元米国ファーストレディが語る、不安の多い世界との向き合い方
ミシェル・オバマ『心に、光を。 不確実な時代を生き抜く』レビュー
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『心に、光を。 不確実な時代を生き抜く』
著者:ミシェル・オバマ
大統領になってほしい女性だが
書評:池上彰
二〇二四年のアメリカ大統領選挙は、二〇二〇年の再現になりそうな気配です。民主党のバイデン大統領と共和党のトランプ前大統領との対立という構図です。これにはウンザリするアメリカ国民も多く、熱烈なトランプファン以外は、「新しい人が出てこないものか」と考えていることが世論調査で明らかです。こんなとき、民主党支持者の中で期待が高まるのが、「ミシェル・オバマに初の女性大統領になってほしい」というものです。では、ミシェルはいま何を考えているのか。
夫のバラク・オバマ大統領が任期を終え、ホワイトハウスを去ったミシェルは、ワシントンの自宅に戻り、ファーストレディ時代の回想録をまとめました。それが二〇一八年に出た(邦訳は翌年)『マイ・ストーリー』です。世界で一七〇〇万部を超える記録的なベストセラーになりました。黒人差別が根強く残るアメリカ社会で、黒人の少女が、どのようにして弁護士となり、勤務する法律事務所にインターンとして現れたハンサムな若者と出会い、やがてホワイトハウスへと進んで行くのかというプロセスは心躍る読み物でした。本書は、その後のミシェルの軌跡です。
ホワイトハウスでのファーストレディとしての仕事は奇妙なものです。給料は出ないし、上司もいない。結局は自分で何でも決めていかなければなりませんが、そこには明示されていない伝統的な業務が存在していました。本人が意図していないのに理不尽な個人攻撃を受けることも多かったのです。
「どれだけ冷静でいても、ファーストレディとして勤勉に働いていても、攻撃的で怒りっぽく、それゆえ尊敬に値しないというわたしの印象は、消し去るのがほとんど不可能だと感じられるときもあった」と述懐しています。これでは大統領選挙に出ることは期待できそうもありません。
ホワイトハウスを去ってもミシェルの仕事は続きます。テレビ番組の制作総監督、オバマ財団の運営、女子教育の推進、子どもの健康問題についての支援活動等々、多忙な日々を送っていたところ、新型コロナウイルスが襲いかかってきました。オバマの後任の大統領はコロナ対策には不適任でした(ほかのことでも不適任でしたが)。アメリカは大混乱。人々は不安に脅えながらステイホームを強いられます。
しかし、突如として外での仕事ができなくなったミシェルは、編み物を開始。これで不安を紛らわすことを知るのです。そして、久々に訪れた二人の娘との日々。平穏な生活を取り戻しつつ、逆境に負けずに生きてきたミシェルの言葉は、「心に、光を。」というものでした。どんなに辛い人生であっても、「気高く生きる」ことの大切さを私たちに教えてくれます。
作品紹介
心に、光を。 不確実な時代を生き抜く
著者:ミシェル・オバマ 訳者:山田 文
発売日:2023年09月26日
元米国ファーストレディが語る、不安の多い世界との向き合い方
58年、わたしは不安を抱えて生きてきた。
場ちがいだ、ここにいるべきじゃない、誰もわたしを気にとめていない。
まわりから浮いている。
でも、ちがう。
どんな世界に暮らしたい? 誰を信頼する? 子どもはどうやって大人になる?
人生の大きな問題に、わかりいやすい解決策なんてない。
不安を抱える人たちに、心から安らげる場をもたらしたい。
少し自分の世界を広げるために、リスクを取ることを恐れない。
誰かといっしょに自分の問題を考えることには、意味がある。
さあ、心の中にある光を、見つけよう。
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