文庫解説 『ザ・シークレット・オブ・ジ・エイジズ』より
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中村天風、稲盛和夫にも通じる成功哲学の名著、約100年の時を経ても変わらないもの――『ザ・シークレット・オブ・ジ・エイジズ』ロバート・コリアー(茂木靖枝訳) 文庫巻末解説【解説:三浦将】
潜在能力を引き出す最高のガイドとなる本
『ザ・シークレット・オブ・ジ・エイジズ』ロバート・コリアー
角川文庫の巻末に収録されている「解説」を特別公開!
本選びにお役立てください。
『ザ・シークレット・オブ・ジ・エイジズ』著者:ロバート・コリアー
『ザ・シークレット・オブ・ジ・エイジズ』文庫巻末解説
解説
三浦将(エグゼクティブコーチ・ビジネス書作家)
人生にとって重要なことの一つは、「タイミング」であると強く感じます。
この本の解説のご依頼を受け、読み進めるうちに、これがまさに絶好の「タイミング」で私の元にやってきてくれたことを確信しました。
壮年である私が生まれる何十年も前に書かれた本なので、それはまるで「時空を超えたプレゼント」のように感じ、深い感謝を覚える次第です。
「できると思えば、そのぶんだけできる」
この言葉から始まるこの本は、人の潜在能力発揮の本であり、「信念」についての本です。大多数の人が、表面上の力だけを使って生きているのに対し、「超意識という眠れる巨人とつながることで、誰もが驚くべき力を発揮できる」と説くのが主旨です。
一方、このことは、この本以降に世に出た数多くの自己啓発書でも書かれており、多くの人がすでに「知っている」内容なのかも知れません。
しかし、何事も「知識として知っている」と「それを普段からやっている」には雲泥の差があります。同様に、このことを「知っている」状態と「強い信念として持っている」状態とは、起こる現実に天と地ほどの差があるのです。
つまり、勝負となるポイントは、知識の多さではなく、この「信念の強さ」、その一点なのです。
感謝するのは、まさにこの信念をさらに深める必要があると、強く感じていたタイミングに、この本に出逢えたことです。
内容は、日本で言えば、中村天風や稲盛和夫などが述べていることと、ほぼパーフェクトに一致しています。例えば、ここで言う超意識のことを、中村天風は「霊知の力」と言い、稲盛和夫は「知恵の蔵」と表現しました。「潜在意識を通じて、この霊知の力、知恵の蔵にアクセスすることができれば、いかなる難題も解決できる」というわけです。
東郷平八郎、山本五十六、松下幸之助などを始めとする、当代超一流の人物たちが師と仰ぎ、現在では、あの大谷翔平などにも強い影響を与えている中村天風、多くの人が不可能と思っていたJALの再建という、当時の日本ビジネス界の最大の難題の解決を成し遂げた稲盛和夫が信じていたものであるからこそ、超意識の存在と、そのつながりの大切さを強く確信させてくれます。
「超意識の存在と、その驚くべき力の存在を確信し、潜在意識を通じて、そこにアクセスすれば、我々人間は、どんな人でも、驚嘆に値する力を発揮できる」
この法則をどれくらい強く、深く信じられるかが、成否を分けるわけです。
この本にあるように、モーツァルトは、自分が生み出した数々の美しい交響曲を「向こうからやってきた」と表現しました。また、ポール・マッカートニーも「イエスタデイ」という名曲を生み出した時のエピソードとして、同じようなことを言っています。
このように、超意識にアクセスすることができれば、どんな偉大なことも成し遂げられるわけです。偉人とは、そのアクセスができた人。凡人との違いは、そのことだけなのです。
私は、人材育成・組織開発の会社を経営するとともに、プロコーチとしての活動を続けています。起業家やプロアスリートなどのコーチングをしているとき、非常に論理的な面と、論理を超えたものとのつながりへの信念の双方を彼らから感じることがあります。そういった人たちの特徴としては、「イメージ力が豊かなこと」。豊かなイメージを持つことで、潜在意識を通じて、超意識からのメッセージを、インスピレーションとして受け取ることができるのだろうと思います。
本来、そのようなことを促す役目のコーチとして、このアクセス回路が開きやすい人たちは、論理で固められたガチガチの人たちよりも、コーチングを通じての高い成果が得やすい人たちだと感じます。
実はこのことに、この本の最大のキーポイントがあります。
それは、「実際に超意識とどうつながることができるか?」という命題です。
法則を「知っている」だけではつながらないのです。
だから、「知っている」を「やっている」にしなければいけない。これができているかどうかが、現実の大きな差として現れてくるのです。
超意識とつながるために最も大切なことは、「信念」を強くすることです。これは、自分の背景には、とんでもなく凄すごい力があることを自覚している度合いです。
本を読んで頭では分かっているが、ほとんどの人が、実はこの信念がとんでもなく弱い。
ちょっと何かがあると、ひどく心配したり、恐怖にかられたり、自己を否定してしまう。これらのことが、信念をどんどん弱くしてしまっているのです。
では、どうやったら強くできるのか?
