『存在のすべてを』や『罪の声』など、読み応え抜群の重厚な作品を数多く生み出してきた塩田武士さん。現代社会の「言葉の暴力」を描いた社会派小説である『踊りつかれて』が第173回直木三十五賞にノミネートされたことを記念して、今回はカドブン編集部が「初めて読む塩田武士作品」としておすすめのタイトルを厳選してご紹介!
気になる1冊を見つけてみてくださいね。
塩田武士を初めて読むならこの5冊!
『罪の声』(講談社文庫)
圧倒的な取材と着想で、昭和最大の未解決事件を描いた傑作長編小説!
「これは、自分の声だ」
京都でテーラーを営む曽根俊也。自宅で見つけた古いカセットテープを再生すると、幼いころの自分の声が。それはかつて、日本を震撼させた脅迫事件に使われた男児の声と、まったく同じものだった。一方、大日新聞の記者、阿久津英士も、この未解決事件を追い始め--。
圧倒的リアリティで衝撃の「真実」を捉えた傑作。
(講談社オフィシャルサイトより引用)
詳細はこちら ⇒ https://www.kodansha.co.jp/book/products/0000320418
『騙し絵の牙』(角川文庫)
圧倒されるほどリアルな筆致で出版界の<光と闇>を描く!
主人公は出版大手の「薫風社」で、カルチャー誌「トリニティ」の編集長を務める速水輝也。
中間管理職でもある40代半ばの彼は、周囲の緊張をほぐす笑顔とユーモア、コミュニケーション能力の持ち主で、同期いわく「天性の人たらし」だ。
ある夜、きな臭い上司・相沢から廃刊の可能性を突きつけられ、黒字化のための新企画を探る。
大物作家の大型連載、映像化、奇抜な企業タイアップ。雑誌と小説を守るべく、アイデアと交渉術で奔走する一方、
巻き込まれていく社内政争、部下の不仲と同期の不穏な動き、妻子と開きつつある距離……。
交錯する画策、邪推、疑惑。
次々に降りかかる試練に翻弄されながらも、それでも速水はひょうひょうとした「笑顔」をみせる。
しかしそれはどこまでが演技で、どこからが素顔なのか? やがて、図地反転のサプライズが発動する。
出版業界の現状と未来を限りなくリアルに描いた群像小説は、ラストに牙を剥く!
(KADOKAWAオフィシャルサイトより引用)
詳細はこちら ⇒ https://www.kadokawa.co.jp/product/321905000408/
『デルタの羊』(KADOKAWA)
製作委員会、制作会社、ゲーム、配信、中国、テクノロジー、コロナ後…… これが日本のアニメの“リアル”!
「俺たちはあまりに善人だ」
「誰かが羊飼いにならなきゃ、日本アニメは地盤沈下していく」
アニメ製作プロデューサー・渡瀬智哉は、念願だったSF小説『アルカディアの翼』のテレビアニメ化に着手する。
しかし業界の抱える「課題」が次々と浮き彫りとなり、波乱の状況下、窮地に追い込まれる。
一方、フリーアニメーターの文月隼人は、ある理由から波紋を広げる “前代未聞のアニメ”への参加を決意するが……。
アニメに懸ける男たちの人生が交差するとき、【逆転のシナリオ】が始動する!
(KADOKAWAオフィシャルサイトより引用)
詳細はこちら ⇒ https://www.kadokawa.co.jp/product/321804000674/
『存在のすべてを』(朝日新聞出版)
本屋大賞3位&第9回渡辺淳一文学賞受賞 著者渾身の一冊
平成3年に発生した誘拐事件から30年。当時警察担当だった新聞記者の門田は、旧知の刑事の死をきっかけに被害男児の「今」を知る。異様な展開を辿った事件の真実を求め再取材を重ねた結果、ある写実画家の存在が浮かび上がる――。
(朝日新聞出版オフィシャルサイトより引用)
詳細はこちら ⇒ https://publications.asahi.com/product/24342.html
『踊りつかれて』(文藝春秋)
第173回直木賞候補作! 傑作社会派小説
首相暗殺テロが相次いだあの頃、インターネット上にももう一つの爆弾が落とされていた。ブログに突如書き込まれた【宣戦布告】。そこでは、SNSで誹謗中傷をくり返す人々の名前や年齢、住所、職場、学校……あらゆる個人情報が晒された。
ひっそりと、音を立てずに爆発したその爆弾は時を経るごとに威力を増し、やがて83人の人生を次々と壊していった。
言葉が異次元の暴力になるこの時代。不倫を報じられ、SNSで苛烈な誹謗中傷にあったお笑い芸人・天童ショージは自ら死を選んだ。ほんの少し時を遡れば、伝説の歌姫・奥田美月は週刊誌のデタラメに踊らされ、人前から姿を消した。
彼らを追いつめたもの、それは――。
(文藝春秋オフィシャルサイトより引用)
詳細はこちら ⇒ https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163919805
プロフィール
塩田武士(しおた・たけし)
1979年、兵庫県生まれ。2010年、『盤上のアルファ』で第5回小説現代長編新人賞、11年に将棋ペンクラブ大賞を受賞。同書は19年にドラマ化された。16年に『罪の声』で第7回山田風太郎賞を受賞、19年に『歪んだ波紋』で第40回吉川英治文学新人賞を受賞。そのほか、2021年に映画化された『騙し絵の牙』、『崩壊』『雪の香り』『拳に聞け!』など著書多数。