【朗読つきカドブンレビュー】
本を読むには様々な理由があると思いますが、「知らない世界をのぞいてみること」というのもその中の一つだと思います。
そんなわけで今回はまったく知らない「豆の世界」を訪れてみました!
日本では大豆から作る豆腐、納豆、味噌、あとは枝豆や空豆なんていうのがメジャーどころといったところでしょう。
そもそもマメ科は植物界では3番目に大きなグループでその種類はなんと18,000種。
しかも豆類って作物の生長に必要不可欠な窒素を供給してくれるらしく、紀元前2,800年からすでに人類はマメと他の作物を一緒に植えて収穫を増やす技術を知っていたというのですから驚きです。
そのように人間と付き合いが深い豆ですが、食べられないようにとの工夫なのか、人間にとって有害な毒性を備えたものが多いんですね。
世界中に存在する様々な豆や、そんな豆をなんとか食べられるように工夫する我々人類の「豆に関するマメな苦労」を集めたのが本書というわけ。
著者の吉田よし子氏は旧農林水産省農業技術研究所の元技官であり、熱帯食用植物研究家という本格的な経歴の持ち主でして、本書は世界のマメ料理を紹介するほんわかとした料理本というわけではなく、学術的な意味合いもある著作です。なので、「よーし、豆の世界を堪能するぞ!」という覚悟が必要な本かもしれません。
とはいえ、インド料理屋さんで出てくる薄くてパリパリしたクラッカーは原料が豆だったとか、豆板醤は空豆が材料だったとか(確かに豆の文字が入ってる!)、ペルーの首都リマは現地で採れる「リママメ」から名付けられたとか、本当にマメに関して知らないことが満載で、ピーナッツに関してはまさにビックリ仰天でしたが、そのへんは本書を読んでのお楽しみということにしておきましょう!
なんて書いていると、最近はまっているダール(豆のスープ)が無性に飲みたくなってくるから不思議ですね(笑)。