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試し読み

「なので」は98番目の新・接続語になるか!? 試し読み『さらに悩ましい国語辞典』第2回

知っていると一目置かれる、誰かに話したくなる日本語のウンチクを、神永曉さらに悩ましい国語辞典』から厳選してお届け!

なので 〔接〕

 98番目の新しい接続詞となるか!?
 毎年生まれる新語は圧倒的に名詞が多い。そして「イクメン」「スマホ」「どや顔」など、ここ数年の間に生まれた新語のうち、一般に定着するのもほとんどが名詞である。
 だが、名詞以外の品詞でも新語が生まれないわけではない。たとえば数の上ではまったくの少数派である接続詞。これだって新語が生まれることもある。接続詞がどれだけ少ないかというと、総項目数9万320語の『新選国語辞典 第9版』(小学館)には収録語の品詞別分類が示されているのだが、接続詞はわずか97語しかない(もちろん日本語の接続詞の数がこれですべてということではない)。
 このような新しい接続詞と呼べる語に、「今日は帰りが遅くなった。なので、夕飯は簡単にすませた」などと使われる「なので」がある。
 実はこの「なので」をある文章の中で使ったところ、お読みくださった方から違和感があるというご指摘をいただいた。私自身は違和感というほどではないのだが、主にくだけた言い方をしたいときに使い、改まった文章のとき(たとえば目上の人に出す手紙など)では使用を避けるようにしていることばではある。読者からご指摘をいただいた私の文章もくだけた言い方のつもりだったのだが、まだまだ抵抗のあるかたが多いということなのかもしれない。
 だが、そうではあるものの、比較的新しい辞書では、すでに定着したと判断して、「なので」のこの意味を掲載しているものも出始めている。
 辞書に掲載されたからといって、どのような場でも使ってよいということにはならないであろうが、今後さらに広まるものと思われる。
『新選国語辞典 第9版』ではまだ「なので」は登録されていない。だが、次の改訂版では接続詞の数が97語からひとつ増える可能性は大である。


写真

神永曉『さらに悩ましい国語辞典』
定価: 1,232円(本体1,120円+税)
※画像タップでAmazonページに移動します。


続いて、「みたく」。これは、どこで生まれた言葉なのでしょうか。

みたく 〔俗語〕

 東北・北関東の方言だった!?
「おじさんみたく、ぼくもサッカー選手になりたい」という言い方を、見たり聞いたりしたとき、どのように感じるだろうか。口頭語だったらあまり抵抗はないが、書きことばとして使われていると、ちょっと気になるというかたもかなりいらっしゃるかもしれない。
 本来の言い方は、「おじさんみたく」ではなく「おじさんみたいに」である。「みたいに」は、助動詞「みたいだ」の連用形である。「みたいだ」は、名詞や活用語の終止形について、ある事物の性質や状態が他の事物に似ていることを表す。
「みたく」という言い方がなぜ生まれたのだろうか。「みたいだ」は、「夢みたい」「うそみたい」などのように語幹で終わる使い方をすることがある。ところがこれを「い」で終わっていることから、やはり語尾が「い」となる形容詞と考えて、形容詞と同じように語尾の「い」を「く」に変えることができると考えてしまったようなのである。「美しく(咲く)」という文章で「美しい→美しく」となるように。そして「みたい→みたく」と連用修飾語のようにしたのだと思われる。
 この「みたく」という言い方は、『辞典 新しい日本語』(井上史雄+鑓水兼貴編著、東洋書林、2002年)によれば「東北・北関東では昔からのことばで、北から東京に入ってきた」とある。そしてその分布も関東地方付近が中心だという。その後「みたく」がどのように広まっているのか不明ながら、私の実感としてかなり広まっている気がする。
 ただし、現行の国語辞典では「みたいだ」の解説の中で、「みたく」について触れているものも少なからずあるが、そのほとんどは、本来は誤りだとか、俗な言い方だとか説明されている。見出しに立てている辞典は今のところないようだ。
 改まった場や文章では使わない方がよいということは確かなので、辞典ではそのことについても注意を喚起するべきなのではないかと思っている。

神永曉『さらに悩ましい国語辞典』 詳細はこちら(KADOKAWAオフィシャルページ)
https://www.kadokawa.co.jp/product/321904000028/


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