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目には見えない、心に直接働きかける「音楽の力」――YOASOBI最新EP『THE BOOK 3』音楽×文学クロスレビュー①MUSIC「勇者」×NOVEL「奏送」より【評者:タカザワケンジ】

アーティスト・俳優・アスリート・文化人・タレント――丸ごと1冊の「総力特集」という形で、取材対象の魅力を徹底的に深堀りする人気文芸・音楽誌『別冊カドカワ』。その最新号が、2023年10月4日(水)に発売となりました。

最新号に登場したのは、今最注目の“小説を音楽にするユニット”YOASOBI!
本記事では発売を記念して、『別冊カドカワ 総力特集 YOASOBI』に収録された「【カドブン連動】最新EP『THE BOOK 3』音楽×文学クロスレビュー」企画より、文学レビューパートを8日連続で特別公開します!
物語との出会いのきっかけとして、ぜひお役立てください。

【カドブン連動】最新EP『THE BOOK 3』音楽×文学クロスレビュー
小説を音楽にしてきたYOASOBI。“読むCD”としてリリースしてきた『THE BOOK』の最新EP収録曲の小説&楽曲を書評家と音楽ライターがひもといていく。双方の視点から見えてくる小説と音楽の密接な関係性とは──

(本記事は『別冊カドカワ 総力特集 YOASOBI』に掲載された内容を転載したものです)

YOASOBI最新EP『THE BOOK 3』音楽×文学クロスレビュー①MUSIC「勇者」×NOVEL「奏送」より

NOVEL「奏送」
著:木曾次郎/監修:山田鐘人(『葬送のフリーレン』原作者) 

目には見えない、心に直接働きかける「音楽の力」
評者:タカザワケンジ

 フリーレンは初めて訪れる音楽都市に来ていた。町そのものが音楽を奏でているような町だ。
 たとえばこんなふうに。
「葉擦れの音、噴水の音、カフェテリアでの団欒の音。そこかしこに溢れる自然音や生活音すべてが心地よく調律されたような印象を受けた」
 聞こえてくるもの全てが音楽だなんて、それだけで夢見心地である。
 フリーレンは音楽を楽しんでいたが、演奏への興味はなかったようだ。たまたま入った楽器店で、店主に勧められた楽器を受け取ろうとはしなかった。たいへん高価で、普通の人は扱えない楽器。魔法使いのフリーレンなら、と見込まれて無料で譲ってくれるというのに。
 そう、フリーレンは魔法使いなのである。それも千年以上生きる長寿で知られるエルフの。その楽器、メークリヒはもともとエルフがつくったもので、魔法使いだけが使いこなせ、習得するのに百年かかるという特別なものなのだ。さて、この楽器はこのまま楽器店でほこりをかぶる運命にあるのだろうか。
 この小説は漫画『葬送のフリーレン』から生まれた作品である。かつてフリーレンはヒンメル、ハイター、アイゼンと四人で旅をし、魔王を征伐した。その後、五十年が過ぎ、かつての仲間たちはこの世から去って行くが、エルフだけが老けることもなく生き続ける。つまりフリーレンは常に亡くなった人たちを送る立場にいる。そして、短い人生を生きる「人間」を知ろうとするのである。
 フリーレンはこの町で、楽器と出会い、さらにはその楽器を演奏したいという人と出会う。音楽と楽器、人との触れ合いによって、亡くなった人を送る「葬送」が、音楽を奏でて送る「奏送」へと変化を遂げる。そのとき、読者の心の中にも、自分の記憶の中にある大切な音楽が奏でられることだろう。
 この小説に描かれているのは、目には見えないけれど、心に直接働きかける「音楽の力」なのである。

掲載誌紹介



別冊カドカワ 総力特集 YOASOBI
発売日:2023年10月04日

YOASOBI別カド初登場!文学的観点からもYOASOBIにフォーカス
デビュー曲「夜に駆ける」がストリーミング再生回数9億回を突破、全楽曲の総ストリーミング数は約60億を超える“小説を音楽にするユニット”YOASOBI。2023年4月、自身初となるツアー「YOASOBI ARENA TOUR 2023 “電光石火”」では、全国7か所14公演で13万人を動員。同月、新宿・東急歌舞伎町タワー内 「THEATER MILANO-Za」にて実施したTikTok LIVEでは累計視聴約63万人、最大同時接続者数12万人超えを果たし、日本人アーティストのライブパフォーマンス史上最高記録を達成した。8月には88rising主催「HEAD IN THE CLOUDS Los Angeles」にて、初のLAフェス出演を果たすなど、海外ライブシーンでも話題となっている。

そんなYOASOBIが、2021年より“読むCD”としてシリーズ化してきたEPの3作目『THE BOOK 3』が、2023年10月4日(水)に発売決定。同作には、10月クールTVアニメ「葬送のフリーレン」オープニングテーマとして書き下ろした最新曲「勇者」、 島本理生・辻村深月・宮部みゆき・森絵都という4人の直木賞作家が原作小説を書き下ろし順次楽曲を発表していくプロジェクト「はじめての」から生まれた「ミスター」「好きだ」「海のまにまに」「セブンティーン」、TVアニメ「【推しの子】」オープニング主題歌として書き下ろし、Billboard JAPAN 総合ソング・チャート“JAPAN Hot 100”で18週連続で総合首位を獲得、Billboard The Global Excl. U.S. top 10でも1位を獲得した「アイドル」など全10曲が収録される。

別冊カドカワでは、そんな最新EP『THE BOOK 3』をリリースしたAyase、ikuraの本人取材はもちろん、多角的な切り口の周辺取材によりYOASOBIの魅力を立体的に総力特集。また、“小説を音楽にする”という原点にも立ち返り、別冊カドカワならではの文学的側面からもアプローチすることで、日本の音楽シーンのトップを走るYOASOBIの原点から現在地、さらにこの先の未来までをも見据える。

もくじ
■YOASOBI最新撮り下ろしグラビア
■Ayase & ikura ロングソロインタビュー
■『THE BOOK 3』セルフライナーノーツ
■「旅する本屋さん YOASOBI号」密着
■YOASOBI立体的特集「アーティスト・プロファイリング」
■YOASOBI 言葉と楽曲と映像の連動
■YOASOBI COLUMN 共鳴
■YOASOBI×別カド×読者参加型企画
■『はじめての』文芸部 第1期部員 活動日誌
■CDショップのバイヤー&スタッフが選ぶ! YOASOBIリコメンドソング5
■YOASOBI PERFECT DISCOGRAPY&BIOGRAPHY    
…and more

詳細:https://www.kadokawa.co.jp/product/322306001062/
amazonページはこちら


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