その一つが、「衝撃的な体験をする」ことです。
実際に、「およそ達成できないと思うようなことが、普通に起こる場を体験する」、このことが人の信念を強烈に強化します。例えば、稲盛氏がJALを復活させたプロセスに間近で立ち会えた人たちは、知らず知らずのうちに、この信念の強化が進んだと思われます。
一方、これは、かなり偶然に左右されるので、もっと確実な方法が必要です。
それが、「習慣的な行動による強化」です。
信念の強化は、一朝一夕にはいきません。繰り返し、繰り返しインストールすることにより、信念は強化されるのです。
ロンドン大学の研究によると、早起きや運動など、意図する行動が習慣化するのに、約66日かかると言われています。また、行動が習慣化することによるマインドの変化には、半年以上を要するとも言われています。このマインドの変化は、信念の強化につながります。つまり、日々の地道な行動が、あなたの人生を決定的に変える爆発力を持つ、信念の強化につながるのです。
そういった意味で、私が、習慣に関連する本を10冊以上世に送り出している「習慣の専門家」であることも、この本の解説に選ばれた理由の一つだと思っています。著書『自分を変える習慣力』(クロスメディア・パブリッシング)が、20万部を超える大ヒットとなったことも、私自身、超意識とのつながりを感じた出来事の一つです。
信念の強化のためには、この法則を強く、深く信じるための毎日の習慣を行っていくことが肝心です。そのためには、この本に書いてある方法を採用していくと同時に、毎日少しずつでも、この本を繰り返し読むことを強くお勧めします。
私が「タイミング」であるといった意味も、ここにあります。つまり、「信念強化のための絶好のツールをタイミングよく手に入れることができた」というわけです。私自身も今後長きに亘り、この本を読み続けようと思います。
そして、このツールをどう使うかは、あなた次第です。
また、信念の強化には、信念を弱める習慣を除外することも重要です。
弱気な自分や、心配する自分、疑心暗鬼な自分や、自分を否定する自分、これらをいかに少しずつなくしていくかも、重要な行動習慣です。これらを少しずつ払い、心を安定させていくことも、信念の強化に大きく貢献していくでしょう。このことに対しても、この本を繰り返し読み続けることによって、効果を発揮していくと確信します。
そして、次は「あなたが何を望んでいるかを知る」こと。
これも、習慣的に自分に問い続けることが肝心です。特に寝る前に自分に問うてから眠ることが有効ですので、ぜひ習慣にしてみてください。
最後のステップは、その望みに対して、一心不乱に思考を集中させて行動する。そして、その行動をさらに習慣化する。
これができれば、超意識とのアクセスの扉が開かれていくでしょう。
約百年の時を超えて、この本と出逢えたことは、あなたにとっても、私にとっても、まさに僥倖と言えるものではないでしょうか。
この本は、これらの実践の最高のガイド役となり得る一冊であることを確信しています。
あなたは力です。
力の結晶です。
作品紹介・あらすじ
ザ・シークレット・オブ・ジ・エイジズ 成功者たちの不変の法則
著者:ロバート・コリアー 訳者:茂木靖枝
発売日:2023年07月21日
潜在能力を引き出す成功哲学の名著
引き寄せの法則『ザ・シークレット』の源流となった古典的名著!
潜在意識を使いこなし、仕事・お金・人生の夢を叶える思考法を伝授する。
カーネギー、ナポレオン・ヒルと並ぶ成功哲学のマスターピース。
ただ漫然と生活のために働く日々から抜け出したい――
夢見ながらも諦めていたことを実現できる“秘密”がある。
自ら人生を切り拓かなくてはならなかった約100年前のアメリカで、それを明かした本書は成功哲学のバイブルとして強烈な支持を得た。
自分のなかに眠っている90%の潜在意識を働かせれば、願ったことは自然と成し遂げられる。
世紀を超えて読み継がれる「引き寄せの法則」の源流となった不朽の名著。
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