#シンFIRE論 経済・精神の自由を手に入れる主体的思考法

穂高 唯希『#シンFIRE論 経済・精神の自由を手に入れる主体的思考法』はじめに全文試し読み
日本FIRE第一人者の壮大なる人生戦略『#シンFIRE論』特別試し読み公開
30歳で退職しセミリタイア、FIRE(=経済的自由を得て、主体的に生きる)を達成し、日本版FIREムーブメントの第一人者として新聞・TVなど多数メディアで話題の穂高唯希さん。会社に縛られない生き方や、社会に貢献する公益投資など、新しい人生観を提唱し、「本気でFIREをめざす人のための資産形成入門 - 30歳でセミリタイアした私の高配当・増配株投資法-」(実務教育出版)がベストセラーとなりました。
2月25日に発売された新刊『経済・精神の自由を手に入れる主体的思考法 #シンFIRE論』は、厳しい人生を生き抜くための主体性を高める思考法をまとめた渾身の一冊。自らの意思で思い描く人生を切り開いた著者による、お金の価値観、情報の本質の捉え方、対人への想像力、資産運用の考え方などが網羅された内容は、多くの社会人の助けとなるはずです。
本作の「はじめに」を試し読みとして特別公開いたします。
『経済・精神の自由を手に入れる主体的思考法 #シンFIRE論』試し読み
はじめに 自由を渇 望 する、私という人間
どこへ行ってもいい、なにをしてもいい。
眼前に限りない大海と可能性が広がっている。
ここからオホーツク海へ行こうが、インド洋へ行こうが、自分次第。寄り道してもいい。サンゴ礁の上で休んでもいい。自力で泳いでもいい。イルカの背中に乗ったっていい。大海を泳ぐ魚のように、自分の人生を自由に描いていく。
30歳でFIREして以降、私は大海の魚となり、日々を過ごしています。
14歳、為替市場に没頭、のちにFX(外国為替証拠金取引)を開始。
22歳、株式投資。
23歳、入社と同時にFIREを決意。ブログ「三菱サラリーマンが株式投資でセミリタイア目指してみた」で、「
翌年、日本人初のFIRE本『本気でFIREをめざす人のための資産形成入門─30歳でセミリタイアした私の高配当・増配株投資法─』(実務教育出版)を出版。
そして34歳のいま、人生の修練をたのしんでいます。
■幼い頃に得た死生観
私はときに、焦燥感におそわれます。死を感じるからです。
父という身近な人を、幼い頃に突然亡くしたことで、「明日、死ぬかもしれない」という厳然たる事実に対して、言葉以上の切迫感におそわれます。しかし、目を背けてはいけない、人生の究極の命題だと思っています。
そんな経験から、人生で手に入れたいものは
■裕福といえない環境で得た金銭観
女手1つで育てられたこともあり、裕福とはいえない家庭環境でした。小学生の頃、毎日おこづかいをもらってコンビニで買い食いする友だちを見て、「ええなぁ」と思いました。塾通いでは電車で1時間かけて通うなか、周りは親が車で迎えにきているのを見て、「ええなぁ」と思いました。高校や大学も奨学金を3つ得ながら通っていました。高校生のとき、奨学金の対象者として自分の名前が呼ばれ、「先生なんでわざわざみんなの前で言うねん、ちょっと恥ずかしいやん…」と思ったこともあります。
渇望という言葉があります。
なにかが足りなくて、渇いているからこそ、人は望み、意識します。私たちが普段空気を意識しないのは、じゅうぶんにあり、不自由しないからです。
お金も同様です。
お金に不自由なく過ごすと、お金を意識しなくなります。毎日寸暇を惜しんで家族のために奔走する母を間近で見ていたからこそ、「どうやったらお金を稼げるのか」「どうやったらお金に不自由しない人生を送れるのか」「どうやったら母がここまで身を粉にして働かずに済むのか」を幼いながらに考えて過ごしました。
■14歳で金融へ興味
14歳のとき「銀行にお金を預けていると、1年で7%増えた時期があった」という事実に強い興味を抱きます。
