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連載

コロナの時代の読書〜私たちは何を読むべきか vol.10

高校生のころ「寝食を忘れて」夢中で読んだ一冊――赤川次郎【コロナの時代の読書】

コロナの時代の読書〜私たちは何を読むべきか

文字と想像力があれば、人はどこにでも行ける。
世界の見え方が変わる一冊、ここにあります。

赤川次郎さんが選んだ一冊

『クオ・ワディス』(上・中・下)

ヘンリク・シェンキェヴィチ・著 木村彰一・訳(岩波文庫)

 高校生のころ、文字通り「寝食を忘れて」夢中になって読んだ一冊である。

 ローマ帝国を舞台に、ローマ軍の若き戦士ウィニキウスとキリスト教徒の美少女リギアの恋。皇帝ネロがひき起こしたローマを焼き尽くす大火。聖者ペテロの殉教。キリスト教徒の迫害……。

 70ミリの大画面(若い人には分らないか)に展開する絢爛たるスペクタクル映画を見ているかのような興奮を与えてくれる物語である。実際、ハリウッドで映画化されているが、文字のかき立てる想像力には到底及ばない。

 大作ではあるが、映像的な展開は全く飽きることがない。ことに、燃え盛るローマの市街を、恋人の姿を求めて主人公が駆け回る場面、さらには闘技場に引き出された少女リギアを救おうと……。いや、この手に汗握るクライマックスは、読む人の楽しみに取っておこう。

 読み終えて、私は「こんなに面白い小説がノーベル文学賞をもらったんだ」とびっくりしていた。

赤川次郎(小説家)



みなさんもぜひ「コロナの時代に読んで欲しい本」を投稿してください。
ご応募はこちらから→https://kakuyomu.jp/special/entry/readingguide_2020


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