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漁師町生まれの西原さんが初めて触ったお金には、魚の鱗や血が付いていたそうだ。魚の匂いを漂わせ町を巡るお金。私にとってそれは、緑青と金属の粉とコーキング剤が付着した硬貨。父は板金業だ。お金の匂い=生活の匂いだと西原さんは言う。
お金に纏わる驚きのエピソードとからっとした笑いの連続、そして時にしんみりとした。私自身、確定申告を自ら全て行い月毎の予算立て等、無頓着ではない方と思う。それでもトラブルに巻き込まれた際、いざお金について勉強し直そうと思っても、こういう率直な話は、どこにも書いていなかった。お金は数字でありながら、感情を、人生を振り回す。
読後はチェックの付箋だらけとなった本作で、私が一番没頭したのは4章「自分探しの迷路は、『カネ』という視点を持てば、ぶっちぎれる。」だ。
経験者の素直な感情が込められた明るく真摯な激励。自分個人の人生へ船出する二十代の方々に、特に読んでみてほしい。
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