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大切な風景を、スマホには残せない風景も全て愛していく――YOASOBI最新EP『THE BOOK 3』音楽×文学クロスレビュー⑦MUSIC「アドベンチャー」×NOVEL「レンズ越しの煌めきを」より【評者:三宅香帆】

アーティスト・俳優・アスリート・文化人・タレント――丸ごと1冊の「総力特集」という形で、取材対象の魅力を徹底的に深堀りする人気文芸・音楽誌『別冊カドカワ』。その最新号が、2023年10月4日(水)に発売となりました。

最新号に登場したのは、今最注目の“小説を音楽にするユニット”YOASOBI!
本記事では発売を記念して、『別冊カドカワ 総力特集 YOASOBI』に収録された「【カドブン連動】最新EP『THE BOOK 3』音楽×文学クロスレビュー」企画より、文学レビューパートを8日連続で特別公開します!
物語との出会いのきっかけとして、ぜひお役立てください。

【カドブン連動】最新EP『THE BOOK 3』音楽×文学クロスレビュー
小説を音楽にしてきたYOASOBI。“読むCD”としてリリースしてきた『THE BOOK』の最新EP収録曲の小説&楽曲を書評家と音楽ライターがひもといていく。双方の視点から見えてくる小説と音楽の密接な関係性とは──

(本記事は『別冊カドカワ 総力特集 YOASOBI』に掲載された内容を転載したものです)

YOASOBI最新EP『THE BOOK 3』音楽×文学クロスレビュー⑦MUSIC「アドベンチャー」×NOVEL「レンズ越しの煌めきを」より

NOVEL「レンズ越しの煌めきを」
著:菜葵

大切な風景を、スマホには残せない風景も全て愛していく
評者:三宅香帆

 たまにスマホの写真フォルダを見返すと、「もっと撮っておくべきものがあったんじゃないかなあ」と思う時がある。
 例えば大学時代の写真を見返しても、節目の記録ばかり残っていたりして、「日常をもっと残しておけば良かったな」と少しだけ後悔する時はしばしばある。自分が住んでいた部屋とか、学校の階段とか、お昼をよく食べた裏庭とか、そういう普通の風景が自分の頭の中にしか残っていないことが、少しだけ寂しいのだ。
 本作「レンズ越しの煌めきを」には、大学生になって初めて友人と行ったユニバーサル・スタジオ・ジャパンの風景が描かれている。スヌーピーが大好きな作者にとって、USJは夢の国なのだ。彼女が初めてそこへ行ったのは中学生の時。だがそこではスヌーピーには会えなかった。そして大学生になって、日常をコロナ禍が襲う。大学の友人と顔を合わせたことすらない、そんな日々の中で、ある日突然「みんなでUSJに行く」という計画が持ち上がる。そして彼女は、スマホのレンズに、その夢の国を収めること
に成功するのだった。
 作者は「スマホのレンズに残すことができる風景」と「スマホのレンズに残すことができなかった風景」の双方についてつづっている。レンズに残せなかった風景とはどんなものなのか、その美しい景色はぜひ本文を読んで確かめてほしいけれど。確かにどれだけスマホで写真を気軽に残せるようになっても、私たちは忘れたくない思い出の全てをスマホに残すことはできない。どうしたって、記録から零れ落ちるものがある。だけど、それでも自分の記憶にいつまでも残しておきたい風景は、生まれてくるのだ。
 大切な風景が、自分の頭の中にしか残っていないことは寂しいことだけど。それでもスマホに残せない風景も含めて、愛していく。大学生の彼女に、一つでも多くの大切な記憶をつくってほしいと、願わずにはいられない。

掲載誌紹介



別冊カドカワ 総力特集 YOASOBI
発売日:2023年10月04日

YOASOBI別カド初登場!文学的観点からもYOASOBIにフォーカス
デビュー曲「夜に駆ける」がストリーミング再生回数9億回を突破、全楽曲の総ストリーミング数は約60億を超える“小説を音楽にするユニット”YOASOBI。2023年4月、自身初となるツアー「YOASOBI ARENA TOUR 2023 “電光石火”」では、全国7か所14公演で13万人を動員。同月、新宿・東急歌舞伎町タワー内 「THEATER MILANO-Za」にて実施したTikTok LIVEでは累計視聴約63万人、最大同時接続者数12万人超えを果たし、日本人アーティストのライブパフォーマンス史上最高記録を達成した。8月には88rising主催「HEAD IN THE CLOUDS Los Angeles」にて、初のLAフェス出演を果たすなど、海外ライブシーンでも話題となっている。

そんなYOASOBIが、2021年より“読むCD”としてシリーズ化してきたEPの3作目『THE BOOK 3』が、2023年10月4日(水)に発売決定。同作には、10月クールTVアニメ「葬送のフリーレン」オープニングテーマとして書き下ろした最新曲「勇者」、 島本理生・辻村深月・宮部みゆき・森絵都という4人の直木賞作家が原作小説を書き下ろし順次楽曲を発表していくプロジェクト「はじめての」から生まれた「ミスター」「好きだ」「海のまにまに」「セブンティーン」、TVアニメ「【推しの子】」オープニング主題歌として書き下ろし、Billboard JAPAN 総合ソング・チャート“JAPAN Hot 100”で18週連続で総合首位を獲得、Billboard The Global Excl. U.S. top 10でも1位を獲得した「アイドル」など全10曲が収録される。

別冊カドカワでは、そんな最新EP『THE BOOK 3』をリリースしたAyase、ikuraの本人取材はもちろん、多角的な切り口の周辺取材によりYOASOBIの魅力を立体的に総力特集。また、“小説を音楽にする”という原点にも立ち返り、別冊カドカワならではの文学的側面からもアプローチすることで、日本の音楽シーンのトップを走るYOASOBIの原点から現在地、さらにこの先の未来までをも見据える。

もくじ
■YOASOBI最新撮り下ろしグラビア
■Ayase & ikura ロングソロインタビュー
■『THE BOOK 3』セルフライナーノーツ
■「旅する本屋さん YOASOBI号」密着
■YOASOBI立体的特集「アーティスト・プロファイリング」
■YOASOBI 言葉と楽曲と映像の連動
■YOASOBI COLUMN 共鳴
■YOASOBI×別カド×読者参加型企画
■『はじめての』文芸部 第1期部員 活動日誌
■CDショップのバイヤー&スタッフが選ぶ! YOASOBIリコメンドソング5
■YOASOBI PERFECT DISCOGRAPY&BIOGRAPHY    
…and more

詳細:https://www.kadokawa.co.jp/product/322306001062/
amazonページはこちら


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