「小説 野性時代」編集後記(2023年9月号) 傑作SF長編 恒川光太郎『滅びの園』をオススメ!
「小説 野性時代」編集後記
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最も旬で刺激的な物語が詰まった月刊文芸誌「小説 野性時代」。
その2023年9月号より、「編集後記」を特別公開!
編集長自らが、本誌の見どころやおすすめ作品を紹介したり、読者のみなさまへのメッセージを綴ったり……。
本との出会いのきっかけとして、ぜひお役立てください。
(本記事は「小説 野性時代 2023年9月号」に掲載された内容を転載したものです)
「小説 野性時代」編集後記(2023年9月号)
綾崎隼さん「この銀盤を君と跳ぶ」が特大ボリュームで短期集中掲載開始。注目の気鋭が、フィギュアスケートの五輪出場枠を争うふたりの天才少女を瑞々しい筆致で綴ります。ブレイディみかこさんの読切「失われたセキュリティーを求めて」は「私労働小説 ―ザ・シット・ジョブ―」のシーズン2。独自の視点で労働を捉え直す短編は読み応え抜群です。さて、今月の角川文庫のオススメは恒川光太郎さん『滅びの園』。不思議な街に迷い込んだ男性の日々と、世界を滅亡の危機に追いやる謎の生き物〈プーニー〉と戦う人々の物語が交互に描かれる傑作SF長編。予測不可能なストーリー展開が最高! かつ、立場の異なる人物たちの選択の積み重ねによって到達するラストシーンが、深い余韻を残します。(中)
掲載号紹介
小説 野性時代 第238号 2023年9月号
編 小説野性時代編集部
発売日:2023年08月25日
商品形態:電子専売
綾崎隼がフィギュアスケートの天才少女たちを描く短期集中掲載「この銀盤を君と跳ぶ」前篇、ブレイディみかこによる自伝的読切シリーズ新章「失われたセキュリティーを求めて」登場!
【短期集中掲載】
綾崎 隼――この銀盤を君と跳ぶ
フィギュアスケート史を変える二人の天才少女。
ただ一つの五輪出場枠をかけて、運命の戦いが始まる!
【読切】
ブレイディみかこ――失われたセキュリティーを求めて 私労働小説―ザ・シット・ジョブ―
スーパー店員にも、理不尽を返す自由はある。
自伝的読切シリーズ、新編開幕!
【連載】
青山文平――父がしたこと
秋山寛貴(ハナコ)――人前に立つのは苦手だけど
阿津川辰海――バーニング・ダンサー
今村翔吾――天弾
恩田 陸――産土ヘイズ
垣根涼介――武田の金、毛利の銀
河崎秋子――銀色のステイヤー
新川帆立――目には目を
中山七里――こちら空港警察
増田俊也――七帝柔道記II 立てる我が部ぞ力あり
【コラム】
告白します――くわがきあゆ「友達がいない」
私の黒歴史――櫻田智也「自惚れ」
告白します――寺嶌 曜「怪物のしもべ」
【記事】
Book Review「物語は。」吉田大助
――蝉谷めぐ実『化け者手本』
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書籍紹介
滅びの園
著者 恒川 光太郎
発売日:2021年05月21日
わたしの絶望は、誰かの希望。
ある日、上空に現れた異次元の存在、<未知なるもの>。
それに呼応して、白く有害な不定形生物<プーニー>が出現、無尽蔵に増殖して地球を呑み込もうとする。
少女、相川聖子は、着実に滅亡へと近づく世界を見つめながら、特異体質を活かして人命救助を続けていた。
だが、最大規模の危機に直面し、人々を救うため、最後の賭けに出ることを決意する。
世界の終わりを巡り、いくつもの思いが交錯する。壮大で美しい幻想群像劇。
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