「ということは、低金利の日本円よりも金利の高い外貨に換えたほうがお得やん」と考え、為替の値動きや各国の政策金利などを研究しはじめます。のちにFXでロスカット(損失確定)など何度かの失敗と挫折を経て、FIREに至る「配当金の積み上げ」という株式投資のスタイル確立へとつながります。
■自由な精神と思考の修練で、人間像形成
私が通っていた中学・高校は自由な校風で、よい意味で「良識ある変人」が集っていました。ルールがなくとも秩序が保たれる良識があるからこそ、生徒たちは自由に伸び伸びと個性を磨ける素晴らしい環境でした。そのように育った結果、学業ではなく遊ぶことにハマりました。
ファイナルファンタジーⅪというオンラインゲームのプレイ時間は3年間で365日に達しました。夜中までプレイし、日中の授業は寝ていたので、成績は急降下のち低空飛行。大学受験にも興味が持てず、塾の出席率も半分以下、帰宅してテレビの前で呆ける始末。なぜか浪人する気満々で、見かねた母に「東京の大学も受験したら? 観光できるで」と慶應義塾大学の受験を勧められ、観光にホイホイ釣られた私は関西から慶應へ進学。ところがまたも慶應で熱心に遊びほうけていたところ、知人の中国ツアーへ参加したことが人生の転機となります。
第二外国語が中国語だった私は、片言の中国語でチベット人と下ネタで笑い合えたことに感動を覚えます。外国の人と外国の言語で意思疎通ができたことが、最高にたのしかったのです。これが北京大学への留学につながります。
北京大学では、早朝から中国人学生がキャンパス内にある「未明湖」という湖のほとりで大声で英英辞典を暗唱しています。3か国語話せて当たり前。キャンパス内の寮に住み、19時でも授業を真剣に受けています。彼らは自国の歴史や文化に深い理解があり、他国からすべてを吸収しようという貪欲さがありました。中華民族の復興という大きな国家的目標に向かって、みなが一致団結しているように見えました。
当時、中国のGDPは日本を下回っていましたが、「中国に抜かれる」と確信しました。そしてなにより、中国にかぎらず、韓国やベトナムなど他国の人々は自分の人生に対して真剣でした。「大学で学んだことを、自国に持ち帰り、この分野でいかしたい」といった強烈な原動力が彼らの人生を突き動かしていました。自分のゆるみきった大学生活とは対照的でした。それから寸暇を惜しんでホームレスから大学教授まで現地の人々と深く交流し、勉強し、半年以内にHSKの最高級を取得し、経済学部に入り中国語で経済学や金融論を学びました。留学を決めたとき、すでにその年の交換留学の申請受付は終了していたので、自費留学です。留学先で単位を取得することが、留学中の慶應大の学費半額免除の条件でした。そのため半年で中国語をマスターし、経済学部の単位を取得することは経済的な観点からも必達事項でした。
■自由へのあくなき渇望。FIREへ
中学・高校・大学と、根底に流れているのは「自由」です。
抑圧されることなく、自由を謳歌し、個性を発揮することです。大企業に入った瞬間、いままで生きてきた世界とは180度異なる世界に入ったことを悟りました。
無難に、穏当に、正解とされる立ち居振る舞いが求められる減点主義の世界から自由を手に入れるために、経済的自由の獲得に向けて猛然と走り出します。
のちにブログ「三菱サラリーマンが株式投資でセミリタイア目指してみた」を立ち上げ、FIREまでの軌跡を赤裸々に綴るようになります。ほどなくして、読者から「あなたと同じことをしているアメリカ人がいる」と教えてもらいます。私と同じように経済的自由と自由な人生を求めて給与の大半(彼は7割)を株式にまわしている人がいるというのです。
私はそれまでセミリタイアという言葉を使っていましたが、FIREという言葉をこのときはじめて知ります。当時、私の知るかぎりこの言葉を使っている人は日本にいませんでした。
