ブックコンシェルジュ ダ・ヴィンチ 2018年7月号より
【ブックガイド】『人間標本』ドラマ化記念 湊かなえおすすめブックガイド
蝶の世界を渇望するあまり、息子を含む6人の少年たちを手にかけた榊史朗。蝶に魅せられ、禁断の「標本」を作り上げたという男の手記には、理解しがたい欲求が記されていた……。耽美と狂おしさが激しく入り乱れる、湊かなえが描く慟哭のミステリである本作。
2025年12月19日にAmazon Prime Videoで実写ドラマ化されると、その圧倒的な世界観が話題に。今回は本作のドラマ化を記念して、いま改めて読みたい湊かなえ作品をピックアップします!
※本記事の一部は『ダ・ヴィンチ』2018年7月号より転載
文:立花もも
イヤミスの女王、新たなる覚醒
『人間標本』(角川文庫)
人間も一番美しい時に標本にできればいいのにな――。ひどく損壊された6人の少年の遺体が発見されると、社会はその事件の異様さに衝撃を受けた。大学の生物学科で蝶の研究をする榊史朗は、蝶の世界を渇望するあまり、息子を含む6人の少年たちを手にかけたと独白する。蝶に魅せられ、禁断の「標本」を作り上げたという男の手記には、理解しがたい欲求が記されていた……。耽美と狂おしさが激しく入り乱れる、慟哭のミステリ。
幼い娘はなぜ、殺されねばならなかったのか
『告白』(双葉文庫)
3学期の終業式、担任がとつぜん始めた“告白”は、校内で死んだ幼い娘は生徒2人に殺されたという衝撃の告発だった。ホームルームに仕掛けられた復讐は、時間が経つほど、猛毒となってじわじわ教室を蝕んでいく。クラスメート、犯人とその家族。それぞれの告白が浮き彫りにしていく真実は、教室にさらなる悲劇を招き入れる。
ほんのわずかな亀裂から、家族の幸せは崩れ去る
『夜行観覧車』(双葉文庫)
憧れの高級住宅街に越してきた遠藤家。だが周辺住人には分不相応と嘲笑され、中学受験に落ちた娘は毎晩、母を責めて泣き叫ぶ。そんな妻子に嫌気がさして、無関心を貫く夫。だが事件は一触即発の遠藤家ではなく、誰もが羨む向かいの高橋家で起きた。夫が妻に殺され、息子は行方不明。理想の幸せを体現していたはずの家族にいったいなにが—。
世の中には、母親になれる女となれない女がいる
『母性』(新潮文庫)
4階の自宅から転落した女子高生。取材を受けた母は涙ながらに答える。「愛能う限り、大切に育ててきた娘がこんなことになるなんて」。その愛は果たして誰のためのものだったのか。愛される娘は本当に幸せだったのか。彼女は事故か自殺か、それとも――。母の手記と娘の回想によって、すれ違う母娘の“愛”が浮かび上がる。
その一日で、人生のすべてが決定づけられる
『高校入試』(角川文庫)
地元では、どんな名門大学に入るより誉れとされる橘第一高校。入試前日、新任教師の杏子は「入試をぶっつぶす!」と書かれた貼り紙を教室で見つける。厳戒態勢で迎えた当日、試験の真っ最中にネット掲示板で内容の実況中継が。保護者も騒ぎ出すなか、教師の“嘘”が浮かび上がっていく。共犯者は誰なのか。真犯人の目的とは?
最後の一行で、物語のすべてが反転する
『リバース』(講談社文庫)
コーヒーを通じて知り合った恋人・美穂子とのささやかな幸せを味わっていた平凡な会社員・深瀬。だがある日、彼女のもとに深瀬を人殺しだと糾弾する告発状が届く。思い当たるのはひとつだけ。ゼミ仲間との旅行で不慮の死をとげた親友・広沢のこと。謎の残る彼の死を改めて調べはじめた深瀬は、とんでもない事実にいきあたる。
あなたの真実は、はたして“本当”ですか?
『ポイズンドーター・ホーリーマザー』(光文社文庫)
幼いころから母の支配に苦しんできた女優の弓香。気に入らないことがあると泣き叫び、仕事の道をも阻む母を彼女はついに毒親として糾弾する。だがその後、交通事故死した母を擁護して、弓香の行為は売名として叩かれるようになり……。表題2作をはじめ、苦痛を物語に変えて陶酔する女性たちの“毒”をえぐりだす、衝撃に満ちた短編集。
挫折の先で手に入れる、新たな仲間と希望
『ブロードキャスト』(角川文庫)
中学時代、駅伝で全国大会をめざしたエースの良太とともに、陸上の名門校・青海学院に入学した圭祐。だが入学直前の事故で夢は閉ざされた。未練を残したまま、同じ中学出身の宮本に誘われ放送部に入部することに。だが、ようやく新たな目標を見つけ、ラジオドラマ作品で全国大会出場を目指すが、部内で対立が起こり……。
特設サイト
https://kadobun.jp/special/minato-kanae/ningen-hyouhon/





