第七回 藤原道隆(道長の兄)【大河ドラマを100倍楽しむ 王朝辞典 】
大河ドラマを100倍楽しむ 王朝辞典

第七回 藤原道隆 (道長の兄)【大河ドラマを100倍楽しむ 王朝辞典 】
道隆は
彼は父の兼家が
それではお話をもとに戻して、道隆自身について語りましょう。道隆は父(兼家)と同じように
たとえば、
中宮さま(=定子)と淑景舎 の女御 (=原子)のすばらしい様子をにこにこしながら、いつものように冗談をおっしゃいます。(『枕草子』一〇一段)
(めでたき御ありさまを、うち笑みつつ例のたはぶれ言せさせたまふ。)
と書かれています。この「冗談」を言う性格が父(兼家)の「
また、彼はあまり知られてませんが『蜻蛉日記』の中巻にも出てきます。それは道綱母が
ところで彼の有名なエピソードは何でしょう。それはお酒にまつわる話。ある時、飲み友だちの藤原
ただし、そんなお酒の上での失敗談ばかりではありません。ある時、道隆は例によって飲み過ぎて、牛車のなかで寝てしまいました。その時、別の牛車に乗っていたのが道長。この道長が起こそうとしても、道隆は起きて来ません。道長は大声を出して呼んだりしたのですが、道隆は起きないのね。そして、道長はとうとう道隆の表袴(ズボン系)の裾をひっぱりました。すると……。
(…)きちんと身繕いなどして、車から降りられたのですが、その姿は、酔って寝込んだ様子もなく、美しかったのです。(『大鏡』)
((…)つくろひなどして、おりさせたまひけるに、いささかさりげなくて、清らかにてぞおはしましし。)
という具合だったのです。どうでしょう。「酒は飲んでも飲まれるな」の典型でしょうか。酔っ払っていたのに、素面(しらふ)のように美しいのでした。なお、道隆の死因になった病気は糖尿病と言われています。糖分の多い当時のお酒が原因だったのですね。
プロフィール
1956年東京都生まれ。新潟産業大学名誉教授。活水女子大学、新潟産業大学、武蔵野大学を経て現職。立教大学大学院文学研究科日本文学専攻博士課程後期課程修了。博士(文学)。著書に『はじめての王朝文化辞典』(早川圭子絵、角川ソフィア文庫)、『装いの王朝文化』(角川選書)、『平安女子の楽しい!生活』『平安男子の元気な!生活』『平安のステキな!女性作家たち』(以上岩波ジュニア新書)、編著書に『ビギナーズ・クラシックス日本の古典 更級日記』『ビギナーズ・クラシックス日本の古典 拾遺和歌集』(ともに角川ソフィア文庫)など多数。
作品紹介
王朝の文化や作品をもっと知りたい方にはこちらがおすすめ!
『はじめての王朝文化辞典』
著者:川村裕子 絵:早川圭子
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『源氏物語』や『枕草子』に登場する平安時代の貴族たちは、どのような生活をしていたのか?物語に描かれる御簾や直衣、烏帽子などの「物」は、言葉をしゃべるわけではないけれど、ときに人よりも饒舌に人間関係や状況を表現することがある。家、調度品、服装、儀式、季節の行事、食事や音楽、娯楽、スポーツ、病気、信仰や風習ほか。美しい挿絵と、読者に語り掛ける丁寧な解説によって、古典文学の世界が鮮やかによみがえる読む辞典。
『ビギナーズ・クラシックス 日本の古典 拾遺和歌集』
編:川村裕子
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『源氏物語』と同時期に成立した勅撰和歌集。和歌の基礎や王朝文化も解説! 「拾遺和歌集」は、きらびやかな貴族の文化が最盛期を迎えた平安時代、11世紀初頭。花山院の勅令によって編まれたとされる三番目の勅撰和歌集。和歌の技法や歴史背景を解説するコラムも充実の、もっともやさしい入門書。
角川ソフィア文庫の紫式部関連書籍特設サイト
https://kadobun.jp/special/gakugei/murasakishikibu.html