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連載

今野敏「ヤメろと言われても! Ⅱ」 vol.1

【カドブン連載第1回 今野敏「ヤメロと言われても! Ⅱ」】大ベテラン作家の趣味は模型作り! 今野敏が実践的に綴る、3Dソフトやワンフェス出展などの日々

今野敏「ヤメろと言われても! Ⅱ」

前号のとおり、型取り複製の作業を自身で行うことにした今野さん。だがはやくも後悔しているようで……。

 では、型取り複製の作業の続きを説明する。作業を始めて、ああしまった、今年もRCベルグさんに頼めばよかったと後悔した。
 なにせ、原型がでかい。こんなに大きな原型を、いまだかつて作ったことがない。一体モノならそれほどの問題はないが、それを複製するとなると大事おおごとだ。
 手持ちの粘土では足りないので、通販で注文した。シリコーンを流すための枠を作るブロックもたちまち足りなくなり、あわててこれも通販で頼んだ。
 加えて、六月のスケジュールがまたタイトだ。毎年空手の指導でロシアに出かける。それが六月なのだ。いつもなら、ロシア出発前にRCベルグさんに原型を送り、帰国後に複製品が届くのを待てばいい。
 今年はそうはいかない。出発が九日で帰国が二十三日。ワンフェスのことを考えると、最も大切な時期に、日本を留守にすることになる。
 型取り複製は時間がかかる作業だ。シリコーンが固まるのにたっぷり半日はかかる。夜に仕込んで翌朝に次の作業をするというのが通常の手順だ。だから、土日などの休日を利用する。
 サラリーマンじゃないんだから、土日など関係ないだろうと言われそうだ。そのとおりなのだが、普段ウィークデイは事務所に出かけて仕事をしている。土日は自宅にいるのだ。
 休日も自宅で仕事はするが、その合間に模型の作業をすることができる。
 だがしかし、今年の六月から七月にかけてはそれもままならない。ロシアから帰国して翌週の六月二十九日、三十日の土日は、北海道でトークショー&サイン会の予定が入っている。
 その翌週の七月六日、七日は、軽井沢出張と棒術の稽古。その翌週は、大阪・広島出張だ。作業をしている時間がない。しかも、月六本の連載締め切りは確実にやってくる。
 そして、ワンフェスの本番は容赦なく近づいてくるのだ。こんな思いをしながら、どうして模型を作るかというと、申請をしてしまったからだ。
 ごちゃごちゃ言っていないで、やれることをやるしかない。粘土に埋めた原型の上から硬化剤を混ぜたシリコーンを流す。まず薄い膜を張るように垂らしてから、エアブラシの空吹きで空気を当て、その膜を原型に密着させる。
 そうしておいて、どっと流し込むのだ。やはり、でかい。当初、シリコーンは四キロもあれば充分と思っていたが、足りなくなりそうなので、これも買い足した。結局七キロほど使うことになった。シリコーンを節約するために、古いシリコーン型を細切りにして埋めたにもかかわらずこの量が必要だった。
 固まった後に粘土をはがすと、片面の型ができているのがわかる。この後もう一方の面で同じ作業を繰り返す。さらに次号に続く。


流すための枠はブロックで作る


シリコーンに硬化剤を混ぜる


まず薄い膜を張るように垂らす


節約しても量が必要


固まった後に粘土をはがす


 写真=今野敏

「カドブンノベル」2019年9月号収録「ヤメロと言われても! Ⅱ」第36回より
◎つづきの第37回は「カドブンノベル」2019年10月号に掲載しております。


「カドブンノベル」2019年9月号

「カドブンノベル」2019年9月号


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10月10日 配信

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