
【書評】大藪春彦賞受賞後第一作、謙信の妻を描く、初の歴史小説!――『龍と謙信』レビュー【本が好き!×カドブン】
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『龍と謙信』レビュー【本が好き!×カドブン】
書評でつながる読書コミュニティサイト「本が好き!」(https://www.honzuki.jp/)に寄せられた、対象のKADOKAWA作品のレビューの中から、毎月のベストレビューを発表します!
今回のベストレビューは、武川 佑さんの『龍と謙信』に決まりました。ありがとうございました。
上杉謙信の光と影、そして2人の奇妙な関係を描く。
レビュアー:読書少女さん
戦国時代は正直言って、ごちゃごちゃしているイメージがあり、歴史小説どころか時代小説すらも読んでいませんでした。
今回、ご縁あって拝読し、この作品に少しずつ惹き込まれている自分がいました。
謙信の方言がきついこと、様々な登場人物が名前や役職によって呼び分けられることが要因で、はじめはなかなか物語の中に入ることができませんでした。
方言に注釈がつけばいいのに…と何度も思いましたが、方言の頻出度が高すぎて、これじゃあ注釈だらけになるなぁと諦めました。
ただ、読んでいくうちに、この方言が良い感じにクセになり、謙信やその家臣の方言を見るのが面白く感じるようになりました。
本編の中の言葉を借りるなら「おもしょい」感じになったのです。
謙信と龍姫の関係だけでなく、龍姫と母、そして龍姫と蛟の関係も見どころの一つです。
母の登場は序盤ですが、彼女との関係が龍姫の考え方や在り方に直結しているので、母からの教育を考えることは外せません。
この作品は、歴史小説なので史実に基づいて書かれています。
その前提で読んでいるのに、まるで物語のような、現代のような二人の関係性に驚きました。
性的関係はもたず、互いの在り方を尊重し、愛情を超えた関係性を築いていく2人。
歴史上の人物なので結末は分かっているのに、どうなるんだろうと思わず思ってしまうような小説でした。
▼読書少女さんのページ【本が好き!】
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書誌情報
書 名:龍と謙信
著 者:武川 佑
発売日:2025年07月02日
大藪春彦賞受賞後第一作、謙信の妻を描く、初の歴史小説!
上杉謙信と、その妻・於龍
「奇妙(クィア)」なふたりは
憎悪も、愛情も、超えてゆく!
「抗え、戦え、歩みを止めるな。
かつても今も在り続ける魂の叫びに寄り添う物語」
澤田瞳子、推薦
父から越後守護代を奪った長尾景虎(後の上杉謙信)への復讐のため、母から“女”を捨てさせられた於龍。彼女は景虎を激しく憎むが、当人はどこ吹く風で、於龍のことを「面白(おもしょ)い奴」と気に入ってしまう。長尾の重臣たちが二人の婚姻を越後支配のために利用する一方で、甲斐の武田晴信(後の信玄)は隣国侵攻の調略を始めようとしていた――。史料を丹念に読み解き最新研究を踏まえ、生涯独身と言われてきた上杉謙信と、その妻の半生を鮮やかに描く。
謙信の妻・於龍は、どんな女性だったのか?
そしてなぜ、歴史の陰に消えたのか?
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