私がブログ開設から一貫して掲げてきた「経済的自由を得て、自由で主体的な人生を描く」という生き方は、まさしくFIREに通じるものがあります。以降、FIREという言葉を用いて、この概念をブログとSNSで強力に発信し続けます。私の考えるFIREとは、「早期退職して働かないこと」ではなく、あくまで主眼は「自由と主体性」にあります。
■給与の8割を投資へまわす鉄の方針
何度かのロスカット(損失確定)を経て、FXで安定的に継続的に利益を積み上げることに限界を感じていました。FXと株式投資の短中期取引を続けるなか、配当に着目します。
「配当ならば、1なにもせずとも定期的にお金が振り込まれ、2株式を買えば買うほど積み上げられ、3積み上げられることで「今日より明日、明日よりあさって」がよくなるという確信が持てることで継続のモチベーションも保て、4配当が生活費の何%かを知ることで経済的自由の達成度合いを表す強力な指標にもなる」
「配当を早く積み上げるには、いかに多くの資本を高配当株や連続増配株に投下し続けるかに尽きる」
そう思い立ち、毎月の給与の8割を投資へまわす鉄の方針が確立します。
■「支出の最適化」「階段は資源」を提唱
給与の多くを投資にまわすには、支出を最大限におさえる工夫が必須です。節約という言葉は「ケチくさい」という後ろ向きなニュアンスがあり、私の考えるもっと前向きな支出行動とは相いれません。
あくまで自分の価値観に沿って、人生の満足度・経験に資するものにはお金を使い、そうでないものには使わないことを「支出の最適化」というポジティブな言葉として
提唱しました。
支出の最適化には工夫が欠かせません。かぎりあるものをたのしく有効に活用するには工夫が必要なのです。工夫をするためには、日常で見落とされている価値を再評価することです。そう、階段です。そこらじゅうにありふれた階段こそ、無料で下半身と体幹を鍛えられ、脳を活性化させ、あらゆることに好影響をもたらす「資源」であることに気づき、「階段は資源」という言葉を提唱しました。
FIREの決意、自由な生き方への渇望、仕事の判断、お金の使い方、臨機応変な投資、情報のとらえ方、人への接し方、肉体的鍛錬、常識への疑い、これらを含む私の人生のあらゆる局面で助けとなったのは「主体性」でした。
「#シンFIRE論」は、30歳でFIREを達成した私が、FIREを達成するために、考え抜き、実践したこと、FIRE後に体感し、試行錯誤して得た、「主体性を高める思考法」です。
私たちは生まれた瞬間から死に向かってひた走っています。
自分の頭で考え、自分で責任を持ち、自分で道を切り拓く。
そんなふうに生きることが、長い人生の主導権をみずからに帰することでもあります。
一度きりの人生をどう生きたいのか、今後どうしていきたいのか。
考えて、考えて、考えたぶんだけ道は開けます。意志あるところに道は開けるのです。
自らの意思で、望む人生をつかんでいきましょう。決して離さぬよう。
“Happy is the person who can take the initiative."
You have to seize it yourself.
(この続きは本書でお楽しみください)
作品紹介
経済・精神の自由を手に入れる主体的思考法 #シンFIRE論
著者 穂高 唯希
定価: 1,980円(本体1,800円+税)
発売日:2023年02月25日
情報や雑音にあふれるこの騒がしい世界に必要なのは、「主体性」である。
「ぼんやり」生きるか、「自分の意思」で生ききるか。お金の価値観、情報の本質のとらえ方、対人の想像力、投資の臨機応変。
人生にふりまわされたくない多くの社会人へ。精神と経済の自立を得て自由で主体的な人生を生きる、日本FIRE第一人者の壮大なる人生戦略!
詳細:https://www.kadokawa.co.jp/product/322206000748/
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