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角川文庫キャラ文通信

こんな物語を待っていた! キャラクターの魅力たっぷり『大正幽霊アパート鳳銘館の新米管理人』竹村優希インタビュー

角川文庫キャラ文通信

コミカライズも大好評「丸の内で就職したら、幽霊物件担当でした。」シリーズの竹村優希さん、期待大の新作始動! 古いけどお洒落なアパート「鳳銘館ほうめいかん」が舞台の物語です。作品に込めた思いをうかがいました!

『大正幽霊アパート鳳銘館の新米管理人』竹村優希インタビュー


――角川文庫では「丸の内で就職したら、幽霊物件担当でした。」シリーズが大好評の竹村さんですが、今作は久しぶりの完全新作とのことで期待が高まります! まずは、本作が生まれたきっかけを教えてください。

竹村:きっかけはいろいろありますが、まったくゼロの状態から一番初めに浮かんだのは、お洒落なおじいちゃんを登場させたいという思いつきです。

実は、私の祖父はとてもお洒落で、様々な知識を広く深く持ち、話がとても面白いのです(すごく長いですが)。
ただ、恐ろしく口が悪く理不尽に怒り出す人でもあり、へりくつの応酬で戦うこともしばしばあります。いまだに。

なぜ自分がこんなに祖父に懐いてしまったのか謎ですが、とにかくとても大好きなので、お洒落で変わり者のおじいちゃんが、孫の未来を照らすような優しい話を書きたいなと思いました。


大正幽霊アパート鳳銘館の新米管理人
著者 竹村優希
定価: 682円(本体620円+税)


――なんと、素敵で面白いお祖父さんですね(笑)! 作中に登場する変わり者のおじいちゃん・庄之助しょうのすけの孫こそがこの物語の主人公の女性、爽良そらということですが、本作の読みどころはどこですか?

竹村:主人公の爽良の成長です。
爽良は、幼い頃からある理由で友達がおらず、消極的で、流されたり諦めたりすることにすっかり慣れ、そのまま大人になってしまったような子です。

しかし、庄之助から突然遺言状が届き、中には爽良宛の「鳳銘館を相続してほしい」というメッセージがありました。
これまでの爽良なら即断っていたような荒唐無稽な内容でしたが、爽良は、大昔に疎遠になってしまった自分に古いアパートを遺した庄之助の気持ちが気になり、初めて父の反対を撥ね除け、一歩踏み出して相続することを決めます。
それは、これまで狭い世界に閉じこもって生きてきた爽良の心が成長するきっかけとなります。
新しい世界に飛び込んだ爽良を見守っていただけると嬉しいです。


――特に思い入れのあるキャラクターはいますか? またその理由も教えてください。

竹村:1巻を書き終えた時点では、爽良の幼馴染の礼央れおです。
単純に、書くのがとても難しかったキャラなので、そのぶん愛着があります。
彼は無口で少し変わっていますが、ようやく一歩踏み出した爽良のことを、彼特有の独特な距離感で支えます。
言葉が足りず、考えていることがわかり辛いですが、実は彼の価値観はとてもシンプルで、優先順位がまったくブレないところが気に入っています。
なので、大切なもののためなら、誰を敵に回そうと厭わないような面もあります。
1巻を読み終える頃には彼のピュアさをわかっていただけるのではないかなと思います。


――もう一人、爽良が「鳳銘館」で出会う人物で、アパートの管理人代理をしている御堂みどう つかさという男性が出てきます。この人もなかなかキャラクターが濃いですが、竹村さんの中では、どんな人物でしょうか?

竹村:御堂は霊のことに精通していて頼りになりますが、ストーリーが進むにつれて霊に感情移入するようになる爽良とは逆に、危険な霊はさっさと祓ってしまいたいと考える、ドライな男です。
なので、爽良とはたびたび意見が食い違います。霊に対してドライになってしまった理由は子供の頃の悲しい事件が影響しており、以前は霊に対して現在以上に冷徹だったのですが、庄之助との出会いを通して彼は少し変わりました。
庄之助は亡くなりましたが、今度は爽良の存在が御堂に少しずつ影響を与えていきます。
その辺りの変化にも注目していただけたらと思います。

ちなみに、私がもし怖い目に遭ったときは、おそらく全力で御堂を頼るでしょう。1分でも早く祓ってほしいです。


――1巻目のラストは新たなキャラクター登場の予感と、ちょっぴり不穏さを匂わせるような幕引きでしたが、今後の作品の展開を教えてください。

竹村:1巻にもすでに謎だらけのキャラがたくさん登場していますが、今後はそのキャラたちを掘り下げながらも、さらに怪しげなキャラが増えていく予定です。

あまり多くは言えませんが、「丸の内」シリーズの登場キャラが絡んでくる展開も考えています。

爽良は鳳銘館で濃い面々に囲まれながら、さまざまな心霊現象に立ち向かいつつ、これまで知らなかったいろんな感情を知り、さらに成長していきます。
怖いのに優しい、読後感がほっこりするような物語になればいいなと思っています。
……とはいえ、私の作品らしく、変なキャラも増えていくと思います。


――「丸の内」シリーズとのコラボもあるかもしれないんですね、それは楽しみです! 竹村さんならではの多彩で怪しげ(?)なキャラクターの登場にも期待しています(笑)。最後に、読者に一言メッセージをお願いします。

竹村:念願の新シリーズを出すことができたのは、「丸の内」シリーズがご好評をいただいているお陰だと思っており、読者の皆様には心から感謝しています。
『大正幽霊アパート鳳銘館の新米管理人』にもまた、ホラー要素や心の成長や恋模様、人間模様を可能な限り詰め込みました。

コロナ禍で人との距離が少し開いてしまいがちな今、支えることや支えられること、思いを伝えることや受け取ることの温かさを少しでも感じられるような作品になればいいなと願いながら書いた物語です。
少しでも皆様の心を動かすことができていたら幸せです。
どうぞよろしくお願いいたします。

▼竹村優希『大正幽霊アパート鳳銘館の新米管理人』詳細はこちら(KADOKAWAオフィシャルページ)
https://www.kadokawa.co.jp/product/322102000150/


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