多くの大人たちは、人生の壁にぶつかり、それを越える方法を巡って思い悩みます。ここ日本においては、少子高齢化や現在の人口ピラミッドの構造、そして長引くデフレの影響が影を落とし、あらゆる意味で哲学的な考え方を軽視する風潮から、脱却する必要があると思います。
本書において、最も読者が理解する必要のある頁は、230ページ「哲学を理解するとは?」に尽きると思います。人間にとっての「知への欲求」は、多くの哲学者たちがそれぞれ辿り着いた、ひとつの明快な答えのように思います。
異物への否定的感情を、自己を知ることによって偏見を取り払えば、理解への道が拓ける。新しい自分自身に出会うためには、時には自己否定を行わねばならない、という人間にとっての永遠の課題は、稀代の哲学者たちが、私たちの代わりに悩み抜き、遺してくれたメッセージのようなものなのかも知れません。そして、それはいくらその哲学者たちが偉い人だったとしても、悩めるあなたや私や、知らない誰かやそのご先祖さまなんかと同じように、人それぞれに悩みを持ち、それを解決しようと知見を得て私たちに伝えてくれた、ということだと思います。
本書を、用語解説や表層的な歴史学、豆知識的なもののために使っても、それは「お勉強」の域を超えないものだと思います。改めて哲学の歴史体系を学ぶことにより、哲学者たちの遺した思いやエネルギーを受け取るキッカケになればいいと思います。
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