが魅力です。暗殺、密告、密通、裏切り、謀略、嫉妬、なんでもあり。赤裸々に綴られた史書は時として皇宮の秘密さえ暴いています。中国史の中で人々は、泥臭くも懸命に生き抜いているので、私はそれにヒューマンドラマを感じて、その魅力に抗えなくなっているようです。
――なるほど。その中国史の魅力的な部分をいかしつつ、西洋思想が出てくるわけですが、そのきっかけは?
朝田:高校生の時に映画「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」の原作者で有名なアン・ライス氏の作品が好きでゴシックロマンスをいつか書いてみたいと思っていました。それで舞台をどうしようかと考えた時、中華の世界でゴシックを描けたら私らしさも出て、面白いのではないかと気づいたのです。つまり、わたしの「好き」を融合させたわけです。
――物語の読みどころはどこですか?
朝田:主人公、木蘭の葛藤と成長を感じていただきたいです。恵まれた少女が突然困難に襲われ、苦労をしながら、真実を暴き、前へと進もうとする姿に共感していただけたら嬉しいです。
――木蘭は、刀剣に強くて、凛としている姿が素敵です。ほかに、好きなキャラクターは誰ですか?
朝田:悪役の崔倢伃(さいしょうよ)はお気に入りです。彼女の中華ゴシックなファッションを考えるのはとても楽しかったです。
――実際に見てみたいですね! 今後の展開も楽しみですが……。
朝田:もし「後宮の木蘭」がシリーズ化できるとすれば、ヒロインをめぐるロマンスを掘り下げて行きたいです。妄想しているのは、木蘭と劉覇が許婚で両想いなのに、くっついたりはなれたりする、ドキドキはらはらな胸キュンシーンです。前向きな木蘭に、どのような苦難が待ち受けているのか、書く側のわたしも楽しみにしています。
また、「がんばる女性」はわたしの中で永遠のテーマです。輝く女性の姿を今も未来も描いていきたいと思っています。プラス、そんな彼女に恋せずにはいられないイケメンも書きたいです。
――最後に、読者に一言メッセージをお願いします。
朝田:出かける機会が少なくなったご時世ですが、「後宮の木蘭」でファンタジックで中華な世界を旅するのはいかがでしょうか。特等席をご用意しております。
▼朝田小夏『後宮の木蘭』詳細はこちら(KADOKAWAオフィシャルページ)
https://www.kadokawa.co.jp/product/322006000126/